スターリングの公式と台形近似

上野竜生です。今回は階乗を近似する「スターリングの公式」を扱います。y=logxについて面積の近似をするのですが長方形で近似するより台形で近似したほうが精度が良くなるので台形近似のやり方と兼ねて紹介します。

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例題

(1) \(a\geq \frac{3}{2}\)のとき次の不等式を示せ
\(\displaystyle \frac{1}{2}\{ \log{(a-\frac{1}{2})} +\log{(a+\frac{1}{2})} \} < \int_{a-\frac{1}{2}}^{a+\frac{1}{2}} \log{x}dx < \log{a} \)
(2) 次の不等式を示せ
\(\displaystyle \int_{\frac{3}{2}}^n \log{x}dx < \sum_{k=1}^{n-1} \log{k}+\frac{1}{2}\log{n} < \int_1^n \log{x}dx \)
(3) \(\displaystyle \lim_{n\to \infty} \frac{n+\log{(n!)}-\log{n^n} }{\log{n}} \)を求めよ。
(4) 64!は何桁の整数か?ただし必要ならば
\( 0.4341<\log_{10}{e}<0.4342,0.3010<\log_{10}{2}<0.3011\)を用いてよい。

(1) 答え

台形近似の図

この図より
下側の台形の面積積分の面積上側の台形の面積である。
ここで上側の台形の面積はy=logxの点(a,loga)における接線をひき,その接線上の点を結んでいる。
下側の台形の面積は
\(\displaystyle \frac{1}{2}\{ \log{(a-\frac{1}{2})} +\log{(a+\frac{1}{2})} \}\{(a+\frac{1}{2})-(a-\frac{1}{2})\} = \frac{1}{2}\{ \log{(a-\frac{1}{2})} +\log{(a+\frac{1}{2})} \} \)
上側の台形の面積は接線の方程式を求めなくてもf(a)であることがわかる。
(∵接線の方程式をy=g(x)とすると面積は
\(\displaystyle \frac{1}{2} \{ g(a-\frac{1}{2}) +g(a+\frac{1}{2}) \} \{ (a+\frac{1}{2})-(a-\frac{1}{2})\} \\ \displaystyle = \frac{g(a-\frac{1}{2}) +g(a+\frac{1}{2})}{2} = g(a) \)
(y=g(x)は直線なので\( g(a-\frac{1}{2}) , g(a+\frac{1}{2}) \)の中点はg(a) )

この近似の考え方が台形近似の考え方です。\( y=\frac{1}{x} \)など凸関数なら使えます。

(2) 答え

(1)の式の右側の部分にa=2,3,・・・,n-1を代入すると
\(\displaystyle \int_{\frac{3}{2}}^{\frac{5}{2}} \log{x}dx < \log{2} \)
\(\displaystyle \int_{\frac{5}{2}}^{\frac{7}{2}} \log{x}dx < \log{3} \)
・・・
\(\displaystyle \int_{n-\frac{3}{2}}^{n-\frac{1}{2}} \log{x}dx < \log{(n-1)} \)
辺々加えるとlog1=0より
\(\displaystyle \int_{\frac{3}{2}}^{n-\frac{1}{2}} \log{x}dx < \sum_{k=1}^{n-1} \log{k} \)
またlogxは単調増加だから
\(\displaystyle \int_{n-\frac{1}{2}}^n \log{x}dx < \int_{n-\frac{1}{2}}^n \log{n}dx = \frac{1}{2}\log{n} \)
これらを加えると示すべき式の左側が得られる。

(1)の式の左側の部分に\(a=\frac{3}{2},\frac{5}{2},\cdots , n-\frac{1}{2} \)を代入すると
\(\displaystyle \frac{1}{2}\{ \log{1} +\log{2} \} < \int_{1}^{2} \log{x}dx\)
\(\displaystyle \frac{1}{2}\{ \log{2} +\log{3} \} < \int_{2}^{3} \log{x}dx\)
・・・
\(\displaystyle \frac{1}{2}\{ \log{(n-1)} +\log{n} \} < \int_{n-1}^{n} \log{x}dx\)
log1=0に注意して辺々加えると
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1} \log{k} + \frac{1}{2}\log{n} < \int_1^n \log{x}dx \)
となるから示すべき式の右側が得られる。

