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上野竜生です。数IIで出てくるような多項式のグラフならそれほど難しくありませんが数IIIのグラフはかなりすることが多く,何かを忘れてしまいそうになります。ここでは陽関数y=f(x)の形のグラフの書き方をお教えします。

陽関数y=f(x)グラフの書き方

基本手順

1. 定義域を確認!(logの真数条件や分母=0になる点の除外など)
2. 増減(f'(x)=0を計算)
3. 凹凸(問題文に調べなくてもいいと書かれている場合は除く。f''(x)=0を計算)
4. 漸近線 (主にx軸,y軸に平行なものを調べる。分数関数の場合はそれ以外の漸近線もあるかもしれません→最後に述べます。)
5. 交点 (x軸やy軸との交点の座標を記入)

この手順でしっかりグラフを書いていきましょう。

 

以下重要な関数について実際に計算してみます。すべてf(x)はy=・・・の右辺の式とします。

具体例1 \( y=x+\sqrt{1-x^2} \)

1. 定義域は\( -1 \leq x \leq 1\)(√の中が0以上なので)

2. 増減
\(\displaystyle  f'(x)=1+\frac{-2x}{2\sqrt{1-x^2}}=1-\frac{x}{\sqrt{1-x^2}} \)
よって\( f'(x)=0 \)となるのは\( \sqrt{1-x^2}=x \)のとき。つまり,\(\displaystyle x= \frac{\sqrt{2}}{2}\)

3. 凹凸
商の微分を使うと
\( \displaystyle f''(x)=\frac{-\sqrt{1-x^2}+x\frac{-2x}{2\sqrt{1-x^2}}}{1-x^2}=\frac{-(1-x^2)-x^2}{(1-x^2)^{\frac{3}{2}}}=\frac{-1}{(1-x^2)^{\frac{3}{2}}} <0\)
よって常に上に凸

ここまでで増減表を書くと
例題1の増減表
となります。

4. 漸近線
この関数には特に漸近線はありません。(極限を計算するような場面がない)

5. 交点
x=0のときy=1なので(0,1)
y=0のときx=\(\displaystyle -\frac{\sqrt{2}}{2} \)なので\(\displaystyle \left(-\frac{\sqrt{2}}{2},0 \right) \)

以上よりグラフを書くとこのようになります。

陽関数のグラフ1

実はこの関数は楕円を回転させたもの(の一部)となっています。なので意外と有名で入試頻出です。

 

具体例2 \( y=xe^{-x} \)

1. 定義域は実数全体。

2. \( f'(x)=(1-x)e^{-x} \)よりx=1で極値の候補をとる

3. \( f''(x)=(x-2)e^{-x} \)よりf''(x)=0となるのはx=2

ここで増減表を書くと次の通り
例題2の増減表

なお\( \displaystyle \lim_{x \to -\infty} xe^{-x}=-\infty \)は難しくありませんが,
\( \displaystyle \lim_{x\to \infty} xe^{-x}=0 \)はそれほど簡単ではありません。(ハサミウチの原理などで示します)普通グラフを書く問題ではこの極限が問題文に与えられていることが多いです。

4. 漸近線はy=0(x→∞の極限の式よりx→∞でy=0に近づくので)

5. 交点は原点のみ。

以上よりグラフを書くとこのようになります。

陽関数グラフ2

具体例3 \( y=\frac{\log{x}}{x} \)

1. 定義域はx>0(真数条件と分母≠0)

2. 増減
商の微分より\( \displaystyle f'(x)=\frac{1-\log{x}}{x^2} \)
f'(x)=0を解くとx=e

3. 凹凸
\( \displaystyle f''(x)=\frac{-x-2x(1-\log{x})}{x^4}=\frac{-3+2\log{x}}{x^3} \)
f''(x)=0を解くと\(x=e\sqrt{e} \)

増減表は
例題3の増減表

4. 漸近線はx→∞の時y=0に近づくのでy=0
\( \displaystyle \lim_{x\to +0} \frac{\log{x}}{x}=-\infty \)よりx=0

5. 交点は(1,0)

以上よりグラフを書くとこのようになります

陽関数のグラフ3

このグラフはたとえば
\(99^{100} , 100^{99} \)ではどちらが大きいか?という問題を解くときに出てきます。(→関連ページ
\( a^b=b^a \)の両辺に対数をとってabで割ると
\( \displaystyle \frac{\log{a}}{a} = \frac{\log{b}}{b} \)となるので\(\displaystyle f(x)=\frac{\log{x}}{x} \)とおいてf(a)とf(b)の大小比較や解の個数問題に帰着させるわけです。そのときにこの関数のグラフを知っていれば有利になります。入試頻出です。
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y=mx+n(m≠0)が漸近線となる例(分数関数)

例:\( \displaystyle \frac{x^2+1}{x-3} \)

微分などは省略し漸近線のみを考えます。分子÷分母の割り算を実行することにより

\( \displaystyle (x+3)+\frac{10}{x-3} \)とかけます。

よって分母=0となるx=3は一つの漸近線ですが,x→±∞のとき,第2項は0に近づいていき,全体として第1項のx+3に近づきます。よってy=x+3がもう1つの漸近線となります。

 

これだけマスターすれば陽関数のグラフはかけるようになります。

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