上野竜生です。共通テスト直前になってくると最後の手段として正攻法ではない解法や裏技などに頼りたくなります。どれだけ自信のある人でも試験問題を見ていない以上,やはり裏技を知りたくなるものです。そこで今回は共通テストの裏技をまとめてみました。主に数学に関することを紹介します。
2024年用に少し更新しました
ちなみに,裏技の定理や公式を早く知りたいんだ!という人は最後にまとめてるので一気に下までスクロールしてくださいね。
ちなみにこの記事は,近いうちに読みやすいようにまとめて具体例なども追加して有料記事にする予定です。
共通テスト数学の大前提!
求められているものを理解せよ!
数学の試験なので計算力が問われている。数学の問題解決力が問われている。なんかニュースでは「思考力」を重視したいっていってたから思考力が問われている。
それだけではありません!「正攻法でなくてもいいからとにかく正解を導く能力」「限られた時間での得点の最大化を実演する能力」も問われていると考えましょう。
たとえば「漸化式の問題だから特性方程式を解いて...みたいにしなければいけない」ということはありません。記述式ならそう論述しないとマズイですが,このテストでは習った解法とは違う「裏技」で解いても合ってれば〇です。問題によっては「x=0や,n=1,2を代入して必要条件だけ求めてしまう」邪道的解法や,「問題の流れ的にこうなってるはずだろう」という予測などもフルに活用して解きましょう。そういうもの全部が「思考力」です。
1問1問は激ムズではありませんが,時間のかかる問題が入っています。
「解き方はわかるんだけど計算が多いからこれだけで5分ほど使う。しかもこれがこの大問最後の問題だからきっとこれを解いても3~4点ぐらいだろう。それだったら(これは解けるけど)一旦飛ばして次の問題に進んだ方が得点の期待値は上がりそうだ。」
こういう考えも必要ということです。
実際数学が得意な人は「やや難しい問題」「難問」「難しくはないけど計算時間のかかる問題」にあたったとき,「このまま解くほうが得か?それとも飛ばして次にいったほうが得か?」を無意識にしています。
またほかにも,マーク式なので証明は全く不要といいたいところですが,共通テストでは意外と証明に近いことを要求したりもしています。(→裏技⑤)
最近はガッツリ証明問題で,その途中が空欄になっているものもあります。本来証明ではスタート→A→B→C→ゴールの順番通りに考えるのが一般的ですが穴埋めだったら「スタート→A」(空欄A)がわからなくても「C→ゴール」から空欄Cがわかったり,空欄以外の文章から流れを推測したり,BとCの選択肢から組み合わせとして考えられるものを考慮して埋める,なんてこともできることがあります。Aがわからないから諦める,というのはもったいないです。Aがわからない場合は一旦飛ばして次の問題に進み,時間が余って戻ってきたらCを考えるなど最善を尽くしましょう。
それでは裏技を紹介していきます。
まずは,数値を穴埋めで入れる系の裏技です。
裏技①:必要条件からせめる。
というより必要条件だけ求めて,十分条件は空欄の形で決める。
あるいは特殊な場合だけを考えます。
数列の問題で使えることが多かったのですが,センター試験時代にこのような裏技が出回ったせいか,共通テストではあまり使える場面が少ない印象です。しかし,たまには使えることもあるので知っておきましょう。
例題(令和3年追試)
\( a_1=4 , a_n= 4 \cdot 5^{n-1} \)(n=1でも成立)
を求めている。
上で求めたことから,すべての自然数nに対して
\(\displaystyle \sum_{k=1}^n \frac{1}{a_k} = \frac{エ}{オカ} \left(1-キ^{-n} \right) \)
が成り立つことがわかる。
n=1を代入すると
\(\displaystyle \frac{1}{4} = \frac{エ}{オカ}(1-\frac{1}{5}) \)
より,\(\displaystyle \frac{エ}{オカ}=\frac{5}{16} \)
と求めることができます。
共通テストでは数値穴埋めよりも選択式が増えたため,このような解法が使えるパターンは激減しました。また,使えたとしても誘導通り解くのと同じ計算量かそれ以上に多くなるorそもそも使う必要ない初歩的問題のことが多くなりました。
裏技②:図形問題ではわからないところを文字でおく。
これは私自身が共通テストの問題を解くときによくやる方法です。
たとえばAB=[ ア ]がわからなかったとします。一旦これをaとでもおきます。
そのあとに
線分の長さの積
AD・AE=[ イ ]
とかとなっていたとします。
そのとき,方べきの定理からAD・AE=AB・ACはわかるから実質AB・AC=イ
