上野竜生です。指数・対数がわかっているかの最初の問題として,単純な代入計算が問われることもあります。最終的には出来て当たり前のレベルなのですが,最初はつまずくので練習しましょう。
指数と対数の基本計算
\( a\neq 0\)でnを自然数とする。\(\displaystyle a^0=1 , a^{-n}=\frac{1}{a^n}\)
a>0とする。n乗してaになるもののうち正であるものを\(\sqrt[n]{a} \)とかく。特に\( \sqrt[2]{a}=\sqrt{a} \)
また,\(\displaystyle a^{\frac{m}{n}}=\sqrt[n]{a^m} \)
このとき,次の指数法則が成り立つ。
\( a^{r+s}=a^r\cdot a^s \) , \( (a^r)^s=a^{rs} \) , \( (ab)^r=a^r \cdot b^r \)
対数関数
\( a^x=b \)を満たすxを\( x=\log_{a}{b} \)とかく。(a>0,a≠1,b>0)
aを底(てい)といい,bを真数という。底も真数も正であり,特に底は1以外の数であることに注意。
対数には次の性質がある。
\( \log_{a}{MN}=\log_{a}{M}+\log_{a}{N} \)
\( \log_{a}{\frac{M}{N}}= \log_{a}{M}-\log_{a}{N} \)
\( \log_{a}{M^k} = k\log_{a}{M} \)
底の変換公式
\(\displaystyle \log_{a}{b}=\frac{\log_{c}{b}}{\log_{c}{a}} \)
例題1 指数・対数の基本的な計算
(1) \(10^{-2} \)
(2) \(\displaystyle 9^{\frac{5}{2} } \)
(3) \(3^0\)
(4) \(\displaystyle (\frac{1}{2})^{-\frac{1}{2}} \)
(5) \(\log_{2}{8}\)
(6) \(\log_{27}{9}\)
(7) \(\log_{5}{1}\)
(8) \(\log_{0.5}{8\sqrt{2}} \)
(2) \( 9^{2+0.5}=9^2 \cdot \sqrt{9}=243 \)
(3) \(3^0=1 \)
(4) \(\displaystyle a^{-0.5}=\frac{1}{\sqrt{a}} \)なので\(\displaystyle (\frac{1}{2})^{-\frac{1}{2}} = \frac{1}{\sqrt{\frac{1}{2}}}=\sqrt{2} \)
(5) \( 2^3=8 \)なので\( \log_2 8 =3 \)
(6) \( 3^2=9, 3^3=27 \)なので底の変換公式より底を3にすると
\(\displaystyle \log_{27}{9} = \frac{\log_3 9}{\log_{3}{27}}=\frac{2}{3} \)
(7)\( 5^0=1 \)より\(\log_5 1 =0 \)
(8)底を2に統一すると
\(\displaystyle \log_{0.5}{8\sqrt{2}} = \frac{\log_{2}{8\sqrt{2}}}{\log_2 {0.5}} = \frac{\frac{7}{2}}{-1} =- \frac{7}{2} \)
\( 2^3=8 , 2^{0.5}=\sqrt{2} \)なので辺々かけると指数法則より\(2^{3.5}=8\sqrt{2} \)
を使っています。
例題2 指数と対数の融合
(1) \( \log_{2}{(2^{98}-2^{97} )} \)
(2) \(2^{\log_2 3} \)
(3) \(\displaystyle 3^{\frac{1}{\log_4 3}} \)
(4) \( (\log_2 3)(\log_3 4) \)
(5) \( \log_{10}{5} + \log_{\sqrt{10}}{20} - \log_{100}{0.4} \)
よって\( \log_2 2^{97}=97\log_2 2=97 \)
(2)logの定義より明らかに3
よって\( 3^{\log_3 4}=4 \)
\( \displaystyle \log_2 3 \cdot \frac{\log_2 4}{\log_2 3} = \log_2 4=2 \)
(5)底を10で統一する
\(\displaystyle \log_{10}{5} + \frac{\log_{10}{20}}{\log_{10}{\sqrt{10}}} - \frac{\log_{10}{0.4}}{\log_{10}{100}} \\ =\displaystyle \log_{10}{5} + 2\log_{10}{20} - \frac{1}{2}\log_{10}{0.4} \\ =\displaystyle \log_{10}{5} + \log_{10}{400} - \log_{10}{\sqrt{0.4} } \\ =\displaystyle \log_{10} {\frac{5\cdot 400}{\sqrt{0.4}}}=\log_{10}{1000\sqrt{10}}=\frac{7}{2}\)
例題3
であることに注意し,底の変換公式を使うと
\(\displaystyle \log_{5}{8}=\frac{\log_{10}{2^3}}{\log_{10}{5}}=\frac{3\log_{10}{2}}{1-a}=\frac{3a}{1-a} \)
例題4
\( a=\log_{2}{3^b} = \log_{2}{6^c} \)
つまり
\( a=b\log_{2}{3} = c\log_{2}{6} \)
\( \displaystyle \frac{1}{b}=\frac{\log_{2}{3}}{a} , \frac{1}{c} = \frac{\log_2 6}{a} \)となるから
\(\displaystyle \frac{1}{a}+\frac{1}{b}-\frac{1}{c} = \frac{1+\log_2 3 - \log_2 6}{a} =0 \)
∵\( 1+\log_2 3 - \log_2 6 = \log_2 2 +\log_2 3 - \log_2 6 = \log_2 1 =0 \)
このような基本内容は単独で問われることがなくても,たとえばf(x)=(対数関数)の最大値を求めよ。という問題で最大となるのはx=2のときとわかったあと,最大値はf(x)の式にx=2を代入して答えるときに対数の計算が必要になります。ここを理解せずに次にはすすめないレベルです。
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