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上野竜生です。角度が一定の軌跡を扱います。これは定石通りやるとしんどいので特殊な解法をします。滅多に出題されませんが高校範囲で求められるので見るだけでも見ておきましょう。

例題

A(1,0),B(-1,0)とする。次の軌跡を求めよ。
(1)∠APB=90°となる点Pの軌跡。
(2)∠APB=120°となる点Pの軌跡。

(1)だけなら90°⇔三平方の定理が成り立つとか直線の傾きの積が-1とかベクトルの内積が0で求めることもできます。ですが(2)もあるとかなり面倒です。余弦定理から立式するということになりますがかなり式変形が複雑です。そこで(2)は図形的に処理をするほうが楽です。そうなると(1)も図形的に処理できます。

答え図形的に処理をする。
(1)∠AQB=90°となる点を1つとる。(たとえばQ=(0,1))
角一定の軌跡
△AQBの外接円をOとすると円周角∠AQB=90に対する中心角は180°。つまりABは直径である。円周角の定理より直径に対する円周角は90°であるから外接円の円周は求める軌跡である。
よって求める式はABを直径とする円\( x^2+y^2=1 \)(A,Bは除く)
(2)y>0のとき
∠ARB=120°となる点を1つとる(たとえば\(\displaystyle R(0,\frac{\sqrt{3}}{3}) ) \)
角一定の軌跡(120°)
すると∠APB=∠ARB=120°だから4点A,B,P,Rは同一円周上にある。
つまり∠APB=120°を満たす点は弧ARB上にある
逆にPが弧ARB上にあるとき円周角の定理より∠APB=∠ARB=120°
よってPの軌跡は弧ARBである。あとは式を求めればよい。
120°の場合その2

図より円の中心は\( \displaystyle (0,-\frac{\sqrt{3}}{3}) \),半径は\(\displaystyle \frac{2\sqrt{3}}{3} \)だから
\(\displaystyle x^2+(y+\frac{\sqrt{3}}{3})^2=\frac{4}{3} \)のy>0の部分
同様にy<0はx軸に関して対称移動させたものだから
\(\displaystyle x^2+(y-\frac{\sqrt{3}}{3})^2=\frac{4}{3} \)のy<0の部分

このように求めるのが現実的です。一応他の方法で求めてみます。

(1)A,Bと一致するときは角度が定義できないので除外することに注意する。
P(X,Y)とする。

【傾きの積-1】

APの傾きは\(\displaystyle \frac{Y}{X-1} \)
BPの傾きは\(\displaystyle \frac{Y}{X+1} \)
垂直に交わるから傾きの積は-1。よって
\(\displaystyle \frac{Y^2}{X^2-1}=-1 \)
よって\( X^2+Y^2=1 \)となるから求める軌跡は
円\( x^2+y^2=1 \)のA,Bを除いた部分

【内積0】

\( \vec{AP}=(X-1,Y),\vec{BP}=(X+1,Y) \)
\( \vec{AP}\cdot \vec{BP}=0 \)だから
\( X^2-1+Y^2=0 \)
求める軌跡は円\( x^2+y^2=1 \)のA,Bを除いた部分

【三平方の定理】

\( AP^2+BP^2=4 \)
\( (X-1)^2+Y^2+(X+1)^2+Y^2=4 \)
∴\( X^2+Y^2=1 \)

(2)【余弦定理】
余弦定理より

\( AP^2+BP^2-2AP \cdot BP \cdot \cos{120°}=4 \)
\( 2X^2+2Y^2+2+\sqrt{ \{(X-1)^2+Y^2 \} \{ (X+1)^2+Y^2\} }=4 \)
\( 2X^2+2Y^2-2=-\sqrt{ \{(X-1)^2+Y^2 \} \{ (X+1)^2+Y^2\} } \)
ここで右辺は必ず負なので左辺も負。つまり\( X^2+Y^2<1 \)・・・①
①の範囲では2乗しても同値なので両辺2乗すると
\( (2X^2+2Y^2-2)^2=\{ (X^2+Y^2+1)-2X \} \{ (X^2+Y^2+1)+2X \} \)
\( A=X^2+Y^2+1 \)とおくと
\( (2A-4)^2=(A-2X)(A+2X) \)
\( 4A^2-16A+16=A^2-4X^2 \)
\( 3A^2-16A+16+4X^2 =0 \)
\( 3A^2-12A-4(X^2+Y^2+1)+16+4X^2=0 \)
\( 3A^2-12A+12-4Y^2=0 \)
\( 3(X^2+Y^2-1)^2-4Y^2=0 \)
\( 3(X^2+Y^2-1-\frac{2\sqrt{3}}{3}Y)(X^2+Y^2-1+\frac{2\sqrt{3}}{3}Y)\)
\( 3\{ X^2+(Y-\frac{\sqrt{3}}{3})^2-\frac{4}{3} \} \{ X^2+(Y+\frac{\sqrt{3}}{3})^2-\frac{4}{3} \}=0 \)
よって\( X^2+(Y-\frac{\sqrt{3}}{3})^2-\frac{4}{3}=0 \)または\( X^2+(Y+\frac{\sqrt{3}}{3})^2-\frac{4}{3} =0 \)の\( X^2+Y^2<1 \)の部分。
整理すると本解と同じ結果を得る。

余弦定理でもできなくはないのですがかなり式変形が難しいです。なので円周角の定理を使った解法をオススメします。

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