だとわかり,ACがたとえば3とかだったら
ア=a
イ=3a
となるわけですから桁数のヒントから(ア,イ)=(1,3),(2,6),(3,9)
のどれかに絞られるわけです。あとは目分量で当てるかその後も解き進めて桁数が合わないものを消去すると1つぐらい定理の適用できる図形や条件を見落としても復元できることがあります。
完全な復元ができなくても2択か3択まではいくので私自身はよく使うテクニックです。
裏技③:2次関数の最大最小は境界か軸のどちらか,3次関数の最大最小は境界か極値のところ
それさえわかればあとはあてはめて1番大きいものと1番小さいものを選びましょう。
その際,空欄の形から明らかなときは代入するまでもありません。
(例:f’(x)=0の解がx=a,2aであるとき0≦x≦2の範囲でf(x)はx=[ ア ]aのとき最小値[ イ ]a+[ ウ ]をとる。
などの場合は空欄の形からx=2aしか当てはまらないので,増減表を書かないどころかx=0,2,aは代入すらしなくてよい。)
次に共通テストになってから急増した選択肢から選ぶものの裏技です。
裏技④:消去法
背理法の応用(?)として消去法があります(もちろん勝手にそう呼んでるだけなので論述では使えません笑)
例題(令和4年追試験数IIB)
⓪\( y=x^3-x-5 \)
①\( y=x^3+3x^2-2x-4 \)
②\( y=x^3-6x^2 -x-4 \)
③\( y=x^3-6x^2+7x-5 \)
ちなみに誘導では一般の3次関数の平行移動の式を求めて係数比較をするようなしっかりとした考察がされているので,誘導にのるとなかなか消去法はしづらい気がします。
ですが,明らかな矛盾点を見つければその選択肢は消えるということに注目します。
めちゃくちゃ簡単な例だと,最高次の係数が違えばどう頑張っても平行移動で一致しないということがわかります。さすがに共通テストではあまりにも簡単な見比べや代入で消えるほど選択肢は甘くないことがあります。
ですがこの問題だと,「もし平行移動して全く同じになる関数なら極大と極小のx座標の差が同じでないといけない→最高次の係数は同じだからf’(x)=0を解の公式で求める時の√の中が同じでないといけない」
と気付ければf’(x)=0の判別式に着目すればいいことがわかります。すると
⓪\( y’=3x^2 -1 \) D=12
①\( y’=3x^2+6x-2 \) D=36+24=60
②\( y’=3x^2-12x-1 \) D=144+12=156
③\( y’=3x^2 -12x+7 \) D=144-84=60
となるから①と③しか極大と極小のx座標の幅が一致しない。(本来はこの2つが本当に一致するか確かめる必要があるが空欄の形からどれか2つは一致することがわかるので確認しなくても十分。)よって①③が答え。
とわかるわけです。誘導ガン無視ですが,このような裏技も使えます。
裏技⑤:一番究極に述べてるやつが怪しい
数学とは関係ない例題です。
「長崎県の上り坂の数」 ( ) 「長崎県の下り坂の数」
⓪ > ① = ② <
当てずっぽうだと①が1番確率低そうですよね。「上り坂は上からみたら下り坂。下り坂は下から見たら上り坂だから同じ数」という”証明”がわかっていないとなかなか①が選べません。
これを利用した問題が共通テストではよく見かけます。
つまり,しっかり証明がわかってないと1番選びたくない究極の選択肢が本当の正解であるというパターンです。その選択肢を選べるということは証明がわかっているという感じで出題しているのですが,それを逆手にとって
「当てずっぽうでは選びたくない(当たりゾーンが狭い)ような1番強い主張になってるやつを選ぶ」
という解法が使えることもあります。
裏技⑥: 知識
センター試験では数IIIを知っていたら有利になること,裏技公式を知っていたら一発で終わるもの,あまりにも有名すぎる題材で同じ問題を経験した人と経験してない人で不公平になるものは避けられる傾向がありました。
しかし,共通テストでは「有名な美しい性質」を題材にする問題が頻出です。ということは類題を解いていれば知識として解くことができます。
これ以外にもいくつか裏技は分析できていますが,2024年試験用に書くには対策時間のとりにくい(準備期間や訓練などがいる)裏技になるので今回はここまでにします。最後に私のサイトで紹介した”裏技系定理や知識”などの記事をまとめておきます。受験にお役立てください。
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かなり長文になりましたが,最後までご覧いただきありがとうございました!!
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