上野竜生です。今回はテイラー展開とマクローリン展開について紹介します。

テイラー展開

テイラーの定理

関数f(x)は点aを含む開区間Iでn回微分可能であるとする。このとき任意のx∈Iに対して,あるθ(0<θ<1)が存在して
\[ f(x)=\sum_{k=0}^{n-1} \frac{f^{(k)}(a)}{k!} (x-a)^k +\frac{f^{(n)} (a+\theta (x-a))}{n!}(x-a)^n \]
ここで最後の項をRn(x)とおき,ラグランジュの剰余項という。

とくにa=0のときをマクローリンの定理という。テストにはこっちのほうがよく出るのでこっちも書いておきます。

マクローリンの定理

関数f(x)は0を含む開区間Iでn回微分可能であるとする。このとき任意のx∈Iに対して,あるθ(0<θ<1)が存在して
\[ f(x)=\sum_{k=0}^{n-1} \frac{f^{(k)}(0)}{k!} x^k +\frac{f^{(n)} (\theta x)}{n!}x^n \]
ここで最後の項をRn(x)とおき,ラグランジュの剰余項という。

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例題1

(1)\( \sqrt[3]{1+x}\)のマクローリン展開を2次の項までと剰余項の和で表せ。
(2)\(\sqrt[3]{1006} \)の値を小数第5位まで求めよ。
答え(1)\(\displaystyle f(x)=\sqrt[3]{1+x}=(1+x)^{\frac{1}{3}} \)とおく。
\(\displaystyle f’(x)=\frac{1}{3}(1+x)^{-\frac{2}{3}} , f’’(x)=-\frac{2}{9} (1+x)^{-\frac{5}{3}} , f’’’(x)=\frac{10}{27}(1+x)^{-\frac{8}{3}} \)なので
\(\displaystyle f(0)=1, f’(0)=\frac{1}{3} , f’’(0)=-\frac{2}{9}, f’’’(0)=\frac{10}{27} \)
よって
\[ \sqrt[3]{1+x}=1+\frac{1}{3}x – \frac{1}{9}x^2 + \frac{5}{81}(1+\theta x)^{-\frac{8}{3}}x^3 \]
(係数は階乗で割ることに注意)
(2)
先生先生

(1)の式に単純にx=1005を代入すると誤差が大きすぎて絶望です。この場合は
\(\displaystyle \sqrt[3]{1006}=10\sqrt[3]{1.006} = 10\sqrt[3]{1+\frac{6}{1000} } \)と考えて代入するxの値をなるべく小さくしましょう。


(1)の式に\( \displaystyle x=\frac{6}{1000} \)を代入すると
\(\sqrt[3]{1.006}=1+0.002-0.000004+\frac{5}{81}(1+\frac{6\theta}{1000})^{-\frac{8}{3}} (\frac{6}{1000})^3\)
ここで最後の項は
\( 0<\frac{5}{81}(1+\frac{6\theta}{1000})^{-\frac{8}{3}} (\frac{6}{1000})^3 < \frac{5}{81} (\frac{6}{1000})^3<\frac{1}{10}(\frac{1}{100})^3 = 0.0000001 \)
よって
\( 1+0.002-0.000004<\sqrt[3]{1+0.006} < 1+0.002-0.000004+0.0000001 \)
10倍すると
\( 10.01996< \sqrt[3]{1006} < 10.019961 \)
つまり,小数第5位までは10.01996

 

テイラー展開・マクローリン展開

関数f(x)は開区間IでC級(何回でも微分可能で何回微分した関数も連続)とする。テイラーの定理の剰余項Rn(x)に関して,各x∈Iに対して\(\displaystyle \lim_{n\to \infty} R_n(x)=0 \)が成り立つならば次のように書ける。
\[ f(x)=\sum_{n=0}^{\infty} \frac{f^{(n)}(a)}{n!}(x-a)^n \]
これをf(x)のx=aにおけるテイラー展開という。同様にa=0とすると
\[ f(x)=\sum_{n=0}^{\infty} \frac{f^{(n)}(0)}{n!}x^n \]
とかける。これをマクローリン展開という。

