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上野竜生です。今回は複素数の導入と四則演算・大小比較ができないことと複素数の等式を扱います。

iの定義

実数では2乗すると必ず0以上になるが,2乗して-1になる数をiとする。
もちろんiは実数ではない。iは数直線上にはないし感覚的に受け入れにくいがとりあえず存在を認め,このようなiを用いて計算を行う。
実数x,yを用いてx+iyとかける数を複素数という。xを実部,yを虚部という。
x+yiにおいてy=0のとき,実数といい,x=0かつy≠0のとき純虚数という。
複素数では大小比較はできない。ゆえに問題文に「x>0とする」などが書かれていればxは実数であるとしてよい。

たとえばiと0が比較できないことを示す。
i≠0なのでi>0またはi<0のどちらかが成立すると仮定する
i>0と仮定する。すると両辺にi(>0)をかければ
\( i^2>0 \)
しかし,\( i^2=-1 \)なので-1>0となり矛盾
i<0とすると,両辺にi(<0)をかければ不等号の向きが変わって
\( i^2 >0 \)
-1>0となり矛盾。よってiと0の大小関係はどちらも成り立たない
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複素数の四則演算

iをただの文字だと思って計算すればよい。ただし,\( i^2=-1 \)を用いて整理する必要はある。

\( (a+bi)+(c+di)= (a+c) + (b+d)i \)
\( (a+bi)-(c+di)=(a-c) + (b-d)i \)
\( (a+bi)(c+di)=(ac-bd)+(ad+bc)i \)
\(\displaystyle \frac{a+bi}{c+di}=\frac{(a+bi)(c-di)}{(c+di)(c-di)} = \frac{(ac+bd)+(bc-ad)i}{c^2+d^2} \)

※\( (c+di)(c-di)=c^2 -(di)^2 = c^2 - i^2 d^2 = c^2+d^2 \)
分母の有理化をしたときと同様に分母に(c+di)があれば分母分子に(c-di)をかけることで分母を実数化できます。

例題1 次の計算をせよ

(1) (3+2i) + (4+i)
(2) (5-3i)-(-1+2i)
(3) (2+7i)(7-2i)
(4) \(\displaystyle \frac{1+i+\sqrt{2}i}{1+\sqrt{2}+i} \)
答え(1) 3+2i+4+i=(3+4)+(2+1)i=7+3i
(2) (5-3i)-(-1+2i)=5-3i+1-2i=6-5i
(3) (2+7i)(7-2i)=14+49i-4i-14i2 = 14+45i-14・(-1)=28+45i
(4)\(\displaystyle \frac{1+i+\sqrt{2}i}{1+\sqrt{2}+i} \\ = \displaystyle \frac{(1+i+\sqrt{2}i)(1+\sqrt{2}-i)}{(1+\sqrt{2}+i)(1+\sqrt{2}-i)} \\ = \displaystyle \frac{1+i+\sqrt{2}i +\sqrt{2}+\sqrt{2}i+2i-i+1+\sqrt{2}}{(1+\sqrt{2})^2 +1} \\ =\displaystyle \frac{2+2i+2\sqrt{2}+2\sqrt{2} i }{4+2\sqrt{2}} \\ = \displaystyle \frac{2(1+\sqrt{2})+2i(1+\sqrt{2}) }{2\sqrt{2} (1+\sqrt{2}} \\ = \displaystyle \frac{2+2i}{2\sqrt{2}}=\frac{\sqrt{2}+\sqrt{2}i}{2}\)
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複素数が等しくなる条件

2つの複素数a+biとc+diが等しいとはa=cかつb=dが成り立つこと。
特にa+bi=0とはa=b=0が成り立つことである。

証明
a+bi=c+di ⇔ (a-c)=(d-b)i
d-b≠0と仮定すると両辺をd-b(≠0)で割って
\(\displaystyle \frac{a-c}{d-b} = i \)
左辺は実数だが右辺は実数ではないので矛盾。よってd-b=0
このとき右辺=0だから左辺=0
∴a=cかつb=d

例題2 次の等式を満たす実数x,yを求めよ。

(1) x(2+3i)+yi(4+5i)=-17+9i
(2) (x+2i)(3-2i)=y
(3) (x+iy)2=15+8i
答え(1)左辺=2x+3xi+4yi-5y=(2x-5y)+(3x+4y)i
x,yは実数なので
2x-5y=-17かつ3x+4y=9
これを解くとx=-1,y=3
(2)左辺=3x+6i-2xi+4= (3x+4)+(6-2x)i
x,yは実数なので3x+4=yかつ6-2x=0
これを解くとx=3,y=13
(3)左辺=\( (x^2-y^2)+2xyi \)
x,yは実数なので\( x^2-y^2=15 , 2xy=8 \)
第2式よりx≠0なので\(\displaystyle y=\frac{4}{x} \)
これを第1式に代入すると
\(\displaystyle x^2-\frac{16}{x^2}=15 \)
つまり
\( x^4-15x^2-16=(x^2-16)(x^2+1)=0 \)
xは実数だからx=±4
よって(x,y)=(4,1),(-4,-1)

例題3

(1) \(\displaystyle \frac{6+xi}{2+3i} \)が実数となるように実数xの値を定めよ。
(2) \(\displaystyle \frac{6+xi}{2+3i} \)が純虚数となるように実数xの値を定めよ。
(3) 2乗してiになる複素数をすべて求めよ。

(1)(2)ともに分母を実数化するとわかりやすいですね。

答え(1)\(\displaystyle \frac{(6+xi)(2-3i)}{(2+3i)(2-3i)}=\frac{(12+3x)+(2x-18)i}{13} \)
実数となるのは虚部が0になるときだから2x-18=0。
よってx=9
(2)純虚数になるのは12+3x=0のときだからx=-4
このとき虚部は0にはならないので確かに純虚数である。よってx=-4
実部が0であったとしても虚部が0なら純虚数とはいいません。このレベルを記述式で問うことは稀ですが記述式の場合はこのことに触れておかないと減点されるリスクがあります。
答え(3)z=x+yi(x,yは実数)とおく。
\( (x+yi)^2=(x^2-y^2)+2xyi=i \)
x,yは実数だから\( x^2-y^2=0 , 2xy=1 \)
第1式より(x+y)(x-y)=0,つまりy=±x
y=xのとき第2式より\( 2x^2=1 \),つまり\(\displaystyle (x,y)=\left( \pm \frac{\sqrt{2}}{2} , \pm \frac{\sqrt{2}}{2} \right) \)
y=-xのとき第2式より\( -2x^2=1 \),xは実数だから不適。
以上より求める複素数は
\(\displaystyle x+yi= \frac{\sqrt{2}}{2}+\frac{\sqrt{2}}{2}i , -\frac{\sqrt{2}}{2}-\frac{\sqrt{2}}{2}i \)

この辺りの計算は当たり前のようにできる必要があります。基本的には難しくないので確実に解けるようにしましょう。

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