上野竜生です。今回は必要条件・十分条件のクイズをやってみましょう。クイズは最後にあります。自信がある人はクイズだけでいいでしょう。自信がない人は必要事項をまとめてますのでそれを読んでからやるとより効果的でしょう。
おさらい
① p⇒qとp⇐qの2つの真偽を判定する。
② p⇒qが成り立てば「十分条件」・p⇐qが成り立てば「必要条件」
左(ひだり)向きの矢印がひつよう条件と覚えれば間違えにくいです。
<真偽の判定>
・pが成り立つとき常にqも成り立てばp⇒qが真。pが成り立つのにqが成り立たないものが1つでもあれば偽。
真ならば正しいことが証明できる(難しい場合もある)。偽ならば反例が1つ以上出る。確実に正解したいなら証明か反例が見つかるまで探す。どちらも見つからなければなんとなくで選ぶしかないが大体そういう場合は正解率は低い。
・p⇒q の真偽が判定しにくい場合、対偶命題「qでない ⇒ pでない」を調べてもよい。この2つの真偽は一致する。
・pやqがすぐいいかえれそうな表現なら同値な内容に言い換えてもよい。
たとえば下の「基本的な変形」にある表現は言い換えた方がわかりやすい。
基本的な変形
特に断りがない限りx,y,aは実数とする。
今からお見せするものはすべて同値(p⇒qもp⇐qも両方成り立つ。)
・xy=0 ⇔ x=0またはy=0
⇐は自明。⇒も2次方程式を因数分解して解くときに学習していると思います。この性質は複素数でも成り立ちます。
・xy>0 ⇔ 「x>0かつy>0」または「x<0かつy<0」
xとyが同符号ということです。同様に異符号バージョン
xy<0 ⇔ 「x>0かつy<0」または「x<0かつy>0」
も知っておきましょう。
・|x|=x ⇔ x≧0
|x|>x ⇔ x<0
絶対値の定義から割と自明です。(右辺から考えてみましょう。xが実数ならx>0,x=0,x<0のどれかに分類されるのでそのそれぞれについて左辺が成り立つか調べればわかります)
・|x|=a ⇔ x=±aかつa≧0
|x|>a ⇔ x<-a または x>a
|x|<a ⇔ -a<x<a
a>0のときは自明かと思いますがaが何であっても一応この表現は成り立ちます。
・x≧0かつy≧0のとき
x=y ⇔ x2=y2
x>y ⇔ x2>y2
x≧0,y≧0の制約がないと同値ではないことに注意。特にx=|x|,y=|y|のとき|x|≧0かつ|y|≧0, |x|2=x2だから
|x|>|y| ⇔ x2>y2 (<のときも同様)
|x|=|y| ⇔ x2=y2 ⇔ x2-y2=0 ⇔ (x+y)(x-y) ⇔ x=±y
途中を飛ばしていきなり|x|=|y|⇔x=±yが理解できるようにしましょう。
・x2+y2=0 ⇔ x=y=0
⇐は自明ですが⇒も成り立ちます。x2≧0(等号成立はx=0)、yも同様なので足して0になるにはx2=y2=0、つまりx=y=0となります。
クイズ
特に断りがない限りnは整数,x,yは実数としてください。
正解です !
間違っています !
正解です !
間違っています !
xが無理数であることは(√x)が無理数であるための( )。
正解です !
間違っています !
正解です !
間違っています !
正解です !
間違っています !
正解です !
間違っています !
正解です !
間違っています !
a2+b2+c2+d2=0であることはa+b+c+d=0かつabcd=0であるための( )。
正解です !
間違っています !
※空集合の記号の代わりにφを使っています
正解です !
間違っています !
A⊂BであることはA=Bであるための( )。
正解です !
間違っています !
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実数条件が要る問題が散見される。
また、ほぼ自明という文言からは、どう自明なのか説明せず誤魔化しているように感じられる。
さらには、必要/十分条件は言葉そのもので理解できる/されるべきものであって、そういった安直な「覚え方」なるものの蔓延が子供たちのこれからの数学における理解の妨げになるばかりか、さらなる総合的な学力低下に拍車を掛けていると言っても過言ではないと、個人的には感じるところです。
実数条件・ほぼ自明の簡易な解説はつけました。
ただ,最後の部分はなかなか難しいですね。記述試験ではほぼ確実に「〇〇であるための必要十分条件を求めよ」または「〇〇の必要十分条件は△△であることを示せ」の形で出るので必要条件/十分条件の片方のみを考える問題は共通テストでしかほぼ見かけません。共通テストはマーク式なので結果が全てです。言葉の意味で考えようとするとミスが多発するので,頭文字に着目という確実に正しい結果が得られる解法が重要になります。