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上野竜生です。今回は複素数の関係式が与えられたとき三角形ABCがどのような三角形かを特定する方法を紹介します。
基本方針
\(\displaystyle \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}=r(\cos{\theta}+i\sin{\theta}) \)などの形にまで持ってくれば角A=θであることとAB:AC=1:rであることがわかるので三角形の形状が特定できる。
もちろん\(\displaystyle \frac{\gamma-\beta}{\alpha-\beta} \)などにしても同様です。
なおどの位置にあるかや大きさなどはわかりません。それを特定するにはほかの条件が必要になります。
なおどの位置にあるかや大きさなどはわかりません。それを特定するにはほかの条件が必要になります。
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例題1
複素数\(\alpha,\beta,\gamma \)が\( (-2+4i)\alpha-(3+4i)\beta+5\gamma = 0 \)を満たしながら動くとき複素数平面上で\(\alpha,\beta,\gamma\)を表す点はどんな三角形になるか?
答え\(\displaystyle \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}=\frac{\frac{(3+4i)\beta-(-2+4i)\alpha}{5}-\alpha}{\beta-\alpha}=\frac{3+4i}{5} \)
つまり\(\displaystyle \left|\frac{3+4i}{5}\right| =1 \)より\(|\gamma-\alpha|=|\beta-\alpha|\)となるので
AB=ACの二等辺三角形
つまり\(\displaystyle \left|\frac{3+4i}{5}\right| =1 \)より\(|\gamma-\alpha|=|\beta-\alpha|\)となるので
AB=ACの二等辺三角形
ちなみにこれをB(β)のほうで整理すると見通しが悪くなります。しかし出来なくはありません。
\(\displaystyle \frac{\gamma-\beta}{\alpha-\beta}=\frac{\frac{(3+4i)\beta-(-2+4i)\alpha}{5}-\beta}{\alpha-\beta}=\frac{2-4i}{5} \)
\(AB=k\)とおくと\(\displaystyle BC=\left| \frac{2-4i}{5} \right| k = \frac{2\sqrt{5}}{5} k \)
∠ABC=θとおくと\(\cos{\theta}=\frac{1}{\sqrt{5}} \) (∵\(\frac{2-4i}{5}=\frac{2\sqrt{5}}{5}(\frac{1}{\sqrt{5}} - \frac{2}{\sqrt{5}} )i\) )
余弦定理より
\(AC^2=AB^2+BC^2-2AB \cdot BC \cos{\theta} \\ \displaystyle = k^2+ \left( \frac{2\sqrt{5}}{5}k \right)^2 -2k \left( \frac{2\sqrt{5}}{5}k \right) \frac{1}{\sqrt{5}} \\ \displaystyle = k^2+\frac{4}{5}k^2 -\frac{4}{5} k^2=k^2 \)
∴\(AC=k=AB \)
AB=ACの二等辺三角形
\(\displaystyle \frac{\gamma-\beta}{\alpha-\beta}=\frac{\frac{(3+4i)\beta-(-2+4i)\alpha}{5}-\beta}{\alpha-\beta}=\frac{2-4i}{5} \)
\(AB=k\)とおくと\(\displaystyle BC=\left| \frac{2-4i}{5} \right| k = \frac{2\sqrt{5}}{5} k \)
∠ABC=θとおくと\(\cos{\theta}=\frac{1}{\sqrt{5}} \) (∵\(\frac{2-4i}{5}=\frac{2\sqrt{5}}{5}(\frac{1}{\sqrt{5}} - \frac{2}{\sqrt{5}} )i\) )
余弦定理より
\(AC^2=AB^2+BC^2-2AB \cdot BC \cos{\theta} \\ \displaystyle = k^2+ \left( \frac{2\sqrt{5}}{5}k \right)^2 -2k \left( \frac{2\sqrt{5}}{5}k \right) \frac{1}{\sqrt{5}} \\ \displaystyle = k^2+\frac{4}{5}k^2 -\frac{4}{5} k^2=k^2 \)
∴\(AC=k=AB \)
AB=ACの二等辺三角形
例題2
複素数\(\alpha,\beta,\gamma \)が\( 3(\alpha-\beta)^2+(\alpha-\gamma)^2=0 \)を満たしながら動くとき複素数平面上で\(\alpha,\beta,\gamma\)を表す点はどんな三角形になるか?
\(\displaystyle \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}=\cdots \)の形に変形できればゴールです。2次式になっているので少し難易度は上がっていますが比較的容易にこの形に持っていけるでしょう。
答え\((\alpha-\gamma)^2=-3(\alpha-\beta)^2 \)
\(\displaystyle \left(\frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha} \right)^2 =-3 \)
\(\displaystyle \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}= \pm \sqrt{3}i=\sqrt{3}(\cos{(\pm \frac{\pi}{2})}+i\sin{(\pm \frac{\pi}{2})}) \)(複号同順)
よってACはABを\(\pm \frac{\pi}{2} \)回転させて\(AB:AC=1:\sqrt{3} \)にしたもの。
つまり角Aが90°の直角三角形
\(\displaystyle \left(\frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha} \right)^2 =-3 \)
\(\displaystyle \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}= \pm \sqrt{3}i=\sqrt{3}(\cos{(\pm \frac{\pi}{2})}+i\sin{(\pm \frac{\pi}{2})}) \)(複号同順)
よってACはABを\(\pm \frac{\pi}{2} \)回転させて\(AB:AC=1:\sqrt{3} \)にしたもの。
つまり角Aが90°の直角三角形
角B=60°,角C=30°もわかります。
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例題3
複素数\(\alpha,\beta \)が\( \alpha^2+ 4 \beta^2= 2 \alpha \beta \)を満たしながら動くとき複素数平面上で\(0,\alpha,\beta\)を表す点はどんな三角形になるか?