(3) 答え

実際に積分を実行すると
\(\displaystyle n\log{n}-n-\frac{3}{2}\log{\frac{3}{2}}+\frac{3}{2}<\log{(n!)}-\frac{1}{2}\log{n}<n\log{n}-n+1 \)・・・(★)
各辺に\(\displaystyle n-n\log{n}+\frac{1}{2}\log{n} \)を加えると
\(\displaystyle \frac{1}{2}\log{n}-\frac{3}{2}\log{\frac{3}{2}}+\frac{3}{2}<n-n\log{n}+\log{(n!)}<\frac{1}{2}\log{n}+1 \)
各辺をlognで割ると
\(\displaystyle \frac{1}{2}+ \frac{\frac{3}{2}-\frac{3}{2}\log{\frac{3}{2}}}{\log{n}}<\frac{n+\log{(n!)}-\log{n^n} }{\log{n}}<\frac{1}{2}+\frac{1}{\log{n}} \)
左辺と右辺はn→∞のとき\(\frac{1}{2}\)に収束するからハサミウチの原理より
\(\displaystyle \lim_{n\to \infty} \frac{n+\log{(n!)}-\log{n^n} }{\log{n}}=\frac{1}{2} \)

(4) 答え

(★)より
\(\displaystyle n(\log{n}-\log{e})+\frac{3}{2}-\frac{3}{2}\log{\frac{3}{2}}+\frac{1}{2}\log{n}<\log(n!)<n(\log{n}-\log{e})+1+\frac{1}{2}\log{n} \)

∴\(\displaystyle \left(\frac{n}{e}\right)^n \cdot e^{\frac{3}{2}} \cdot \frac{1}{(\frac{3}{2})^{(\frac{3}{2})}}\cdot \sqrt{n} < n! < \left(\frac{n}{e}\right)^n \cdot e\sqrt{n}\)

さらに整理すると
\(\displaystyle \frac{2\sqrt{6}}{9}e^{\frac{3}{2}} \cdot \left(\frac{n}{e}\right)^n \sqrt{n}< n!<e\sqrt{n}\left( \frac{n}{e}\right)^n \)・・・②
\(\displaystyle \frac{1}{2}<\frac{2\sqrt{6}}{9}\)に注意してn=64を代入すると
\(\displaystyle 4 e^{1.5} \left( \frac{2^6}{e} \right)^{64} < 64! < 8e\left( \frac{2^6}{e} \right)^{64} \)
常用対数をとると
\(\displaystyle \log_{10}{ \frac{2^{386}}{e^{62.5}}} < \log_{10}{64!}<\log_{10}{\frac{2^{387}}{e^{63}}}\)
与えられた不等式から
\( 386\cdot 0.3010 – 62.5\cdot 0.4342< \log_{10}{64!} < 387\cdot 0.3011 – 63\cdot 0.4341 \)
計算すると
\( 89.0485<\log_{10}{64!} < 89.1774 \)
となるので64!は90ケタの整数である。

この結果から先頭の数字が1であることもわかりますね。
なお,64!=
126886932185884164103433389335161480802865516174545192198801894375214704230400000000000000
となっています。
②式と\(\displaystyle \frac{2\sqrt{6}}{9}e^{\frac{3}{2}} ≒2.4395・・・\)からn!は次の不等式で挟めます
\(\displaystyle 2.439\sqrt{n}\left(\frac{n}{e}\right)^n < n! < 2.719\sqrt{n} \left(\frac{n}{e}\right)^n \)
n!を近似する式がスターリングの公式です。実際n!の近似は
\(\displaystyle n!≒\sqrt{2\pi n}\left(\frac{n}{e}\right)^n ≒ 2.506\sqrt{n} \left(\frac{n}{e}\right)^n \)となりますし不等式では
\(\displaystyle \sqrt{2\pi n}\left(\frac{n}{e}\right)^n <n!<e\sqrt{n} \left(\frac{n}{e}\right)^n \)
となることが知られています。ここまでパーフェクトではありませんが単純に長方形でlogxを近似するより格段に良い結果が導けました。

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