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上野竜生です。複素数平面での直線の方程式の求め方について紹介します。

直線の方程式(複素数平面)

<復習>

\(\displaystyle \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}=r(\cos{\theta}+i\sin{\theta}) \)
はαを中心にβを反時計回りにθ回転し,αを中心にr倍に拡大したものがγであることを意味する。

特にθ=0°or180° ⇔ 右辺が実数 ⇔α,β,γは同一直線上
θ=90°or270° ⇔ 右辺が純虚数or0 ⇔αβとαγは垂直
つまり

3点\(\alpha,\beta,\gamma\)が同一直線上 ⇔\(\displaystyle \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}\)が実数

2直線\(\alpha\beta,\alpha\gamma\)が垂直 ⇔\(\displaystyle \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}\)が0または純虚数

一般にz=x+iyの共役複素数を\(\bar{z}=x-iy \)としたとき
zが実数 ⇔ \( z=\bar{z} \)
zが0または純虚数 ⇔ \(z=-\bar{z}\)

ここまで理解すればあとは簡単です。

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① 2点α,βを通る直線の方程式

2点α,βを通る直線の方程式は
\(\displaystyle \left( \frac{z-\alpha}{\beta-\alpha}\right) = \overline{\left( \frac{z-\alpha}{\beta-\alpha}\right)} \)である。

(証明)2点α,βを通る直線上にzがある
⇔α,β,zは同一直線上
⇔\( \left( \frac{z-\alpha}{\beta-\alpha} \right) \)は実数
⇔\(\displaystyle \left( \frac{z-\alpha}{\beta-\alpha}\right) = \overline{\left( \frac{z-\alpha}{\beta-\alpha}\right)} \)

αとβはどっちでもいいので分子のαは両辺ともβに変えても問題ありません。

② αを通り,\(\vec{Oβ} \)に平行な直線の方程式

分母をβ-0=βに変えるだけです。

\(\displaystyle \left( \frac{z-\alpha}{\beta}\right) = \overline{\left( \frac{z-\alpha}{\beta}\right)} \)
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③ αを通り,\(\vec{Oβ} \)に垂直な直線の方程式

θ=90°or270° ⇔ 複素数が純虚数or0 ⇔ \(z=-\bar{z} \)なので右辺にマイナスをつけるだけです。

\(\displaystyle \left( \frac{z-\alpha}{\beta}\right) = -\overline{\left( \frac{z-\alpha}{\beta}\right)} \)

④αとβの垂直二等分線の方程式

垂直二等分線とはつまり2点からの距離が等しい点の軌跡なので
\(|z-\alpha|=|z-\beta| \)

なお,今まで通り「α,βの中点を通り,直線αβに垂直な直線」として立式すると
\(\displaystyle \frac{z-\frac{\alpha+\beta}{2}}{\beta-\alpha}=-\overline{\left(\frac{z-\frac{\alpha+\beta}{2}}{\beta-\alpha}\right)}\)となりますが同値です。両辺に\((\beta-\alpha)\overline{(\beta-\alpha)}\)をかけると

\(z(\bar{\beta}-\bar{\alpha})-\frac{1}{2}(\beta+\alpha)(\bar{\beta}-\bar{\alpha})=-\bar{z}(\beta-\alpha)+\frac{1}{2}(\beta-\alpha)(\bar{\beta}+\bar{\alpha})\)

展開すると

\(z\bar{\beta}-z\bar{\alpha}-\frac{1}{2}|\beta|^2-\frac{1}{2}\alpha\bar{\beta}+\frac{1}{2}\beta\bar{\alpha}+\frac{1}{2}|\alpha|^2=-\bar{z}\beta+\bar{z}\alpha+\frac{1}{2}|\beta|^2-\frac{1}{2}\alpha\bar{\beta}+\frac{1}{2}\beta\bar{\alpha}-\frac{1}{2}|\alpha|^2 \)

整理すると
\(-z\bar{\alpha}-\bar{z}\alpha+|\alpha|^2=-z\bar{\beta}-\bar{z}\beta+|\beta|^2\)
両辺に\(|z|^2\)を加えて整理すると
\((z-\alpha)\overline{(z-\alpha)}=(z-\beta)\overline{(z-\beta)}\)
よって\(|z-\alpha|=|z-\beta| \)

という風に一応変形すれば作れますが、美しい公式なので結果を暗記しておくとよいでしょう。

練習

(1) 1+2i,3-4iを通る直線の方程式を求めよ。
(2) \((3-i)z+(3+i)\bar{z}=10\)はどんな図形を表すか?

公式に当てはめるだけです。

答え(1) 

\(\displaystyle \frac{z-(1+2i)}{(3-4i)-(1+2i)}=\overline{\frac{z-(1+2i)}{(3-4i)-(1+2i)}} \)
\(\overline{(2-6i)}(z-1-2i)=(2-6i)\overline{(z-1-2i)}\)

両辺2で割ると

\((1+3i)(z-1-2i)=(1-3i)(\bar{z}-1+2i)\)
\((1+3i)z-(1+5i-6)=(1-3i)\bar{z}-(1-5i-6) \)

∴\((1+3i)z-(1-3i)\bar{z}=10i \)

(2) (1)の両辺を-i倍しただけなので(1)を解いた直後なら逆算できて(1)の図形と言えますが(2)が突然出た場合は素直にz=x+iyとおいて整理します。

答えz=x+iyとすると
(3-i)(x+iy)+(3+i)(x-iy)=10
3x-xi+3yi+y+3x+xi-3yi+y=10
6x+2y=10
∴y=-3x+5
これは(0,5)と\((\frac{5}{3},0)\)を通る。
ゆえに求める図形は\(\frac{5}{3},5i\)を通る直線

もちろん1+2i,3-4iも通るので1+2i,3-4iを通る直線と答えてもOKです。

まとめると次のようになります。

POINT・公式は今までの知識から導き出せる!
・α,βが具体的に与えられたら分母を払って整理できる!
・整理された式((2)の問題の式)を見ただけで直線の式と思い浮かべること!
・一般に(2)の問題のように整理された式からα,βは一意に定まらないし,求めるのも困難なのでz=x+iyとおいてx,yの式で求める

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