上野竜生です。今回はzがある図形を動き,w=f(z)で変換したときのwの図形を答える問題を解説します。
基本
step1 : w=f(z)をzについて解き,z=g(w)の形に直す
step2 : z=g(w)をもとの式に代入して整理
step3 : 以下の有名パターンになればそれで答える。
なおstep1でうまく解けなかったりstep3でどうしても有名パターンにならなければ最終手段としてz=x+iyとおき軌跡の問題に帰着させればOKです。
有名パターン
|z-α|=k
αを中心とする半径kの円
m|z-α|=n|z-β|
⇔αからの距離とβからの距離がn:mになる点の軌跡
⇔(m=nのとき)αとβの垂直二等分線
(m≠nのとき)αとβをn:mに内分する点とn:mに外分する点を直径の両端とする円(アポロニウスの円)
これらのことは軌跡と領域の分野で学習済みだと思います。忘れた人はアポロニウスの円まで戻ってください。
例題
(1) w=2iz+3
(2) \(\displaystyle w=\frac{1}{z} \)
(3) \(\displaystyle w=\frac{z+2i}{3z+4i}\)
\(\displaystyle \left|\frac{w-3}{2i}-1 \right|=2 \)
よって|w-3-2i|=2|2i|=4となり3+2iを中心とする半径4の円
(2) \(\displaystyle w=\frac{1}{z} \)⇔\(\displaystyle z=\frac{1}{w} \)なのでこれを代入すると
\(\displaystyle \left|\frac{1}{w}-1 \right| =2 \)
|1-w|=2|w|つまり|w-1|=2|w|となるので
1からの距離と0からの距離が2:1となる点の軌跡。
よって-1と\(\frac{1}{3}\)を直径の両端とする円となり
中心\( -\frac{1}{3} \),半径\(\frac{2}{3} \)の円
(3) \(\displaystyle w=\frac{z+2i}{3z+4i}\)
⇔\( 3zw+4iw=z+2i \)
⇔\( (3w-1)z=2i-4iw \)
⇔\(\displaystyle z=\frac{2i-4iw}{3w-1} \)なのでこれを代入すると\(\displaystyle (w\neq \frac{1}{3}) \)
なので
\(\displaystyle 5\left| w- \frac{11+2i}{25} \right|=6\left|w-\frac{1}{3} \right| \)となるので
\(\displaystyle \frac{11+2i}{25} \)からの距離と\(\frac{1}{3} \)からの距離の比が6:5になる点の軌跡。
よって\(\displaystyle \frac{21+2i}{55},\frac{-1-2i}{5} \)を直径の両端とする円になり
中心\(\displaystyle \frac{5-10i}{55}=\frac{1-2i}{11} \),半径\(\displaystyle \frac{4}{11} \)の円
最後は計算が複雑ですが頑張って計算しましょう。
一般に\(\displaystyle w= \frac{az+b}{cz+d} \)による変換を一次変換(一次分数変換)といい同様のやり方で計算できます。一次分数変換には(1)や(2)の形も含まれていることに注意してください。一次分数変換は「円または直線」を「円または直線」にうつすという性質があります。(円が直線に,直線が円に,円が円に,直線が直線にの4パターン)
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