上野竜生です。異なる2つの数をとってきたときの積の和を計算する問題を紹介します。かなりの応用で、滅多に出ませんが解法が美しいので一度見たら忘れられないと思います。
例題1
たとえばn=4のとき
(i,j)=(1,2),(1,3),(1,4),(2,3),(2,4),(3,4)についてのijの和を計算する問題です。解1では普通にiを固定して
1・(2+3+4) + 2・(3+4) + 3・4 と計算する方法を紹介しますが,この問題は解2のほうがエレガントです。
iを固定し,(i,j)についての積ijの和をaiとする。
i+1≦j≦nの和だから
\(\displaystyle a_i= i(\sum_{j=i+1}^n j)\\ = \displaystyle i \cdot \frac{1}{2}(i+1+n)(n-i)\\ =\frac{1}{2}(n^2 i +ni -i^3 -i^2) \)
これをi=1からn-1まで足したものが求めるものだから
=\displaystyle \frac{n(n-1)}{24} ( 6n^2+6n-3n^2+3n-4n+2 ) \\ \displaystyle =\frac{n(n-1)}{24}(3n^2+5n+2) \\ \displaystyle = \frac{1}{24}n(n-1)(n+1)(3n+2) \)
【解2】下の図を参照
求めるものは赤色の面積である。赤色の面積と左下の白色の面積は等しいから大きい正方形から小さな青い正方形n個の面積を引いて2で割ればよい。
大きい正方形の1辺の長さは
\(\displaystyle \sum_{k=1}^n k =\frac{1}{2}n(n+1) \)
よって大きい正方形の面積は
\(\displaystyle \frac{1}{4}n^2 (n+1)^2 \)
小さい(青い)正方形の面積の和は
\(\displaystyle \sum_{k=1}^n k^2=\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) \)
よって求める面積は
\(\displaystyle \frac{1}{2}\{ \frac{1}{4}n^2 (n+1)^2 - \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) \} \\ =\displaystyle \frac{n(n+1)}{24} (3n^2+3n-4n-2)\\ \displaystyle =\frac{1}{24}n(n+1)(n-1)(3n+2) \)
「異なる2つの数の積の和」という言い方をすると頭が混乱しがちですし,かといってうまく言葉で表現するのが難しいので次の例題2のような形で問われることがあります。同じことだと気づきましょう。
例題2
f(x)=(x-r)(x-r2)(x-r3)(x-r4)・・・(x-rn)とする。
f(x)を展開したときのxn-2の係数を求めよ。
大きい正方形の1辺の長さは
\(\displaystyle \sum_{k=1}^n r^k = \frac{r^{n+1}-r}{r-1}\)
面積は\(\displaystyle \frac{(r^{n+1}-r)^2}{(r-1)^2} \)
青い正方形の面積の和は
\(\displaystyle \sum_{k=1}^n (r^{2k})=\frac{r^{2n+2}-r^2}{r^2-1}\)
よって求める面積は
分子を整理する。
よって求める係数は
\(\displaystyle \frac{r^3(r^{n-1}-1)(r^n-1)}{(r+1)(r-1)^2}\)
かなり美しい解法ですね。理解すればすぐに使えると思います。
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