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上野竜生です。今回は集合の包含関係の証明をしてみます。高校数学ではほとんど出ないのですが大学だとよく学習するので場合によっては入試に出てもおかしくないと思います。

A⊂Bの証明

Aに属するすべての要素xがBにも属することを示す。

A=Bの証明

A⊂BとB⊂Aを両方示す。

A≠Bの証明

・Aには属するがBには属さない要素をみつけるか
・Bには属するがAには属さない要素をみつける

 

例題1

自然数に関する集合A,B,Cを次のように定める
A={n| nは3の倍数}
B={n| 2nは3の倍数}
C={n| 3nは3の倍数}
(1) A⊂Cを示せ。 (2) A≠Cを示せ。 (3) A=Bを示せ。

(2)ではA⊂CなのにA≠CということはC⊂Aの部分に反例があることがわかります。なのでCに属するのにAに属さない要素を探しましょう。

答え(1) A⊂Cを示すにはAに属する要素xをどのようにとってもそのxはCに属することを示せばよい。
つまり3の倍数になるようなnをどのようにとっても3nが3の倍数になることを示せばよい。
3nは3×(整数)の形になっているからこれは成り立つ。よってA⊂C

(2) たとえばn=1とするとこれはCの要素になっているがAの要素にはなっていない。よってC⊂Aは成り立たないのでA≠C

(3) A⊂Bつまり「nが3の倍数なら2nは3の倍数」を示す。
nが3の倍数のときkを整数としてn=3kとおける。このとき2n=2(3k)=6k=3(2k)とかけ、2kは整数だから3×(整数)となり2nは3の倍数。
よってA⊂Bは成立。
次にB⊂Aつまり「2nが3の倍数ならnは3の倍数」を示す。
kを整数として2n=3kとおける。ここで2と3は互いに素だからnは3の倍数。よってB⊂Aも成立。
以上よりA=B

C⊂Aの反例は3の倍数以外すべて反例です。できれば反例は1つでいいので具体的なものを挙げましょう。
「反例はnを3で割った余りが1または2になる数」とかけばすべて網羅していますが「nを3で割った余りが1や2になる数がそもそも存在するの?」という部分があいまいになってしまいます。もしそれが存在しなければ反例を挙げたことにならないのです。この場合は割と自明に存在しますが複雑な書き方だと説明不足になるかもしれません。
すべて挙げる必要はないので「n=1が反例」など存在がハッキリする具体的なものを挙げましょう。
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例題2

自然数に関する集合A,B,Cを次のように定める
A={n| nを3で割った余りは1}
B={n| n2を3で割った余りは1}
C={n| n3を3で割った余りは1}
(1) A⊂Bを示せ。 (2) A≠Bを示せ。 (3) A=Cを示せ。
答え(1) nを3で割った余りが1ならばn2を3で割った余りが1を示す。
n=3k+1とおくとn2=9k2+6k+1=3(3k2+2k)+1
3k2+2kが整数だからn2を3で割った余りは1。
よってA⊂B

(2) [n2を3で割った余りが1だがnを3で割った余りが1でない例を探す]
n=2とすると22=4を3で割った余りは1だから2はBに属する
2は3で割った余りが1ではないので2はAには属さない。よってA≠B

(3) [nを3で割った余りが1ならばn3を3で割った余りが1であることを示す。]
kを整数としてn=3k+1とおくと
\(\begin{eqnarray} n^3 &=& (3k+1)^3 \\ &=& 27k^3 + 27k^2 + 9k + 1 \\ &=& 3(9k^3+9k^2+3k)+1 \end{eqnarray} \)
\( 9k^3+9k^2+3k\)は整数だからn3を3で割った余りは1である。

[n3を3で割った余りが1ならばnを3で割った余りが1であることを示す。]
これは難しいので対偶命題を示す(まだ習ってなければ別解参照)
つまり「nを3で割った余りが1でないならばn3を3で割った余りが1でない」を示す。
nを3で割った余りが1でないときはn=3kまたはn=3k+2とかける。
n=3kのときn3=27k3=3(9k3)よりn3を3で割った余りは0
n=3k+2のとき
\(\begin{eqnarray} n^3 &=& (3k+2)^3 \\ &=& 27k^3+54k^2+36k+8 \\ &=& 3(9k^3+18k^2+12k+2)+2 \end{eqnarray} \)
よりn3を3で割った余りは2
対偶が真だから元の命題も真。よってA=C

【別解】B,Cを計算する。
nを3で割った余りが0,1,2のとき本解と同様にすれば
n2を3で割った余りはそれぞれ0,1,1
n3を3で割った余りはそれぞれ0,1,2。よって
B={n | nを3で割った余りが1または2}
C={n | nを3で割った余りが1}
となるので(1)~(3)は比較的すぐに示せます。

最初にもいいましたが高校・大学入試ではあまり出題頻度は高くありません。軽く理解すればいいでしょう。

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