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上野竜生です。今回はπが無理数であることの証明を要求する入試問題があったのでそれを紹介します。かなり有名問題になってしまいましたが,美しい性質を示すのは道のりが大変なことが多いです。この問題も誘導があるとはいえ、かなり難しいです。解けるか挑戦してみましょう。

問題

\(\pi \)を円周率とする。次の積分について考える。
\(\displaystyle I_0=\pi \int_0^1 \sin{\pi t}dt , \)
\(\displaystyle I_n=\frac{\pi^{n+1}}{n!} \int_0^1 t^n (1-t)^n \sin{\pi t }dt \)
(n=1,2・・・)
(1)nが自然数のとき
\(\displaystyle 1+\frac{x}{1!}+\frac{x^2}{2!}+\cdots +\frac{x^n}{n!}<e^x (x>0)\)
が成立することを数学的帰納法を用いて示せ。
これを用いて\( I_0+uI_1+\cdots + u^n I_n < \pi e^{\pi u} (u>0) \)を示せ。
(2)\( I_0, I_1 \)を求めよ。また,漸化式
\( \displaystyle I_{n+1}=\frac{4n+2}{\pi}I_n- I_{n-1} ~(n=1,2,\cdots)\)を示せ。
(3)πが無理数であることを背理法により証明しよう。πが無理数でないとし,正の整数p,qによって\(\displaystyle \pi=\frac{p}{q} \)と表されると仮定したとき,\( A_0=I_0 , A_n=p^n I_n \)とおいて,\( A_0 , A_1,A_2,\cdots \)はすべて正の整数となることを示せ。さらにこれから矛盾を導け。
[2003 阪大後期]

(1)

[前半]
\(\displaystyle f_n(x)=e^x - (1+\frac{x}{1!}+\frac{x^2}{2!}+\cdots +\frac{x^n}{n!}) \)
とおく。すべての自然数nについて\(f_n(x)>0 ~ (x>0) \)となることを数学的帰納法で示す。
n=1のとき\( f_1(x)=e^x-1-x \)
\( f_1’(x)=e^x-1 > 0 \)だから\( f_1(x) \)は単調増加。
\( f_1(0)=0 \)より\( f_1(x)>0 \)
n=kのときに成立すると仮定する。つまり\( f_k(x)>0 \)と仮定する。
n=k+1のとき
\( f_{k+1}’(x)=f_k(x)>0 \)なので\(f_{k+1}(x) \)は単調増加。
\( f_{k+1}(0)>0 \)より\(f_{k+1}(x)>0 \)
よって数学的帰納法より題意は成立。
[後半]
\(\displaystyle \sum_{k=0}^n u^k I_k = \sum_{k=0}^n u^k \frac{\pi^{k+1}}{k!} \int_0^1 t^k (1-t)^k \sin{\pi t} dt \)
ここで右辺の積分関数について0≦t≦1のとき\( 0 \leq t^k \leq 1, 0\leq (1-t)^k \leq 1 , 0\leq \sin{\pi t } \leq 1 \)なので被積分関数は1以下であり,積分区間も1であるから
\(\displaystyle \sum_{k=0}^n u^k I_k \leq \pi \sum_{k=0}^n \frac{(\pi u)^k}{k!} < \pi e^{\pi u } \)
(∵前半で示した式より)
よって後半も成立。

(2)

[前半]
\(\displaystyle I_0=\left[ -\cos{(\pi t)} \right]_0^1 =2 \)
\(\displaystyle I_1=\pi^2 \int_0^1 (t-t^2) \sin{(\pi t)} dt \\ =\displaystyle \left[ - \pi (t-t^2)\cos{(\pi t)} \right]_0^1 + \int_0^1 \pi (1-2t)\cos{(\pi t)} dt \\ = \displaystyle \left[ (1-2t)\sin{(\pi t)} \right]_0^1 + \int_0^1 2 \sin{(\pi t )} dt \\ = \displaystyle \left[ -\frac{2}{\pi} \cos{(\pi t)} \right]_0^1 = \frac{4}{\pi} \)

[後半]

