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上野竜生です。今回は多項式とわかっている場合の関数方程式の解き方を紹介します。解答例が長くて難しそうですが,アイデアはシンプルです。

問題

\( xf(x)=\{ f'(x) \}^2 +x^2-1 \)を満たす整式f(x)を求めよ。

一般に関数方程式を解くのは非常に難しいですが整式という条件があればかなり楽です。
まず,何次式かわからないので次数を求めます。最高次を\( ax^n \)とおき,nを求めるところから始めます。
それがわかればn次多項式は係数をすべて文字でおけば解けますね。

答えf(x)が定数だとする。つまりf(x)=αとおく。
このとき元の関数方程式に代入すると
\(\alpha x=x^2-1 \)
となるので不適。よって定数関数ではない。
f(x)の最高次の項を\( ax^n \)とおく。(a≠0)
左辺の最高次の項は\( ax^{n+1} \)となる。
右辺の最高次の項を求める。
\(\{ f'(x) \}^2 \)の最高次の項は\( a^2 n^2  x^{2n-2} \)である。
2n-2<2,つまりn≦1のとき右辺の最高次の項は\( x^2 \)
n=2のときは\( (4a^2+1)x^2 \)
n≧3のときは\( a^2 n^2 x^{2n-2} \)となる。
最高次の項が等しいので
n≦1のときa=1かつn+1=2 つまりn=1
このとき,最高次の係数が1である1次式。
n=2のとき\( a=4a^2+1 \)かつn+1=2 これはn=2を満たさないので不適。
n≧3のとき\(a= a^2 n^2\)かつn+1=2n-2 つまりn=3かつ\( a=\frac{1}{9} \)
このとき,最高次の係数が\(\frac{1}{9}\)である3次式。
よってf(x)は次のどちらかの形である。
\( f(x)=x+a , f(x)=\frac{1}{9}x^3+bx^2+cx+d \)
①f(x)=x+aのとき元の関数方程式に代入すると
\( x^2+ax =1+x^2-1 =x^2 \)
よって係数を比較するとa=0
∴f(x)=x
②\( f(x)=\frac{1}{9}x^3+bx^2+cx+d \)のとき元の関数方程式に代入すると
\( \frac{1}{9}x^4+bx^3+cx^2+dx = (\frac{1}{3}x^2+2bx+c)^2+x^2-1 \)
右辺を展開すると
\( \frac{1}{9}x^4 + (\frac{4}{3}b)x^3+ (4b^2+\frac{2}{3}c+1)x^2+ (4bc)x+(c^2-1) \)
係数比較すると
\( b=\frac{4}{3}b , c=4b^2+\frac{2}{3}c+1 , d=4bc , 0=c^2-1 \)
最初の式よりb=0,3番目の式よりd=0を2,4番目に代入すると
\( c=\frac{2}{3}c+1, c^2-1=0 \)
これを同時に満たすcは存在しない。よって②の場合は不適。
以上より求める関数はf(x)=x

かなり長いように見えますが次数さえ決めてしまえばあとは簡単ですね。多項式とは限らない場合はもっと複雑なのでこれでも簡単な部類です。多項式の足し算や引き算をしたときの次数に注意しましょう。
たとえば
(3次式)+(2次式)=(3次式)
は成り立ちますが
(2次式)+(2次式)=(2次式)
とは限りません。最高次がうまく打ち消せば1次式や定数になることもあります。
例:\( (x^2+2x+3)+(-x^2-2x-2) = 1 \)
今回の例題ではn=2のときどちらも最高次の係数が正の2次式の和なので打ち消すことはなく2次式になります。一般に何次式になるかわからないならf(x)=ax2+bx+cとおけば2次以下はすべて解決します。何次式以下か?がわかるのが重要です。
なお,最初に定数関数かどうかチェックしていますが意外と重要です。
最高次の項を\( ax^n \)とおくと「最高」であることからa≠0とおきますね。これだと定数関数のときの扱いが厄介です。仮にn=0のときf(x)=aとみなしたとしてもf(x)=0のときが考えられなくなります。結局場合分けは必要なのです。
f(x)が定数関数のときと1次式以上のときにわけると完全に網羅できますね。

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