exのマクローリン展開を求めてみます。

剰余項の極限計算をしないといけません。まずは剰余項を求めましょう。
\( f(x)=e^x \)とおくと\( f^{(n)}=e^x \)で剰余項は
\[\displaystyle R_n(x)=\frac{e^{\theta x}}{n!}x^n \]
よって0<θ<1だから
\[ |R_n(x)|\leq \frac{|x|^n}{n!}e^{\theta x} \leq \frac{|x|^n}{n!}e^{|x|} \to 0 (n \to \infty) \]
よって(ハサミウチの定理より)\(\displaystyle \lim_{n \to \infty} R_n(x)=0 \)だから
\[ e^x= \sum_{n=0}^{\infty} \frac{x^n}{n!} \]

同様にすると次の結果が得られる。これは覚えておきましょう。

ポイント
\[ e^x= \sum_{n=0}^{\infty} \frac{x^n}{n!} =1+x+\frac{x^2}{2!}+\frac{x^3}{3!}+\frac{x^4}{4!}+\cdots \]
\[ \sin{x}=\sum_{n=0}^{\infty} \frac{(-1)^n}{(2n+1)!} x^{2n+1}=x-\frac{x^3}{3!}+\frac{x^5}{5!}-\frac{x^7}{7!}+\cdots \]
\[ \cos{x}=\sum_{n=0}^{\infty} \frac{(-1)^n}{(2n)!} x^{2n}=1-\frac{x^2}{2!}+\frac{x^4}{4!}-\frac{x^6}{6!}+\cdots \]
\[ \log{(1+x)}=\sum_{n=1}^{\infty} \frac{(-1)^{n-1}x^n}{n} = x-\frac{x^2}{2}+\frac{x^3}{3}-\frac{x^4}{4}+\cdots \]
\[ \frac{1}{1-x}=\sum_{n=0}^{\infty} x^n =1+x+x^2+x^3+x^4+\cdots \]

注1 「同様に」でごまかしていますが実はlog(1+x)の剰余項の極限は同様にはなかなかいきません。積分まで学んでから示すのがいいでしょう。ここでは割愛します。
注2 これにより\(e^{ix}=\cos{x}+i\sin{x} \)がいえます。

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例題2

次の関数のマクローリン展開を求めよ。
(1)2x
(2)xsinx
(3)sinxcosx

定義通りn階微分してx=0を代入するのが基本です。なのでその方法で(1)は解いてみます。しかしすでにわかっているマクローリン展開を使う方法もあり,その方が速いです。それに微分してイチから展開するやり方だと厳密には剰余項が0になることの証明をしないといけないという先生もいると思うので,そういう意味でもわかっているマクローリン展開を使う解法推奨です。

答え(1)\(f(x)=2^x \)とおくと\(f^{(n)}{x}=2^x (\log{2})^n \)
よって\( f^{(n)}(0)=(\log{2})^n \)
\[ f(x)=\sum_{n=0}^{\infty} \frac{(\log{2})^n}{n!} x^n \]
【別解】すでにわかっているマクローリン展開を使う
\( 2^x=e^{x\log{2}} \)なので\(e^x\)のマクローリン展開のxにxlog2を代入すればよい。よって上と同じ結果を得る。
(2)・(3)もn階微分して求めてもOKですがうまい方法を紹介します。
(2)sinxのマクローリン展開にxをかければいいだけなので
\[ x\sin{x}=\sum_{n=0}^{\infty} \frac{(-1)^n}{(2n+1)!} x^{2n+2} \]
(3)\(\sin{x}\cos{x}=\frac{1}{2}\sin{2x} \)なのでsinxのマクローリン展開のxの部分を2xに変えて2で割ればよい。よって
\[ \sin{x}\cos{x} = \sum_{n=0}^{\infty} \frac{(-1)^n \cdot 2^{2n}}{(2n+1)!}x^{2n+1}\]

あとは部分分数分解するマクローリン展開もよく出題されます。

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