\(\displaystyle I_{n+1} \frac{\pi^{n+2}}{(n+1)!} \int_0^1 t^{n+1} (1-t)^{n+1} \sin{\pi t} dt \\ = \displaystyle \frac{\pi^{n+2}}{(n+1)!} \left\{ \left[ -\frac{1}{\pi} t^{n+1} (1-t)^{n+1}\cos{\pi t} \right]_0^1 + \int_0^1 \frac{1}{\pi} (n+1)t^n (1-t)^n (1-2t) \cos{\pi t} dt \right\} \\ = \displaystyle \frac{\pi^{n+1}}{n!} \int_0^1 t^n (1-t)^n (1-2t)\cos{\pi t}dt \\ = \displaystyle \frac{\pi^{n+1}}{n!} \left\{ \left[ \frac{1}{\pi} t^n (1-t)^n (1-2t) \sin{\pi t} \right]_0^1 - \int_0^1 (nt^{n-1} (1-t)^{n-1} (1-2t)^2 - 2t^n (1-t)^n ) \cdot \frac{1}{\pi} \sin{\pi t} dt \right\} \\ = \displaystyle \frac{2\pi^n}{n!} \int_0^1 t^n (1-t)^n \sin{\pi t} dt - \frac{\pi^n}{(n-1)!} \int_0^1 t^{n-1}(1-t)^{n-1} \{ 1-4t(1-t) \} \sin{\pi t} dt \\ = \displaystyle \frac{2}{\pi} I_n-I_{n-1} + \frac{4\pi^n}{(n-1)!} \int_0^1 t^n (1-t)^n \sin{\pi t}dt \\ = \displaystyle \frac{4n+2}{\pi} I_n - I_{n-1}\)

(3)

[前半]数学的帰納法で示す。
n=0のとき\( I_0=2 , A_0=2 \)は整数。
n=1のとき\(\displaystyle I_1=\frac{4}{\pi} = \frac{4q}{p} , A_1=4q \)は整数。
\( n=k,k-1\)で成立すると仮定するとn=k+1のとき(2)の漸化式から
\(\displaystyle A_{k+1}=p^{k+1}I_{k+1} \\ = (4k+2)qp^k I_k-p^{k+1}I_{k-1} \\ = (4k+2)q A_k -p^2 A_{k-1} \)
となるから\( A_{k+1} \)も整数である。
被積分関数は正だから\( I_k , A_k \)は自然数である。

[後半]
(1)の後半で示した式でu=pとすると
\(\displaystyle A_0+A_1+\cdots + A_n < \frac{p}{q}e^{\frac{p}{q} p} \)(★)
とかける。
つまりn→∞とすると(★)の左辺は∞に発散するが,右辺は収束する。これは矛盾。
よってπは無理数である。

ちなみにeが無理数を示すのもこんな感じで「何かが整数になる」ことを導きつつ,「整数になってしまうと不都合がある」ことを示す点では似ています。πのときよりは難易度は下がるので軽く紹介します。

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eは無理数であることの証明

\(\displaystyle e=\sum_{n=0}^{\infty} \frac{1}{n!} \)は無理数である。

[証明]
\( \displaystyle e=\frac{p}{q} \)(p,qは自然数)と表されると仮定する。
2<e<3より,eは自然数ではないのでq≧2
\(\displaystyle q!e=(q!+q!+\frac{q!}{2!}+\cdots + \frac{q!}{q!})+\frac{q!}{(q+1)!} + \cdots \)(☆)
である。\( \displaystyle e=\frac{p}{q} \)とかけるならばq!eは整数であり,(☆)の右辺の( )の中は明らかに整数なので右辺の( )の外側の項も整数になるはずである。
( )の外側は明らかに0より大きい。しかし外側の部分は

\(\displaystyle \frac{q!}{(q+1)!}+\frac{q!}{(q+2)!}+\frac{q!}{(q+3)!} + \cdots \\ < \displaystyle \frac{1}{q+1} + \frac{1}{(q+1)(q+2)}+\frac{1}{(q+1)(q+2)(q+3)} +\cdots \\ < \displaystyle \frac{1}{q+1} + \frac{1}{(q+1)(q+2)}+\frac{1}{(q+2)(q+3)} +\cdots \\= \displaystyle \frac{1}{q+1} + \left( \frac{1}{q+1}-\frac{1}{q+2} \right) + \left( \frac{1}{q+2} - \frac{1}{q+3} \right) + \cdots \\ \displaystyle = \frac{2}{q+1}<1 \)

となるから整数にはならず,矛盾。よってeは無理数である。

ルート2やlogの無理数と違ってπやeの無理数の証明は少し難しいですね。

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