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上野竜生です。今回は半径1の円に内接する正三角形と,円周上の点に関する長さの問題を扱います。動く点が1つしかないので1変数で表すことができる分,難易度は低めですが,線分の長さをうまく三角関数で表すところがポイントです。

例題

外接円の半径が1である正三角形ABCがある。三角形ABCの外接円周上に点Pをとる。
(1)AP2+BP2+CP2が一定であることを示し,その値を求めよ。
(2)長さの和AP+BP+CPの取り得る範囲を求めよ
(3)長さの積AP・BP・CPの取り得る範囲を求めよ。

外接円の半径が与えられていてそこに内接する三角形の問題は正弦定理を使えば辺の長さが三角関数で表せます。そこを乗り越えれば三角関数の問題に帰着できます。

答え(前半)外接円を単位円(原点中心の半径1の円),\(A(1,0) ,B(-\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}),C(-\frac{1}{2}, -\frac{\sqrt{3}}{2}) ,P(\cos{2\theta},\sin{2\theta}) \)(0°≦2θ<120°)としても一般性を失わない。
辺の長さを三角関数で表す

すると∠POA=2θだから円周角の定理より∠PCA=θ
三角形ACPで正弦定理を使うと外接円の半径が1だから
\(\displaystyle 2=\frac{AP}{\sin{\theta}} \)
つまりAP=2sinθ
同様に∠BOP=120°-2θなので∠BCP=60°-θ。BP=2sin(60°-θ)
∠COP=120°+2θなので∠CBP=60°+θ。CP=2sin(60°+θ)
以上をまとめるとAP=2sinθ,BP=2sin(60°-θ),CP=2sin(60°+θ)・・・(*)とおける。

Pの段階でθとおいてもいいのですが円周角の定理で角度が半分になることを先に予想して2θとおいています。実は細かい部分が少し抜け落ちてますがいずれにせよ(*)の形に持っていけます。細かい部分を今のうちに議論しておきます。
PがAと一致するときsinθ=0なので正弦定理の分数の形で表現するのは好ましくないが,その場合でもAP=2sinθ=0は成立する。
つまり特殊な場合を場合分けして考えることなく(*)とおいて良い。
ここまで整理しておくと残りは比較的取り組みやすいと思います。

答え(1)\( AP^2+BP^2+CP^2 \)
\( = 4\sin^2{\theta} + 4\sin^2{(60°-θ)}+ 4\sin^2{(60°+\theta)} \\ \displaystyle =4 \sin^2{\theta} + 4(\frac{\sqrt{3}}{2} \cos{\theta}-\frac{1}{2}\sin{\theta})^2+4(\frac{\sqrt{3}}{2}\cos{\theta} + \frac{1}{2}\sin{\theta})^2 \\ = 4\sin^2{\theta} + 3\cos^2{\theta} - 2\sqrt{3}\sin{\theta}\cos{\theta} + \sin^2{\theta} + 3\cos^2{\theta} + 2\sqrt{3} \sin{\theta}\cos{\theta} + \sin^2{\theta} \\ = 6\sin^2{\theta} + 6\cos^2{\theta} = 6\)
(2) AP+BP+CP
\( = 2\sin{\theta} + 2\sin{(60°-\theta)} + 2\sin{(60°+\theta)} \\ = 2\sin{\theta} + 2(\frac{\sqrt{3}}{2} \cos{\theta} - \frac{1}{2}\sin{\theta}) + 2(\frac{\sqrt{3}}{2}\cos{\theta} + \frac{1}{2} \sin{\theta} ) \\ = 2\sqrt{3}\cos{\theta} + 2\sin{\theta} \\ = 4\sin{(\theta + 60°)} \)
0°≦θ<60°なので60°≦θ+60°<120°
よって\(\frac{\sqrt{3}}{2} \leq \sin{(\theta +60°)} \leq 1 \)なので
\( 2\sqrt{3} \leq AP+BP+CP \leq 4 \)
(3)AP・BP・CP
\( = 2\sin{\theta} \cdot 2\sin{(60°-\theta)} \cdot 2\sin{(60°+\theta)} \\ = 8\sin{\theta} ( \frac{\sqrt{3}}{2} \cos{\theta} - \frac{1}{2}\sin{\theta} ) (\frac{\sqrt{3}}{2} \cos{\theta} +\frac{1}{2} \sin{\theta} ) \\ = 8\sin{\theta} (\frac{3}{4} \cos^2{\theta} - \frac{1}{4}\sin^2{\theta}) \\ = 6\sin{\theta}\cos^2{\theta} -2\sin^3{\theta} \\ = 6\sin{\theta}(1-\sin^2{\theta}) -2\sin^3{\theta} = 6\sin{\theta} - 8\sin^3{\theta} \\ = 2\sin{3\theta} \)
0°≦θ<60°なので0°≦3θ<180°
よって求める範囲は0≦AP・BP・CP≦2
最後に3倍角の公式を使っていますが正確に覚えていないと使いこなせないと思います。その場合はt=sinθとおき,3次関数\( f(t)=-8t^3 + 6t \)の取り得る範囲を求めることになります。範囲は0°≦θ<60°なので\( 0 \leq t < \frac{\sqrt{3}}{2} \)。この範囲でのf(t)の増減を調べれば求めることができます。

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