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 上野竜生です。今回は回転体の容器に水を入れる問題を紹介します。最後は簡単な微分方程式を解くことになるのでその練習も兼ねてやりましょう。(微分方程式が入試範囲外なら最後の[B]は省略してください。)

例題1

半径1の半球に水を満水まで入れた。この容器を\(\theta \)(rad)傾けるとき、こぼれる水の量を求めよ。
答えθ回転させたとき残る水は図1の水色部分だからこぼれる水は図2の赤色部分の回転体の体積である。よって
\( \displaystyle \int_0^{\sin{\theta}} \pi (\sqrt{1-x^2} )^2dx = \left[ \pi x -\frac{1}{3}\pi x^3 \right]_0^{\sin{\theta}} \\ \displaystyle = \pi \sin{\theta} -\frac{\pi}{3} \sin^3{\theta} \)

水色が図1・赤色が図2

図1図2

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例題2

\(y=x^2 (0\leq x \leq 3)\)をy軸周りに1回転させてできる容器がある。
[A]空の状態からここに水を満水になるまで毎秒1の割合で注いでいく。
(1) t秒後の水面の高さを求めよ。
(2) 満水になるまでにかかる時間を求めよ。
(3) t秒後の水面の面積を求めよ。
(4) t秒後の水面の上昇速度を求めよ。
(5) t秒後の水面の面積の増加速度を求めよ。
答え(1) 高さhまで水が入ったときの水の量は回転体の体積の公式から
\(\displaystyle \int_0^h \pi x^2 dy = \int_0^h \pi (\sqrt{y})^2 dy = \frac{1}{2}\pi h^2 \)
t秒後の水の量はtだから\(\displaystyle \frac{1}{2}\pi h^2=t \)
これを解くと\(\displaystyle h=\sqrt{ \frac{2t}{\pi} } \)
(2) 満水時の高さは9だから\(\displaystyle 9=\sqrt{\frac{2t}{\pi}} \)
よって\( 81\pi =2t \) ∴\(\displaystyle t=\frac{81}{2}\pi \)
(3) 高さhの水面の面積は
\(\displaystyle \pi x^2=\pi h = \sqrt{2\pi t } \)
(4) (1)をtで微分すればよい。よって\(\displaystyle \sqrt{\frac{2}{\pi}} \cdot \frac{1}{2\sqrt{t}}= \frac{1}{\sqrt{2\pi t}} \)
(5) (2)をtで微分すればよいので\(\displaystyle \sqrt{ \frac{\pi}{2t}} \)
[B]満水の状態から水を抜く。水面の高さがhのとき\(\sqrt{h}\)の割合で水が抜けていくとする。つまり容器内の体積をVとすると\(\displaystyle \frac{dV}{dt} = -\sqrt{h} \)が成り立つ。
(6) t秒後の水面の高さを求めよ。
(7) 空になるまでにかかる時間を求めよ。
答え(6) (1)の回転体の体積より\(\displaystyle V=\frac{1}{2}\pi h^2 \)
合成関数の微分より
\(\displaystyle \frac{dV}{dt}=\pi h \frac{dh}{dt} = -\sqrt{h} \)
この微分方程式を解けばよい。
\(\displaystyle dt=-\pi \sqrt{h}dh \)
\(\displaystyle \int dt = \int - \pi \sqrt{h} dh \)
\(\displaystyle t= -\frac{2}{3} \pi h^{\frac{3}{2}} +C \)・・・①
t=0のとき満水、つまりh=9だから\( C=18 \pi \)
整理すると
\(\displaystyle \frac{2}{3}\pi h^{\frac{3}{2}} =18\pi-t \)
∴\(\displaystyle h=\sqrt[3]{\left( 27-\frac{3t}{2\pi} \right)^2} \)
(7) ①より\( h=0 \)を代入すると\( t=18\pi \)
簡単な微分方程式とは
\(\displaystyle \frac{dy}{dx} = f(x)g(y) \)の形になっているものだと思います。
この解き方はx,yを片方の辺にもってきて
\(\displaystyle \frac{1}{g(y)} dy = f(x)dx \)としたあと両辺に∫をつけて不定積分を求めます。(両辺に積分定数が出ますが移項すれば片方だけで十分です。今回の例題のように初期値などがある場合は積分定数の値が1つ定まることもあります。)
あとはyで整理できるならyで整理しましょう。
有名な微分方程式の例
\(\displaystyle \frac{dy}{dx}=y \)となる関数yをxの式で表しましょう。
答えyを左辺に持ってきますが0で割れないので場合分けがいります。
y=0のとき\(\displaystyle \frac{dy}{dx}=0=y \)なのでy=0は明らかに成立。
y≠0のとき整理すると\(\displaystyle \frac{dy}{y} = dx \)
よって\(\displaystyle \int \frac{dy}{y}=\int dx \)
\(\displaystyle \log{|y|}=x+C \)
\( |y|=e^{x+C}=Be^x \) (\(B=e^C >0\)よりBは正の定数
つまり\( y=\pm Be^x= Ae^x \) (Aは0以外の定数
y=0も含めてまとめると\(y=Ae^x \) (Aは任意定数)

という風に解きます。

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