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上野竜生です。5次以上の方程式には解の公式が存在しません。ギリギリ解の公式が存在するのが4次方程式までです。4次方程式の解の公式ってどんなのだろう?覚えられるのかな?と興味をもつのは自然な考えでしょう。残念ながら4次方程式の解の公式はきわめて複雑なので一般の場合で理解するのは非常に困難です。しかし,具体例を使って本質部分を理解することはできるので,それを紹介します。

3次方程式と同様に最高次の係数を1にしてその次の係数を0にする

詳しくは3次方程式のときの解説をご覧ください。


つまり,\( ax^4+ bx^3+ cx^2 +dx +e =0 \)
は両辺a(≠0)で割ると最高次の係数を1にできますし,うまくx軸方向に平行移動すると\(x^3 \)の係数を0にすることができます。ということで,
\( x^4+ cx^2 +dx +e =0 \)が解ければ一般の4次方程式が解けたことになります。
一般のc,d,eのまま解くのはめちゃくちゃ汚くなるので具体的な数字で解いてみましょう。

ちなみに,一般に解くときは途中で2次方程式の解の公式も使いますし,3次方程式の解も使いますので3次方程式が解けることが前提になります。

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例題

\( x^4-30x^2-12x+8=0 \)を解きたい。次の誘導に従って解け。
(解1)
(1)整数係数で因数分解して解け。
(解2)
(2)2つの平方式の差でかけるとする。つまり
\( x^4-30x^2-12x+8 = (x^2 + u)^2 - \)(平方式)
の形でかけるようなuの値を1つ求めよ。
(候補は複数出てきますがなんでもいいので綺麗なものを選ぶと吉)
(3)(2)で求めたuに対し,(平方式)を求めたうえで因数分解し,解を求めよ。
(解3)
(4)
\( (x-a-b-c)(x-a+b+c)(x+a-b+c)(x+a+b-c) \\ = x^4 - 2(a^2+b^2+c^2)x^2 - 8abc x + a^4+b^4+c^4-2(a^2 b^2 + b^2 c^2 + c^2 a^2) \)
を利用してa,b,cに関する関係式を3つ求めよ。
(5)a,b,cを求めて解を求めよ。
答え(1)因数分解を考える。
\( f(x)=x^4-30x^2-12x+8 \)とすると
f(±1),f(±2),f(±4),f(±8)はどれも0にならないので1次式では因数分解できない。
よってもし因数分解できるなら(2次式)×(2次式)の形に因数分解できる
\( x^4-30x^2-12x+8=(x^2+ax+b)(x^2+cx+d) \)とおく。
3次の係数に着目するとa+c=0だからc=-aである。
\( x^4-30x^2-12x+8=(x^2+ax+b)(x^2-ax+d) \)とおく。
右辺を展開すると
\( x^4+(b+d-a^2)x^2 + a(d-b)x +bd \)
係数を比較すると
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} b+d-a^2 =-30 \\ a(d-b)=-12 \\ bd=8 \end{array} \right.\end{eqnarray}
(b,d)=(1,8),(2,4),(4,2),(8,1),(-1,-8),(-2,-4),(-4,-2),(-8,-1)
a(d-b)=-12だからd-bは12の約数。よってこれに適する組み合わせは
(b,d,a)=(2,4,-6),(4,2,6), (-2,-4,6),(-4,-2,-6)
\( b+d-a^2=-30 \)を満たすのは(b,d,a)=(2,4,-6),(4,2,6)
どちらの場合でも因数分解すると
\( (x^2-6x+2)(x^2+6x+4) \)
よって方程式の解は\( 3\pm \sqrt{7} , -3 \pm \sqrt{5} \)
この解法は最も思いつきやすいですがいつもいつも整数係数で因数分解できるかと言われるとなかなかそうはいきません。(ただ,実際の試験で出題されるようなものについては整数係数で因
数分解できないと手計算では解けないと考えていいでしょう)
答え(2)
\( x^4-30x^2-12x+8 = (x^2 + u)^2 - \)(平方式)
とかけるとする。移項すると
(平方式)=
\( x^4 + 2ux^2 + u^2 - x^4 + 30x^2 +12x - 8 \\ = (2u+30)x^2 +12x + (u^2-8) \)
平方式ということは(平方式)=0が重解をもつということ,つまり判別式が0だから
\( D/4 = 36- (2u+30)(u^2-8)=0 \)
\( (u+15)(u^2-8)-18 \\ = u^3 +15u^2 - 8u -138 \\ = (u-3)(u^2+18u+46)=0 \)
よってu=3が求めるものの1つである。

