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上野竜生です。今回は文字aと三角関数を含む関数の最大・最小をaで表すことをします。しっかり理解しないときっちり場合分けして求めるのは困難です。それができると次は絶対不等式(どんなxでも常に不等式が成り立つようなaの範囲)を求めます。最後に解の存在条件を考えます。基本的には2次関数の解の配置に帰着するのですが,いろいろな別解もあるのでそれも紹介します。

問題

aを定数とし,\(f(x)=\cos{2x}+a\cos{x}+2a-5 \)とする。
(1)f(x)の最大値と最小値をそれぞれaで表せ。
(2)すべての実数xに対しf(x)>0となるようなaの範囲を求めよ。
(3)f(x)=0が実数解をもつようなaの範囲を求めよ。
答え(1)\( f(x)=2\cos^2{x}+a\cos{x}+2a-6 \)
\( t=\cos{x}\)とおくと\( -1 \leq t \leq 1\)
\( g(t)=2t^2+at+2a-6\)とおく。
\(\displaystyle g(t)=2(t+\frac{1}{4}a)^2 - \frac{1}{8}a^2+2a-6 \)
軸\( -\frac{1}{4}a \)の位置関係に注意して-1≦t≦1での最大最小を求める。
最大値
a≦0のときg(-1)=2-a+2a-6=a-4
a>0のときg(1)=2+a+2a-6=3a-4
最小値
a≦-4のときg(1)=3a-4
-4<a<4のとき\(\displaystyle g(-\frac{1}{4}a)=-\frac{1}{8}a^2+2a-6 \)
a≧4のときg(-1)=a-4
(2)すべての実数xに対しf(x)>0
⇔一番きわどい点αでf(α)>0
⇔f(x)の最小値>0 なので(1)の結果を利用しましょう
最小値>0であればよい
a≦-4のとき3a-4>0は満たさないので不適。
-4<a<4のとき\(\displaystyle -\frac{1}{8}a^2+2a-6>0 \)
つまり\( a^2-16a+48=(a-4)(a-12)<0 \)なので4<a<12となり-4<a<4を満たさないから不適。
a≧4のときa-4>0よりa>4
以上をまとめるとa>4
(3)g(t)=0が-1≦t≦1の範囲に解を持つ条件(解の配置)に帰着することもできます(別解1)が,せっかくこの流れで来てるので最大値≧0かつ最小値≦0ならどこかで=0になるということを利用しましょう。
f(x)は連続関数だからf(x)=0が解をもつ⇔f(x)の最大値≧0かつf(x)の最小値≦0
最小値≦0については(2)の否定よりa≦4
最大値≧0となるaの範囲を求める。
a≦0のときa-4≧0となり不適。
a>0のとき3a-4≧0となり\( a\geq \frac{4}{3} \)
以上より\(\displaystyle \frac{4}{3}\leq a \leq 4 \)

[別解1]g(t)=0が-1≦t≦1の範囲に少なくとも1つ実数解をもつ条件を考える。

等号のときや重解のときが面倒なので先に潰しておくとすっきり書けます。
①g(t)=0が重解をもつとき\(\displaystyle g(t)=2(t+\frac{1}{4}a)^2 - \frac{1}{8}a^2+2a-6 \)より
\(-\frac{1}{8}a^2+2a-6=0\) ∴a=4,12
そのときの重解は\( t=-\frac{1}{4}a \)なのでa=12は-1≦t≦1を満たさず不適。a=4は適。
t=-1を解にもつときg(-1)=0
t=1を解に持つときg(1)=0
-1<t<1に1つ解をもつときg(-1)g(1)<0
これらをまとめるとg(-1)g(1)≦0のとき条件を満たす。
\( g(-1)g(1)=(a-4)(3a-4)\leq 0 \)より\(\displaystyle \frac{4}{3}\leq a \leq 4 \)
[この時点で重解のときとt=±1を解に持つときは考慮されているので残りの可能性は
解を持たないor 2つの解がどちらも-1<t<1を満たすor 解は2つもつが両方とも-1<t<1にはない。解を2つもつ条件「はじき(判別式・軸・境界)」に持ち込む]
-1<t<1に解を2つもつとき
判別式>0よりa<4またはa>12
-1<軸<1より-4<a<4
g(-1)>0かつg(1)>0よりa>4
これらを同時に満たすaは存在しない。
以上より\(\displaystyle \frac{4}{3}\leq a \leq 4 \)

[別解2]放物線と直線に分離

\(g(t)=2t^2+at+2a-6=0 \)が-1≦x≦1に解をもつから
\( -2t^2+6=a(t+2) \)とすると放物線\( y=-2x^2+6 \)と直線\( y=a(x+2) \)が-1≦x≦1で交点を持てばよい。

定数分離
直線の式は定点(-2,0)を通ることに注意すると直線の傾きの最大値は(-1,4)を通る時でa=4
最小値は(1,4)を通る時で\( a=\frac{4}{3} \)
\( \frac{4}{3}\leq a \leq 4 \)のとき交点を持つので求める範囲は\( \frac{4}{3}\leq a \leq 4 \)

厳密には最大の青い直線の方は本当にそこか議論する必要があります。放物線の接線の時なのか両端を通る時なのか自明でないからです。
(-2,0)から引いた接線をy=mx+2mとし,放物線と接することから\( -2x^2+6=mx+2m \),つまり\( 2x^2+mx+(2m-6)=0 \)が重解をもつので\( m^2-8(2m-6)=0 \) ∴m=4,12
接点のx座標は-1,-3となり実は図の青い直線は放物線の両端の点を通るときでもあり,(-1,4)で接するときでもあったのです。

[別解3]完全に定数分離(数III)

\(g(t)=2t^2+at+2a-6=0 \)が-1≦x≦1に解をもつから
\(\displaystyle \frac{-2t^2+6}{t+2}=a \)と分離できる。この左辺をh(t)とおく。
y=h(t)と直線y=aが-1≦t≦1の範囲で交点を持てばよい。
\(\displaystyle h’(t)=\frac{-4t(t+2)-(-2t^2+6)}{(t+2)^2} \)
h’(t)の分子=
\( -4t^2-8t+2t^2-6=-2t^2-8t-6=-2(t+1)(t+3) \)
-1≦t≦1のときはh’(t)≦0なので単調減少である。
\( h(1)=4, h(-1)=\frac{4}{3} \)なので求める範囲は\( \frac{4}{3}\leq a \leq 4 \)

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