1点が0とわかっているので\(\displaystyle \frac{\beta-0}{\alpha-0}=\frac{\beta}{\alpha} \)がわかればよいのです。そのためには両辺を\(\alpha^2 \)で割ると見通しが良くなります。
答え両辺を\(\alpha^2 (\neq 0)\)で割ると
\(\displaystyle 1+ 4\left( \frac{\beta}{\alpha} \right)^2 = 2 \frac{\beta}{\alpha} \)
\(\displaystyle t=\frac{\beta}{\alpha} \)とおくと
\(4t^2-2t+1=0 \)
∴\(\displaystyle t=\frac{\beta}{\alpha}=\frac{1 \pm \sqrt{3}i}{4}=\frac{1}{2} (\cos{(\pm \frac{\pi}{3})}+i\sin{(\pm \frac{\pi}{3})} ) \)
よってOA:OB=2:1 で角AOB=60°
つまり角B=90°となるので角B=90°の直角三角形
\(\displaystyle 1+ 4\left( \frac{\beta}{\alpha} \right)^2 = 2 \frac{\beta}{\alpha} \)
\(\displaystyle t=\frac{\beta}{\alpha} \)とおくと
\(4t^2-2t+1=0 \)
∴\(\displaystyle t=\frac{\beta}{\alpha}=\frac{1 \pm \sqrt{3}i}{4}=\frac{1}{2} (\cos{(\pm \frac{\pi}{3})}+i\sin{(\pm \frac{\pi}{3})} ) \)
よってOA:OB=2:1 で角AOB=60°
つまり角B=90°となるので角B=90°の直角三角形
例題4
複素数\(\alpha,\beta,\gamma \)が\( \alpha^2+\beta^2+\gamma^2=\alpha \beta+\beta \gamma + \gamma \alpha \)を満たしながら動くとき複素数平面上で\(\alpha,\beta,\gamma\)を表す点はどんな三角形になるか?
こういうまったく手掛かりのない問題では具体例で予想して一般に証明するのがいいでしょう。
α=0,β=1あたりにすると複素数平面上で実軸に平行なので分かりやすいと思います。このとき\(\gamma^2+1=\gamma \)となり\(\gamma=\frac{1\pm \sqrt{3}i }{2} \)だから三角形は正三角形となります。なんとなく式の美しさ(対称性)から正三角形っぽいですよね。ということで正三角形と予想して証明しましょう。
α=0,β=1あたりにすると複素数平面上で実軸に平行なので分かりやすいと思います。このとき\(\gamma^2+1=\gamma \)となり\(\gamma=\frac{1\pm \sqrt{3}i }{2} \)だから三角形は正三角形となります。なんとなく式の美しさ(対称性)から正三角形っぽいですよね。ということで正三角形と予想して証明しましょう。
AB=ACかつ向きも考えると角A=±60°であるから
\(\displaystyle \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}=\cos{(\pm \frac{\pi}{3})}+i\sin{(\pm \frac{\pi}{3})} = \frac{1\pm \sqrt{3}i}{2} \)
この右辺は方程式\( t^2-t+1=0 \)の解だから
\(\displaystyle \left( \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha} \right)^2 - \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}+1=0\)
両辺を\( (\beta-\alpha)^2 \)倍すると
\( (\gamma-\alpha)^2-(\gamma-\alpha)(\beta-\alpha)+(\beta-\alpha)^2=0 \)
整理すると\(\alpha^2+\beta^2+\gamma^2=\alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \alpha \)
\(\displaystyle \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}=\cos{(\pm \frac{\pi}{3})}+i\sin{(\pm \frac{\pi}{3})} = \frac{1\pm \sqrt{3}i}{2} \)
この右辺は方程式\( t^2-t+1=0 \)の解だから
\(\displaystyle \left( \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha} \right)^2 - \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}+1=0\)
両辺を\( (\beta-\alpha)^2 \)倍すると
\( (\gamma-\alpha)^2-(\gamma-\alpha)(\beta-\alpha)+(\beta-\alpha)^2=0 \)
整理すると\(\alpha^2+\beta^2+\gamma^2=\alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \alpha \)
ということはこれを逆にたどればゴールですね。
答え\(\alpha^2+\beta^2+\gamma^2=\alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \alpha \)を式変形すると
\( (\gamma-\alpha)^2-(\gamma-\alpha)(\beta-\alpha)+(\beta-\alpha)^2=0 \)
両辺を\( (\beta-\alpha)^2 \)で割ると
\(\displaystyle \left( \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha} \right)^2 - \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}+1=0\)
よって
\(\displaystyle \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}=\frac{1\pm \sqrt{3}i}{2} = \cos{(\pm \frac{\pi}{3})}+i\sin{(\pm \frac{\pi}{3})} \)
つまりAB=ACかつ角A=60°なので正三角形。
\( (\gamma-\alpha)^2-(\gamma-\alpha)(\beta-\alpha)+(\beta-\alpha)^2=0 \)
両辺を\( (\beta-\alpha)^2 \)で割ると
\(\displaystyle \left( \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha} \right)^2 - \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}+1=0\)
よって
\(\displaystyle \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}=\frac{1\pm \sqrt{3}i}{2} = \cos{(\pm \frac{\pi}{3})}+i\sin{(\pm \frac{\pi}{3})} \)
つまりAB=ACかつ角A=60°なので正三角形。
解説を読んで数学がわかった「つもり」になりましたか?数学は読んでいるうちはわかったつもりになりますが演習をこなさないと実力になりません。そのためには問題集で問題を解く練習も必要です。オススメの参考書を厳選しました
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