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上野竜生です。今回は3辺の長さがわかったときにその三角形の面積を求めることができるヘロンの公式を紹介します。証明と例題で確認しましょう。

ヘロンの公式

POINT3辺の長さがa,b,cである三角形の面積は\(\displaystyle s=\frac{a+b+c}{2} \)とおいて
\(\displaystyle S=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)} \)

便利ですが覚え間違いが起きやすいので注意が必要な公式です。

まず注意1として,sはa,b,cを足して3で割る人がいます。特にa=6,b=8,c=10のような等差数列になっていると無意識にs=8(中間の値)としてしまいがちです。3で割るのではなく2で割りましょう。

注意2として,三角形の面積は最後に2で割るものが多いですが,この公式は2では割りません。この2点がよく間違えるポイントです。

この公式を使う前には自分の記憶にある「ヘロンの公式」を書き出し,a=3,b=4,c=5の場合(直角三角形なので明らかにS=6)S=6になるか確かめてから使うとより安全です。

では,ヘロンの公式を証明したいと思います。やり方は普通に余弦定理を使います。

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ヘロンの公式の証明

△ABCの面積は\(\displaystyle \frac{1}{2}ab\sin{C} \)・・・①
余弦定理より\(\displaystyle \cos{C}=\frac{a^2+b^2-c^2}{2ab} \)
0°<C<180°よりsinC>0だから\(\displaystyle \sin{C}=\sqrt{1-\cos^2{C}}= \sqrt{1- \left( \frac{a^2+b^2-c^2}{2ab} \right)^2} \)
これを①に代入すると
\(\displaystyle S=\frac{1}{2}ab \sqrt{1- \left( \frac{a^2+b^2-c^2}{2ab} \right)^2 } \\ = \displaystyle \frac{1}{4} \sqrt{(2ab)^2 - (a^2+b^2-c^2)^2 } \)
・・・②

ここでルートの中を整理する。
\( (2ab)^2-(a^2+b^2-c^2)^2 \\= (2ab+a^2+b^2-c^2)(2ab-a^2-b^2+c^2) \\ = \{ (a+b)^2-c^2 \} \{ c^2- (a-b)^2 \} \\ = (a+b+c)(a+b-c)(c+a-b)(c-a+b) \)
よって②に代入すると
\(\displaystyle S=\frac{1}{4}\sqrt{(a+b+c)(a+b-c)(a-b+c)(-a+b+c)} \\ = \displaystyle \sqrt{\frac{a+b+c}{2} \cdot \frac{a+b-c}{2} \cdot \frac{a-b+c}{2} \cdot \frac{-a+b+c}{2}} \\ = \sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)} \)

これで証明できました。ここからは例題を見てみましょう。

例題

(1)3辺の長さが13,14,15である三角形の面積を求めよ。
(2)3辺の長さが8,10+x,12-xである三角形の面積の最大値を求めよ。
(3)3辺の長さが\( \sqrt{x^2+y^2} , \sqrt{y^2+z^2} , \sqrt{z^2+x^2} \)である三角形の面積をx,y,zを用いて表せ。(ただしa,b,cは正の実数とする)
答え(1)\( \displaystyle s=\frac{13+14+15}{2}=21 \)なのでヘロンの公式より
\(\displaystyle \sqrt{21\cdot (21-13) \cdot (21-14) \cdot (21-15)}=\sqrt{21 \cdot 8 \cdot 7 \cdot 6} = 84 \)
(2)\(\displaystyle s=\frac{8+10+x+12-x}{2}=15 \)なのでヘロンの公式より
\(\displaystyle \sqrt{15 \cdot (15-8) \cdot (15-10-x) \cdot (15-12+x)}=\sqrt{105(5-x)(3+x)} \)
となるので最大になるのはルートの中が最大になるとき,つまり(5-x)(3+x)が最大になるときである。
\( (5-x)(3+x)=-x^2+2x+15=-(x-1)^2+16 \)
となるからx=1のとき最大値をとる。
これをヘロンの公式の結果に代入すると
x=1のとき最大値\(4\sqrt{105} \)をとる。
(x=1のとき,確かに三角形は成立する)

(3)はヘロンの公式で解くにはあまりにも不向きですが,証明中の②式の右辺が2乗だらけで表現できているのでここに代入すれば良さそうです。

ヘロンの公式の証明の②を導くところまでは同じ。②より
\(\displaystyle S= \frac{1}{4} \sqrt{(2ab)^2 - (a^2+b^2-c^2)^2 } \)
これに\( a=\sqrt{x^2+y^2} , b=\sqrt{y^2+z^2} , c=\sqrt{z^2+x^2} \)を代入すると
\( \displaystyle S=\frac{1}{4} \sqrt{4(x^2+y^2)(y^2+z^2) - (x^2+y^2+y^2+z^2-z^2-x^2)^2} \\ = \displaystyle \frac{1}{4} \sqrt{4(x^2+y^2)(y^2+z^2) - (2y^2)^2} \\ = \displaystyle \frac{1}{4} \sqrt{4(x^2 y^2 + y^2 z^2 + y^4 +z^2 x^2 - y^4)} \\ = \displaystyle \frac{1}{2} \sqrt{x^2 y^2 +y^2 z^2 +z^2 x^2 } \)

(3)のように3辺の長さがわかっても直接ヘロンの公式に代入するのは厄介なときもあります。余弦定理でどこかの角度を求めてsinの面積の公式に当てはめる方法なども検討しましょう。

 

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