上野竜生です。今回は偏微分を扱います。
偏微分の定義
yを定数と思って固定してxのみで微分したもの
\[ \lim_{h\to 0} \frac{f(x+h,y)-f(x,y)}{h} \]
を偏微分といい,\(\displaystyle \frac{\partial f}{\partial x} \)または\( f_x \)で表す。
同様にyで偏微分すると
\[ f_y(x,y)=\frac{\partial f}{\partial y}(x,y)=\lim_{h\to 0} \frac{f(x,y+h)-f(x,y)}{h} \]
である。
2階微分は次の通り
x→xの順に微分:\(\displaystyle \frac{\partial^2 f}{\partial x^2} = f_{xx} \)
x→yの順に微分:\(\displaystyle \frac{\partial^2 f}{\partial y \partial x} = f_{xy} \)
y→xの順に微分:\(\displaystyle \frac{\partial^2 f}{\partial x \partial y} = f_{yx} \)
y→yの順に微分:\(\displaystyle \frac{\partial^2 f}{\partial y^2} = f_{yy} \)
3階以上も同様である。x→yの順のときとy→xの順のときは書き方に注意!(とはいえ,ほとんどの場合fxy=fyxが成り立ちます。)
例題1
(1)\( z=x^3+5x^2y+7y^2+13x +17\)
(2)\( z=x^y \)
関数がfではなくzなのでfxの代わりにzxと書いてますがxでの偏微分であることには変わりありません。通常は定義に従うのではなくxで微分するときはyを定数と思って微分の公式を使うと良いでしょう。
\(z_y=5x^2+14y \)
\( z_{xx}=6x+10y \)
\( z_{xy}=10x\)
\( z_{yx}=10x \)
\( z_{yy}=14 \)
(2)\( z_{x}=yx^{y-1} \)
\( z_y=x^y \log{x} \)
\( z_{xx}=y(y-1)x^{y-2} \)
\( z_{xy}=z_{yx}=x^{y-1}+yx^{y-1}\log{x} \)
\( z_{yy} = x^y (\log{x})^2 \)
例題2
の原点での偏微分について
(1)xで偏微分可能か?
(2)yで偏微分可能か?
\(\displaystyle f_x(0,0)=\lim_{h \to 0} \frac{f(0+h,0)-f(0,0)}{h-0}\\ = \displaystyle \lim_{h\to 0} \frac{h^2}{h|h|} \)
これはh→+0では1に,h→-0では-1になるので極限が存在しない。よって偏微分可能ではない。
(2)
\(\displaystyle f_y(0,0)=\lim_{h \to 0} \frac{f(0,0+h)-f(0,0)}{h-0}\\ = \displaystyle \lim_{h\to 0} \frac{h^3}{h|h|}=\lim_{h\to 0} |h|=0 \)
となるので偏微分可能。\( f_y(0,0)=0 \)
例題3
について
(1)fx(x,y) , fy(x,y) , fx(0,0), fy(0,0)を求めよ。(前半2つは(x,y)≠(0,0)の場合について計算せよ)
(2)fxy(0,0), fyx(0,0)を求めよ。
答え(1)
\(\displaystyle f_y(x,y)=\frac{ (x^3-3xy^2)(x^2+y^2)-2xy^2 (x^2-y^2) }{(x^2+y^2)^2}=\frac{ x(x^4-y^4-4x^2 y^2) }{(x^2+y^2)^2} \)
\(\displaystyle f_x(0,0)=\lim_{h \to 0} \frac{f(h,0)-f(0,0)}{h-0}=0\)
\(\displaystyle f_y(0,0)=\lim_{h \to 0} \frac{f(0,h)-f(0,0)}{h-0}=0\)
(2)\(\displaystyle f_x(0,h)=\frac{-h^5}{h^4}=-h , f_y(h,0)=\frac{h^5}{h^4}=h \)に注意。
\(\displaystyle f_{xy}(0,0)=\lim_{h\to 0} \frac{f_x(0,h)-f_x(0,0)}{h-0}=-1 \)
\(\displaystyle f_{yx}(0,0)=\lim_{h\to 0} \frac{f_y(h,0)-f_y(0,0)}{h-0}=1 \)
基本的には偏微分しないほうの変数は定数と思って1変数と同じように公式を使って微分すればいいのですが,場合分けされているときなどは定義に従って計算する必要もあります。
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