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上野竜生です。今回は集合の和集合と共通部分・補集合について紹介します。

 

和集合・共通部分

POINT集合AとBの和集合A∪B={x | x∈A または x∈B} (∪はカップと読みます)
集合AとBの共通部分A∩B={x | x∈A かつ x∈B} (∩はキャップと読みます)

記号の形から連想して覚えましょう。∪はコップの形をしているのでカップとよみ,たくさん入りそうなのでA∪BはAかBのどちらかにでも属する要素すべての集合と覚えます。
∩は帽子の形をしているのでキャップとよみ,全然入らなさそうなのでA∩BはA,Bの両方に属するような特殊な要素しかもたない集合と覚えます。
たとえばA={1,2} , B={2,3}ならA∪B={1,2,3} , A∩B={2} となります。

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補集合

POINT全体集合をUとするときAの補集合\(\bar{A} \)とはUに属するなかでAには属さないものの集合です。

このとき全体集合は何なのかが重要です。
たとえばA={x| x≧3}の補集合とは何か考えましょう。Aに属さないものすべてとなると
「-100」も「2.5」も「複素数2+3i」も「ミカン」も何でもこの中に入ってしまいます。それでは適切ではないので全体集合を整数の集合とします。
するとAの補集合は{2,1,0,-1,-2,・・・}となり2.5やミカンなどは入らずうまく定義できます。
また全体集合を実数全体にすれば補集合は{x | x<3}となり2.5などは入るが「ミカン」などは入らずうまく定義できます。
通常全体集合を明記しなくても常識的にx≧3ではないといえばx<3のこととわかるので明記されないことも多いですが本当は全体集合は実数全体の集合であると意識して補集合をとるべきなのです。

なお補集合の補集合はもとの集合に戻ります。
定義から明らかに\( A \cap \bar{A}= \phi , A \cup \bar{A} =U \)が成り立ちます。
また\( A \subset B \)と\( \bar{A} \supset \bar{B} \)は同値です。

 

ベン図

これらの関係を式で書くよりも図でかいたほうがわかりやすいので図でかきます。
一般に集合AとBが与えられれば下の図をかけばすべての場合が示せます。
このときA∪B, A∩B, \(\overline{(A)} \)は下の図の部分となります。

A∪Bなどのベン図

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ド・モルガンの法則

次が成り立ちます。
\( \overline{A \cup B}= \bar{A} \cap \bar{B} \)
\( \overline{A \cap B}= \bar{A} \cup \bar{B} \)
∪と∩が入れ替わってることに注意しましょう。証明はベン図を見てください。

ド・モルガンの法則1

なお、3種類の場合でもドモルガンの法則は成り立ちます。
\(\overline{A \cup B \cup C} = \bar{A} \cap \bar{B} \cap \bar{C} \)
\(\overline{A \cap B \cap C} = \bar{A} \cup \bar{B} \cup \bar{C} \)

ド・モルガンの法則2

このように3個の集合になってもベン図は役立ちます。

 

4個以上になるとベン図が非常に不便です。
(円2つ書けば4つの部分に分割、円3つで8つの部分に分割できるが円4つでは16個の部分に分割できないため[最大で14個しかできない])
4つの集合のベン図は簡単ではない

集合の要素が具体的に与えられて和集合や共通部分などを求める問題が出たらベン図で解くことを第一に考えてくださいね!

例題1

全体集合U={1,2,3,4,5,6,7,8},A={1,2,3,4},B={1,2,5,6},C={1,3,5,7}とする。
(1) \( (A\cup B)\cup C \)と\( A \cup (B \cup C) \)をそれぞれ求めよ。
(2) \( (A\cap B)\cup C \)と\( (A\cup C) \cap (B\cup C) \)をそれぞれ求めよ。

答えベン図を書けば下の通りになる。
例題のベン図

(1)よって
A∪B={1,2,3,4,5,6} だから (A∪B)∪C={1,2,3,4,5,6,7}
B∪C={1,2,3,5,6,7} だから A∪(B∪C)={1,2,3,4,5,6,7}
特にこの2つの集合は等しい。
(2)
A∩B={1,2} だから (A∩B)∪C={1,2,3,5,7}
A∪C={1,2,3,4,5,7} , B∪C={1,2,3,5,6,7}だから
(A∪C)∩(B∪C)={1,2,3,5,7}
特にこの2つの集合は等しい。

より一般に
\( (A\cup B)\cup C=A \cup (B \cup C) \)が成り立ちます。よって( )は不要で単に\( A \cup B \cup C \)とかきます。
∪を∩に変えたものも同様に成り立ちます。
(2)のような分配法則も成り立ちますが出題頻度が低く覚えるのは大変なので出題されたらベン図を書いて導きましょう。

例題2

A={n | nは4の倍数}
B={n | nは6の倍数}とする。
(1) A∩Bは何の倍数の集合か?
(2) A∪B={n | 2の倍数の集合}は成り立つか?
答え(1) nは4の倍数かつ6の倍数の集合なので12の倍数の集合である。
(2) A={4,8,12,16,20,24,・・・} ,B={6,12,18,24,・・・}なので
A∪B={4,6,8,12,16,18,20,24,・・・}となるが
(右辺)={2,4,6,8,10,12,・・・}なので2が反例の1つとなり等しくない。つまり成り立たない。
POINT一般にnの倍数の集合とmの倍数の集合の共通部分は(mとnの最小公倍数)の倍数の集合になるが
和集合は(mとnの最大公約数)の倍数の集合にはならない

例題3

全体集合を実数全体の集合とする。
A={x | xは正の実数}
B={x | -1<x<3}とする。\( A\cup \bar{B} \)を求めよ。
答え
\(\bar{B}=\){x| x≦-1またはx≧3}なので
\( A \cup \bar{B}=\) {x| x≦-1 またはx>0}
数直線で考える集合

数直線で考えるのがわかりやすいでしょう。

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