上野竜生です。不等式の証明の基本はf(x)=(左辺)-(右辺)を計算しf'(x)を計算してfの最小値>0などを示すものです。少し応用としてf'(x)=0が解けない場合にf''(x)まで計算するパターンまでは学習しました。今回は単純にこのパターンでやると解けない問題を2つ紹介します。
例題1
単純に(左辺)-(右辺)>0を示す方針ではなかなかうまくいきません。まず一工夫してから解いてみましょう。指数になっているものは対数をとればいいですね。
\(\displaystyle (2x-1)\log{x} > (x-1)\log{2x} \)を示せば十分。
\( f(x)=(2x-1)\log{x}-(x-1)\log{2x} \)とおいてf(x)>0を示す。
\( f’(x)=2\log{x} + \frac{2x-1}{x} - \log{2x} - \frac{2x-2}{2x}=\log{x}-\log{2}+1 >0 \)
x>1では単調増加。f(1)=0なのでf(x)>0
\( g’(x)=x^{2x-1}\cdot (2\log{x}+2-\frac{1}{x}) - (2x)^{x-1} \cdot (\log{2x} + 1 -\frac{1}{x}) \)
までは計算できますがそこで詰みますね。
例題2
\( f’(x)=2e^{2x}-e^x-xe^x \)
ここでf’(x)の正負がわからないので基本ではf’’(x)を計算してf’(x)が単調だというのですがこれだと
\( f’’(x)=4e^{2x}-e^x-e^x-xe^x \)となって何回微分しても正負がわかりません。ではどうするかというと\(f’(x)=e^x(2e^x-1-x) \)と「因数分解」して\( e^x>0\)は明らかだから\( 2e^x-1-x >0 \)を示せばいいという方針に持ち込みます。
答え(後半)\( g(x)=2e^x-1-x \)とおくと
\( g’(x)=2e^x-1 >0 (∵x>0) \)
よってg(x)は単調増加でありg(0)=1だからx>0でg(x)>0
\( f’(x)=e^x g(x)>0 \)となりf(x)は単調増加。
f(0)=0だからf(x)>0
別解
\( e^x(e^x-x)>1 \)を示す。\( x>0\)のとき\( e^x>1 \)だから\( e^x-x >1 \)を示せばよい。
\( h(x)=e^x-x \)とおくと\( h’(x)=e^x-1 >0 \)だからh(x)は単調増加で
h(0)=1よりh(x)>1 よって成立。
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