上野竜生です。今回は多項式の微分を利用した不等式の証明を紹介します。最大・最小値の求め方はできることが前提です。

ポイント

区間Iでf(x)>g(x)を証明する
⇔区間I全体でf(x)-g(x)>0を証明する
⇔区間Iの中で一番キワドイ点でf(x)-g(x)>0を証明する
⇔区間Iの中でのf(x)-g(x)の最小値>0を証明する
ということで結局このタイプの問題は最大・最小問題とほとんど同じです。不等号の細かいところだけ意識しましょう。たとえばy=x3のx>0での最小値は?って言われると厳密には「最小値」はありませんが,”最小値もどき”はほぼ0に近づくわけですからこれを「0」と思って「最小値」という言葉を使わず”最小値もどき”との比較を不等式の等号をつけずに表現するのがコツです。

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例題1

\( x^3+3x^2+16>a(x^2+4x) \)・・・(*)について
(1)a=-1のときすべての正の実数xに対し(*)が成り立つことを示せ。
(2)すべての正の実数xに対し(*)が成り立つような実数aの範囲を求めよ。
答え(左辺)-(右辺)をf(x)とおき,x>0のときf(x)>0となることを示せばよい。
\( f(x)=x^3+(3-a)x^2-4ax+16 \)
\( f’(x)=3x^2+(6-2a)x-4a = (3x-2a)(x+2) \)
(1)a=-1のときf’(x)=0を解くと\(x=-2 , -\frac{2}{3} \)
よって増減表を書くと下の通り
\begin{array}{c|ccccc} x & \cdots & -2 & \cdots & -\frac{2}{3} & \cdots \\ \hline f’(x) & + & 0 & – & 0 & + \\ \hline f(x) & \nearrow & 極大 & \searrow & 極小 & \nearrow \end{array}つまりx>0では単調増加である。
x>0のときf(x)>f(0)=16>0なので(*)が成立する。
(2)f’(x)=0を解くと\( x=-2 , \frac{2}{3}a \)
a≦0のとき,(1)と同様にするとx>0でf’(x)>0となるので単調増加。
x>0のときf(x)>f(0)=16>0なので(*)が成立する。
a>0のとき増減表を書くと下の通り
\begin{array}{c|ccccc} x & \cdots & -2 & \cdots & \frac{2}{3}a & \cdots \\ \hline f’(x) & + & 0 & – & 0 & + \\ \hline f(x) & \nearrow & 極大 & \searrow & 極小 & \nearrow \end{array}

つまりx>0での最小値は\(\displaystyle f(\frac{2}{3}a ) \)である。これが0より大きければよい。
\(\displaystyle f\left(\frac{2}{3}a \right)=\left(\frac{2}{3}a \right)^3 +(3-a)\left(\frac{2}{3}a \right)^2-4a\left(\frac{2}{3}a \right)+16>0 \)
両辺を27倍すると
\( 8a^3+12(3-a)a^2-72a^2+432>0 \)
整理して両辺を(-4)で割ると
\( a^3+9a^2-108=(a-3)(a+6)^2<0 \)
a>0とあわせると0<a<3
以上をまとめるとa<3

例題2

すべての実数xに対し\( x^4 \geq x^2+2x-2 \)が成り立つことを示せ。
答え(左辺)-(右辺)をf(x)とおく。
\( f(x)=x^4-x^2-2x+2 \)
\( f'(x)=4x^3-2x-2 = 2(x-1)(2x^2+2x+1) \)
ここで\( 2x^2+2x+1=2(x+\frac{1}{2})^2+\frac{1}{2} >0 \)なのでf'(x)=0の実数解はx=1のみ。
よって増減表は下の通り\begin{array}{|c||c|c|c|} \hline
x & \cdots & 1 & \cdots \\ \hline
f'(x) & – & 0 & + \\ \hline
f(x) & \searrow & 最小値 & \nearrow \\ \hline
\end{array}

よってf(x)の最小値f(1)=0≧0なので題意は成立。
(等号成立はx=1のとき)

ちなみに,正確な数字は忘れましたが私は過去に,f'(x)の3次式がきれいに因数分解できないタイプで最小値>0を示させる問題を解いた記憶があります。この場合は解の範囲を絞り込んだりする必要がありなかなか厄介な問題なのですが,3乗の項がない4次式は「うまくやれば」ちょっとした式変形で解けることもあります。その別解を紹介します。

【別解】

答え\( x^4-x^2-2x+2 \\ = (x^2-1)^2+(x-1)^2 \geq 0 \)
より(左辺)-(右辺)≧0だから題意は成立。
等号成立はx=±1かつx=1つまりx=1のとき。

「(x2-○)2+△(x-□)2の形にすれば勝ち」なのはわかると思いますがこの○△□はうまく見つけないといけません。
ただ等号成立条件を考えるとx=±√○と□なのでそれらがあまりにも離れているときついでしょう。両方の等号が成立するときに最小になることを考えるとそれぞれの項が最小となるときのxの値はなるべく近くになるようにするのがいいとおもいます。

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