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上野竜生です。今回は実数係数の3次方程式で,虚数解が1つわかっているときに未知数2つを特定し,残りの解を求めます。

例題

a,bは実数とする。3次方程式
\( x^3-5x^2+ax+b=0 \)
がx=2+iを解に持つとする。実数a,bの値と残りの解を求めよ。

解1 素直に代入

最も素直な解法です。実数解がわかっているときと同様にf(2+i)=0から係数を決定します。(f(x)は問題文の3次式)
複素数の相等条件より実部=0と虚部=0の2式が得られるのでこれで求めることができます。

答えもとの3次方程式にx=2+iを代入すると
\( (2+i)^3 -5 (2+i)^2 +a(2+i)+b \\ = 8+12i-6-i-5(3+4i)+2a+ai+b \\ =(-13+2a+b)+(-9+a)i =0 \)
a,bは実数だから
-13+2a+b=0かつ-9+a=0
∴a=9,b=-5
このとき,\( x^3-5x^2+9x-5=(x-1)(x^2-4x+5) \)と因数分解できるので
解はx=1,2±i
以上よりa=9, b=-5,残りの解x=1,2-i

特別な知識を使わず解けるので無難ですが,a,bを求めたあと,また因数分解しないといけなくて少し面倒です。実数係数の方程式が複素数解をもてば,それと共役な複素数も解に持つということを知っていればより強力な解法を使えます。このことについて知らない人はこちらで証明を確認しましょう。

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解2 解と係数の関係を使う

答え実数係数の方程式がx=2+iを解にもつので,共役な複素数であるx=2-iも解にもつ。残りの解をαとおくと解と係数の関係より

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} (2+i)+(2-i)+\alpha=5 \\ (2+i)(2-i)+(2+i)\alpha+(2-i)\alpha=a \\ (2+i)(2-i)\alpha=-b \end{array} \right.\end{eqnarray}
これを解くと\(\alpha=1,a=9,b=-5 \)
よってa=9,b=-5,残りの解x=1,2-i

共役複素数を解に持つことの証明はいちいち書かなくていいとは思いますが,「実数係数だから」という理由は述べておきましょう。これを書かないと理解できてないと思われてしまいます。

解3 2次式で割り算する

答え実数係数の方程式がx=2+iを解にもつので,共役な複素数であるx=2-iも解にもつ。
つまり\( (x-2-i)(x-2+i)=x^2-4x+5 \)で割り切れる。
\( x^3-5x^2+ax+b \)を\( x^2-4x+5 \)で割ると
\( x^3-5x^2+ax+b=(x-1)(x^2-4x+5)+(a-9)x+(b+5) \)
となるからa-9=0かつb+5=0
よってa=9,b=-5
このとき\( (x-1)(x^2-4x+5) \)と因数分解できるから
残りの解x=1,2-i

いかがでしたか?解2が一番楽だったのではないでしょうか?もちろん解1で解ければそれで十分ですが4次式とかになった場合は解3も相対的に楽になります。まずはどの方法でもいいので解けるようになり,余裕があれば全部のやり方で解けるようにしたいですね。

 

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