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上野竜生です。今回は逆行列の計算方法を扱います。

逆行列とは

Aを正方行列とする。AB=E(単位行列)になるものが存在するときBをAの逆行列と言い,A-1で表す。

注意
逆行列は必ずしも存在するとは限らない。
(逆行列が存在する⇔detA≠0)

・AA-1=A-1A=E(単位行列)

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逆行列の計算方法

2×2行列のとき

これは一般の結果を知っている方が便利だと思うので丸暗記でもいいかもしれません。
ad-bc=0のとき逆行列は存在しない。
ad-bc≠0のとき逆行列は
\[
\left(
\begin{array}{cc}
a & b \\ c & d
\end{array}
\right)^{-1}=\frac{1}{ad-bc}
\left(
\begin{array}{cc}
d & -b \\ -c & a
\end{array}
\right) \]

一般のとき

まずn×n行列Aが与えられたとき,2n×n行列(A|E)を用意します。それを以下の行基本変形を繰り返して(E|B)の形に変形したときBが逆行列となります。

ポイント <行基本変形>(i≠j , c≠0)
1. i行目とj行目を入れ替える
2. i行目をc倍する
3. i行目にj行目のc倍を加える。

一般の場合は抽象的でわかりにくいと思うので具体的な例題を見てみましょう。

例題1

次の行列の逆行列を求めよ。
\[A=\left(
\begin{array}{cccc}
1 & 2 & 2a & 0 \\ 0 & 1 & a & 2a \\ 0 & 0 & 1 & 2 \\ 0 & 0 & 0 & 1
\end{array}
\right) \]

\[(A|E)=\left(\begin{array}{cccc|cccc}1 & 2 & 2a & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & a & 2a & 0 & 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 2 & 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1\end{array}\right) \]
を行基本変形すればよい

2行目に4行目の(-2a)倍を加え,3行目に4行目の(-2)倍を加えると
\[\left(
\begin{array}{cccc|cccc}
1 & 2 & 2a & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & a & 0 & 0 & 1 & 0 & -2a \\ 0 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1 & -2 \\ 0 & 0 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1
\end{array}
\right) \]

1行目に3行目の(-2a)倍を加え,2行目に3行目の(-a)倍を加えると
\[\left(
\begin{array}{cccc|cccc}
1 & 2 & 0 & 0 & 1 & 0 & -2a & 4a \\ 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1 & -a & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1 & -2 \\ 0 & 0 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1
\end{array}
\right) \]

1行目に2行目の(-2)倍を加えると
\[\left(
\begin{array}{cccc|cccc}
1 & 0 & 0 & 0 & 1 & -2 & 0 & 4a \\ 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1 & -a & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1 & -2 \\ 0 & 0 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1
\end{array}
\right) \]

これで|より左側が単位行列になったのでこのときの|より右側が逆行列である。よって逆行列は
\[\left(
\begin{array}{cccc}
1 & -2 & 0 & 4a \\ 0 & 1 & -a & 0 \\ 0 & 0 & 1 & -2 \\ 0 & 0 & 0 & 1
\end{array}
\right) \]

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例題2

次の行列の逆行列が存在するようなa,bの条件を求め,そのときの逆行列を求めよ。
\[A=\left(
\begin{array}{ccc}
a & 1 & 0 \\ 1 & b & 1 \\ 0 & 1 & 0
\end{array}
\right) \]

\[(A|E)=\left(
\begin{array}{ccc|ccc}
a & 1 & 0 & 1 & 0 & 0 \\ 1 & b & 1 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1
\end{array}
\right) \]
を行基本変形する。1行目と2行目を入れ替えた後,2行目と3行目を入れ替える(つまり上から2→3→1行目になるように並べ替える)と
\[\left(
\begin{array}{ccc|ccc}
1 & b & 1 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1 \\ a & 1 & 0 & 1 & 0 & 0
\end{array}
\right) \]
3行目に1行目の(-a)倍を加えると
\[\left(
\begin{array}{ccc|ccc}
1 & b & 1 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1 \\ 0 & 1-ab & -a & 1 & -a & 0
\end{array}
\right) \]
1行目に2行目の(-b)倍を加え,3行目に2行目の(ab-1)倍を加えると
\[\left(
\begin{array}{ccc|ccc}
1 & 0 & 1 & 0 & 1 & -b \\ 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & -a & 1 & -a & ab-1
\end{array}
\right) \]
ここでa=0のときは|より左側の3行目がすべて0になってしまうのでrankA=2。つまり単位行列にはできず,逆行列をもたない。a≠0のとき3行目を\(-\frac{1}{a}\)倍すると
\[\left(
\begin{array}{ccc|ccc}
1 & 0 & 1 & 0 & 1 & -b \\ 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 1 & -\frac{1}{a} & 1 & \frac{1}{a}-b
\end{array}
\right) \]
1行目に3行目の(-1)倍を加えると
\[\left(
\begin{array}{ccc|ccc}
1 & 0 & 0 & \frac{1}{a} & 0 & -\frac{1}{a} \\ 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 1 & -\frac{1}{a} & 1 & \frac{1}{a}-b
\end{array}
\right) \]
よってa≠0のとき逆行列は存在し,そのときの逆行列は
\[\left(\begin{array}{ccc}\frac{1}{a} & 0 & -\frac{1}{a} \\ 0 & 0 & 1 \\ -\frac{1}{a} & 1 & \frac{1}{a}-b\end{array}\right) \]

自分が大学1年生のときは具体的な逆行列計算のほうが好きで抽象的な問題のほうが嫌いでしたが、慣れれば次の例題3のような抽象的な問題のほうが簡単にも思えてくるでしょう。

例題3

正方行列AがA2=O(零行列)を満たすならばA+Eは逆行列をもつことを示せ。
答え(A+E)(A-E)=A2+EA-AE-E2=A2+A-A-E=-E
つまり(A+E)(E-A)=EとなるのでA+Eの逆行列はE-Aとなり,存在する。

まずは具体的な計算ができるようにしましょう。抽象的な問題は最初のうちはあまり出ないと思ってもいいかもしれません。

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