\(u= -9 \pm \sqrt{35} \)でもいいのですが,次の(3)が面倒になります。

(3) u=3のときは
(平方式)=
\( 36x^2+12x+1=(6x+1)^2 \)
つまり
\( x^4-30x^2-12x+8 \\= (x^2 + 3)^2 - (6x+1)^2 \\ = (x^2+3+6x+1)(x^2+3-6x-1) \\ = (x^2+6x+4)(x^2-6x+2) \)
となり方程式の解は\( 3\pm \sqrt{7} , -3 \pm \sqrt{5} \)

このやり方なら一般の場合でも因数分解できますね。ちなみにuを求める部分の判別式=0を解く部分が3次式になります。よって4次式の解の公式を導くためには,あの長い3次方程式の解の公式を使うことになります。

答え(4)

\( (x-a-b-c)(x-a+b+c)(x+a-b+c)(x+a+b-c) \\ = x^4 - 2(a^2+b^2+c^2)x^2 - 8abc x + a^4+b^4+c^4-2(a^2 b^2 + b^2 c^2 + c^2 a^2)\\=x^4-30x^2-12x+8 \)

係数を比較すると
\( a^2+b^2+c^2=15 \)・・・①
\( abc=\frac{3}{2} \)・・・②
\( a^4+b^4+c^4-2(a^2 b^2 + b^2 c^2 + c^2 a^2)=8 \)・・・③
(5)②より
\( a^2 b^2 c^2 = \frac{9}{4} \)・・・④
①の2乗を③に代入すると
\( (a^2+b^2+c^2)^2-4(a^2 b^2 + b^2 c^2 + c^2 a^2)=8 \)
よって
\(a^2 b^2 + b^2 c^2 + c^2 a^2 = \frac{217}{4} \)・・・⑤
①④⑤より,\( a^2 , b^2 , c^2 \)はtについての3次方程式
\(\displaystyle t^3- 15t^2 +\frac{217}{4} t - \frac{9}{4} = 0\)
の解である。
\( 4t^3-60t^2+217t -9 \\ = (t-9)(4t^2-24t+1) =0 \)
より\(\displaystyle t= 9 , \frac{12 \pm 2\sqrt{35}}{4} \)
\(\displaystyle \alpha=\frac{\sqrt{7}+\sqrt{5}}{2} , \beta=\frac{\sqrt{7}-\sqrt{5}}{2} \)とすると
\( t= 3^2 , \alpha^2 , \beta^2 \)である。
②より符号の制限があることに注意する
\( \{ a,b,c \} = \{ 3,\alpha , \beta \} ,\{ 3,-\alpha , -\beta \},\{ -3,-\alpha , \beta \},\{ -3,\alpha , -\beta \} \)
もとの方程式の解はa+b+c,a-b-c, -a+b-c , -a-b+c だからいずれの組み合わせに対しても
\( x=3\pm \sqrt{7} , -3 \pm \sqrt{5} \)になる。

解2を利用して2乗-2乗の形をつくり出して求める方法が4次方程式の解の公式の基本的な考えです。最終結果の公式を丸暗記することは不可能なので考え方を知っているとかなり物知りだと思われるようになります。入試で出題された場合はほぼ解1の因数分解じゃないと不可能に近いでしょう。

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