上野竜生です。今回は複素数平面の応用として半径1の円に内接する正n角形の1つの頂点から他の頂点にひいた(n-1)本の線分の長さの積を求めます。
まずは事実を述べます。
主張
このとき積ℓ1ℓ2・・・ℓn-1=nである。
すごい結果ですね。これを証明します。
証明
半径1の円を単位円とし,複素数平面において点Akが表す複素数を
\(\displaystyle \alpha_k=\cos{\frac{2\pi k}{n}}+i\sin{\frac{2\pi k}{n}}\)として良い。(\(\alpha_0=1\)に注意)
このとき\( l_k=|\alpha_0 - \alpha_k| =|1-\alpha_k | \)
ここで
\( x^n-1=(x-\alpha_0)(x-\alpha_1)(x-\alpha_2) \cdots (x-\alpha_{n-1}) \)
と因数分解できることを利用する。両辺を(x-1)で割ると
\( x^{n-1}+x^{n-2}+\cdots +x^2+x+1=(x-\alpha_1)(x-\alpha_2)\cdots (x-\alpha_{n-1}) \)
となる。これにx=1を代入すると
\( n=(1-\alpha_1)(1-\alpha_2)\cdots (1-\alpha_{n-1}) \)
よって
\( l_1 l_2 \cdots l_{n-1} \\
=|1-\alpha_1| |1-\alpha_2| \cdots |1-\alpha_{n-1}|\\
=|(1-\alpha_1)(1-\alpha_2)\cdots (1-\alpha_{n-1})|\\=|n|=n \)
となり証明完了。
すごく美しい結果になりましたね。入試ではあまり出ないかもしれませんが数学書でたまに扱われます。大学で数学系に行く人は知っておくべき事実でしょう。
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照明について疑問です。
間違っていたらすみません。
両辺を(x-1)で割っている時点で、x=1を代入することは許されないと思うのですが、いかがでしょうか。
ただの因数分解なので問題ないはずです。
x^n-1=(x-α0)・・・(x-αn-1)
はx=α1,α2,・・・,αn-1を代入すると両辺ともに0になる。
(x-1)で割ったあとの左辺にx=α1,α2,・・・,αn-1を代入すると0になるので(x-α1),(x-α2)・・・,(x-αn-1)を因数にもつ。
なのでx-1で割ったあとの左辺の式を因数分解すると右辺の式になる。これはただの因数分解なのでx=1も含めて常に成り立つ。
という感じですね。