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上野竜生です。今回は複素数まで習ったうえでの2次方程式の解の公式と判別式を紹介します。

2次方程式の解の公式

\( ax^2+bx+c=0 \)の解は
\( \displaystyle x=\frac{-b \pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a} \)
これはこれでいいのですが,\( b^2-4ac<0 \)のとき,2乗して-1になるiという記号を使えば\( \sqrt{-1} \)の代わりにiと書くことで次のように書けます。
\( \displaystyle x=\frac{-b \pm \sqrt{-(b^2-4ac)}~i~}{2a} \)
このような書き方にも慣れておくとよいでしょう。

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例題1 次の2次方程式を解け。

(1) \( x^2+6x+10=0 \)
(2) \( 2x^2+5x+11=0 \)
答え(1)解の公式より
\( x=-3\pm \sqrt{9-10} = -3\pm \sqrt{-1}= -3\pm i \)
(2)解の公式より
\(\displaystyle x=\frac{-5 \pm \sqrt{5^2- 4\cdot 2 \cdot 11}}{4} = \frac{-5 \pm \sqrt{-63}}{4}=\frac{-5\pm 3\sqrt{7}i}{4} \)

複素数の範囲で因数分解

実数係数のn次方程式は複素数まで認めるとn個の解をもつ(m重解はm個と数える)。
一般に実数係数または整数係数で因数分解するときは2次式以上の式がこれ以上因数分解できない,ということも起こるが,複素数係数まで認めると必ず1次式の積に因数分解できる。
f(x)の因数分解の仕方はf(x)=0の解をすべて求める(\( x=\alpha_1 , \alpha_2 ,\cdots , \alpha_n \)とする)と,
\( (x-\alpha_1)(x-\alpha_2)\cdots (x-\alpha_n) \)
となります。

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例題2 次の式を複素数の範囲で因数分解せよ

(1) \( x^2+4x+6 \)
(2) \( x^4+3x^2-4 \)

複素数の範囲では必ず1次式の積に因数分解できます。つまりすべての解を求める必要があります。まずは解をすべて求めましょう。

答え(1)\( x^2+4x+6=0 \)の解は\( x=-2\pm \sqrt{2}i \)だから
\( (x+2+\sqrt{2}i)(x+2-\sqrt{2}i) \)
(2)\( x^4+3x^2-4=(x^2+4)(x^2-1)=(x+2i)(x-2i)(x+1)(x-1) \)

判別式

実数係数2次方程式\( ax^2+bx+c=0 \)の判別式Dは
\( D=b^2-4ac \)であり,
D>0ならば異なる2つの実数解
D=0ならば重解
D<0ならば異なる2つの虚数解をもつ。

数Iでは「実数解なし」と表現していたD<0は「2つの虚数解をもつ」と言い換えられます。

例題3

(1) \( x^2+(2+\sqrt{2})x+(k+\sqrt{2})=0 \)
の解がすべて虚数となるような実数kの範囲を求めよ。
(2) \( x^2+(2+i)x+(k+i)=0 \)
の解がすべて虚数となるような実数kの範囲を求めよ。
答え(1)判別式をDとすると
\(D= (2+\sqrt{2})^2-4(k+\sqrt{2}) \\ = 6+4\sqrt{2}-4k-4\sqrt{2}\\=6-4k <0 \)
よって\(\displaystyle k > \frac{3}{2} \)

(2)まずは誤答例を紹介します。
判別式をDとすると
\(D= (2+i)^2 - 4(k+i) \\ = 3+4i - 4k-4i \\ = 3-4k<0 \)
よって\(\displaystyle k>\frac{3}{4} \)・・・(誤り)

どこがダメなのかというと(2)では方程式の係数が実数ではありません。このようなときには判別式は使えません。

[理由]そもそも2次方程式の判別式は解の公式の√の中の部分でした。係数が実数ならば
\[ \displaystyle \frac{-b \pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a} \]
の「-b」の部分や「2a」の部分が実数なので,実数か虚数かの境目は√の中だけで決まるのですが,係数が複素数になると2aや-bも実数とは限らないので実数かどうかを判別するのに判別式だけではできないというわけです。

それでは解の公式に当てはめるのが良いのかというと,それもまたややこしい話になります。この問題はたまたま”判別式”が実数になってますが,一般には解の公式の√の中が複素数になるので「√複素数」の計算が必要になります。その部分は数IIでは扱わないのです。

ということで全く別の解法で解くことになります。正答例を見てみましょう。

正答例

答え与えられた方程式が2つの実数解をもつとするとその和も実数。しかし,解と係数の関係より解の和は-2-iとなり矛盾。よって解は2つとも虚数または,「1つが実数で1つが虚数」である。
実数解を1つもつとき,その実数解をαとすると
\( \alpha^2 + (2+i)\alpha + (k+i)= (\alpha^2 + 2\alpha + k )+ (\alpha+1)i=0 \)
ここで\( \alpha^2 + 2\alpha+k , \alpha+1 \)はともに実数だから
\( \alpha^2 + 2\alpha+k =0 , \alpha+1 =0 \)
よって\(\alpha=-1 , k=1 \)
以上よりk=1のとき以外は解がすべて虚数となるので求める範囲は
k<1またはk>1

ほとんど実数のときと同じでしたが,判別式は実数係数のときしか使えないということを意識しましょう。つまり,記述式答案では判別式を使う時に「係数が実数だから」と述べるほうが丁寧です。

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