三角不等式の導出

 上野竜生です。三角不等式を導出します。ここでいう三角不等式とは三角関数の方ではなく三角形の成立条件に関する式です。大学に入るとこの不等式は何度も出てきますので結果を暗記することも重要です。

三角不等式の導出

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三角不等式

\(|x|-|y| \leq |x+y| \leq |x|+|y| \)

直感的には右側の部分にx=a-b , y=b-cを代入し

\( |a-b + b-c|=|a-c|= |a-b|+|b-c| \)

という形でもよく出てきて、aからcへの移動は途中でbに寄り道するよりもまっすぐいったほうが距離が短い、というような感覚の式になります。

この不等式は実数でなくても複素数でもベクトルでも成り立ちます。(実数以外の場合の証明は最後の「おまけ」を見てください)

左辺は2変数特有で、3変数以上だと左辺に対応する式はなくなり、右辺は

\( |x_1+x_2+\cdots +x_n| \leq |x_1|+|x_2|+\cdots +|x_n| \)

となります。

証明

2変数のときの右側

両辺は0以上なので(右辺)2-(左辺)2≧0を示す。

(右辺)2-(左辺)2
=x2+2|xy|+y2-x2-2xy-y2
=2|xy|-2xy
≧0

等号成立はxy≧0のとき。

つまり「x≧0かつy≧0」または「x≦0かつy≦0」のとき

2変数のときの左側

[方法1] 右側と同様に示す。

|x|-|y|<0のときは(左辺)<0≦(右辺)より明らか。

|x|-|y|≧0のとき

(右辺)2-(左辺)2
=x2+2xy+y2-|x|2+2|xy|-y2
=2xy+2|xy|
≧0

等号成立は|x|≧|y|かつxy≦0のとき

つまり「|x|≧|y|かつx≧0かつy≦0」または「|x|≧|y|かつx≦0かつy≧0」

⇔「x≧-y≧0」または「x≦-y≦0」のとき

[方法2] 右側を利用する

右側の式より|A+B|≦|A|+|B|

A=x+y , B=-yを代入する

|x|≦|x+y|+|-y|

|-y|=|y|より移項すると|x|-|y|≦|x+y|

等号成立はAB≧0、つまり-y(x+y)≧0のとき。

つまり「-y≧0かつx+y≧0」または「-y≦0かつx+y≦0」

⇔「x≧-y≧0」または「x≦-y≦0」のとき

3変数以上の証明

一般には数学的帰納法で行う。とりあえず3変数のみ示す。

|x+y+z|≦|x|+|y|+|z|を示す。

|x+y+z|≦|x|+|y+z|≦|x|+|y|+|z|より成立

最初はx+y+zをx とy+zと思い2変数の三角不等式を使う。
そのあとでy+zをyとzと思い2変数の三角不等式を使います。
4変数以上でも1文字+残りの文字と思い何度も繰り返し2変数の三角不等式を使えばOKです。

等号成立はx(y+z)≧0かつyz≧0のとき。

つまり「x(y+z)≧0かつy≧0かつz≧0」または「x(y+z)≧0かつy≦0かつz≦0」

⇔「x≧0かつy≧0かつz≧0」または「x≦0かつy≦0かつz≦0」のとき

おまけ 実数以外の場合

2変数左側の不等式は[方法2]と同様に示せます。また3変数以上の証明も実数の場合と全く同じです。異なるのは2変数の場合の右側だけです。それを示します。

[ |x+y|≦|x|+|y|の証明]

複素数のときの証明

x=a+bi , y=c+diとすると示すべき不等式は

\( \sqrt{(a+c)^2+(b+d)^2} \leq \sqrt{a^2+b^2}+ \sqrt{c^2+d^2} \)

(右辺)2-(左辺)2
=\( a^2+b^2+c^2+d^2+2\sqrt{(a^2+b^2)(c^2+d^2)}-(a^2+2ac+c^2+b^2+2bd+d^2) \\
=2(\sqrt{(a^2+b^2)(c^2+d^2)}-(ac+bd)) \geq 0 \)

コーシーシュワルツの不等式より)

等号成立はコーシーシュワルツのときの条件と同様、a:b=c:dのとき

ベクトルのときの証明

ほぼ同様ですが一般化します。

(右辺)2-(左辺)2
\((|\vec{x}|+|\vec{y}|)^2-|\vec{x}+\vec{y}|^2\\
= |\vec{x}|^2 + 2|\vec{x}||\vec{y}| + |\vec{y}|^2 – (\vec{x}+\vec{y})\cdot (\vec{x}+\vec{y})\\
=|\vec{x}|^2 + 2|\vec{x}||\vec{y}| + |\vec{y}|^2 – (|\vec{x}|^2+2\vec{x}\cdot \vec{y} + |\vec{y}|^2)\\
=2(|\vec{x}||\vec{y}| – \vec{x}\cdot \vec{y}) \\
=2|\vec{x}||\vec{y}| (1-\cos{\theta}) \geq 0 \)

等号成立は2つのベクトルのなす角θに対し\( \cos{\theta}=1 \)が成り立つとき,つまり\(\vec{y}=k\vec{x} \)となるk(>0)が存在するとき。(または\( \vec{x},\vec{y} \)の少なくとも一方が0のとき)

等号成立条件はやや複雑です。あまり覚えなくてもいいです。それより不等式そのものを理解しましょう。

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