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上野竜生です。今回は正領域と負領域について紹介します。難関大学になるとこの考えだけではうまく処理できない問題が頻出なので,あえて知らなくてもいい内容ですが,これで瞬殺できるパターンもあるので紹介します。

正領域と負領域

平面がf(x,y)=0で分割され,片方がf(x,y)>0,もう片方がf(x,y)<0を満たすとする。このときf(x,y)>0を満たす方を正領域,f(x,y)<0を満たす方を負領域という。

特に与えられた図形f(x,y)=0に関して2点(a,b),(c,d)が反対側にある条件は
f(a,b)・f(c,d)<0
で表される。
(どちらかが正でどちらかが負になるのでかけ算して負になることが必要十分)

さらに,「(a,b),(c,d)を通る線分」と直線px+qy=rが交わる条件
f(x,y)=px+qy-rとおいて適用すると
(ap+bq-r)・(cp+dq-r)<0
交わるのではなく「共有点をもつ(重なるのもアリ)」なら等号をつけて
(ap+bq-r)・(cp+dq-r)≦0
で求められる。

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例題1

正領域の例題1
円\( x^2+y^2=5 \)に関して(k,1),(2,k)が互いに反対側にあるようにkの値の範囲を定めよ。ただし,k>0とする。
答え\( (k^2+1-5)(k^2+4-5)<0 \)
つまり\( (k^2-4)(k^2-1)<0\)
\( (k+2)(k+1)(k-1)(k-2)<0 \)
\( (k-1)(k-2)<0 \) (∵k>0)
1<k<2

例題1の前に「直線」と線分が交わる条件を扱いましたが,一般的な図形と線分が交わる条件は実はそううまくいきません。

どちらも正領域だけど交わる例

この図では線分の両端の2点はどちらも同じ側にありますが交わっています。このようなパターンもあるので「直線」と線分以外は結局地道に解く必要があるのです。地道に解くといってもどうやって解くか思いつかない人のために例題を紹介します。

例題2

放物線C:\( y=x^2+ax+b \)と点A(1,3),B(2,5)がある。
(1)Cに関してA,Bが互いに反対側にあるような(a,b)の領域を図示せよ。
(2)線分ABとCの共有点がちょうど1つとなるような(a,b)の領域を図示せよ。

(1)と(2)は似ている問題に見えて全然違います。(2)を解ききるのは至難の業です。

答え

(1)直線ABの方程式はy=2x+1
C:\( F(x,y)= x^2 +ax+b-y \)とおくと
F(1,3)F(2,5)<0より
(1+a+b-3)(4+2a+b-5)<0
(a+b-2)(2a+b-1)<0
これを図示すると下の斜線部分。ただし境界は含まない。
正領域の例題2(1)

(2)\( x^2+ax+b=2x+1 \)が1≦x≦2の範囲にただ1つだけ解をもつ条件を考える。
\( G(x)=x^2+(a-2)x+(b-1) \)とおく。
\( G(1)=1+a-2+b-1=a+b-2 \)
\( G(2)=4+2a-4+b-1=2a+b-1 \)
\( G(x)=( x+\frac{a-2}{2} )^2 - \frac{(a-2)^2}{4}+b-1 \)
まず,境界x=1,2で解をもつ場合を考える。つまり,G(1)G(2)=0の場合を考える。
①G(1)=0のとき
つまりG(1)=a+b-2=0である。このときb-1=1-aなので
\( G(x)=x^2+(a-2)x+(1-a)=(x-1)(x+a-1) \)
つまり,2つの解は1,1-aである。
よって1<1-a≦2を満たすときは1≦x≦2での解が2つになり,それ以外では解は1つである。
∴a+b-2=0のa<-1の部分またはa≧0の部分は条件を満たす。
②G(2)=0のとき
つまりG(2)=2a+b-1=0である。このとき
\( G(x)=x^2+(a-2)x-2a=(x-2)(x+a) \)
つまり,2つの解は2,-aである。
よって1≦-a<2を満たすときは1≦x≦2での解が2つになり,それ以外では解は1つである。
∴2a+b-1=0のa≦-2の部分またはa>-1の部分は条件を満たす。

x=1,2では解を持たない場合を考える。つまりG(1)G(2)>0またはG(1)G(2)<0のどちらかである。
③G(1)G(2)<0のときは1<x<2の範囲にただ1つ解をもつ
x=1,2では解をもたないから(a+b-2)(2a+b-1)<0のときは条件を満たす
④G(1)G(2)>0のときはx軸に関して(1,G(1))と(2,G(2))が同じ側にある。(「G(1)>0,G(2)>0」または「G(1)<0,G(2)<0」である)
このとき,条件を満たすのは1<x<2でx軸と接するときである。接するときのx座標は軸のx座標に等しいことに注意すると軸の条件から
\(\displaystyle 1<-\frac{a-2}{2}<2 \)つまり,\( -2<a<0 \)である。
G(x)=0の判別式が0だから
\( (a-2)^2-4(b-1)=0 \) ∴\(\displaystyle b=\frac{(a-2)^2}{4}+1 \)
以上を図示すると下の斜線部分と太い(青の)部分。
正領域の例題2(2)

ただし,境界は点線部分と白丸は除く。実線と赤丸は含む。

「1つだけ解をもつ」がかなり意地悪でしたが,「少なくとも1つ」だった場合は最終結果の真ん中(白丸の右上)の欠けている部分が追加されます(その部分では2つ解をもつ)

なお,後で学習する「線分の通過領域」の解法だともう少しヒラメキ要素は減ります(ただし場合分けと計算量はそれほど変わりません)

あわせてよみたい

このように,正領域と負領域を使えば瞬殺できる問題もありますが,難関大学では瞬殺じゃないパターン(例題2(2)のタイプ)がよく出てきますし,そうなると正領域・負領域の考えが使えないので,あえて知らないままにしても問題ないでしょう。

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