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上野竜生です。今回は2変数関数以上での極値の求め方を紹介します。ヘッセ行列というのを新たに習うのでこれをしっかり理解しましょう。

1変数の時の極大・極小の求め方(復習)

step1 f'(x)=0となるxを求める。以下その値をaとする。
step2 f''(a)<0なら極大,f''(a)>0なら極小。f''(a)=0ならこの判定方法ではわからない。
高校では増減表で極大極小を判定することも多く,2階微分で判定するというのはちょっと小耳にはさむぐらいだったと思います。多変数の場合は2階微分のこのやり方のほうを応用します。

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一般のn変数のときの極大・極小の求め方

説明ではn=3(変数はx,y,z)としますが,4変数以上でも同様です。
step1 \( f_x(x,y,z)=0,f_y(x,y,z)=0,f_z(x,y,z)=0 \)をすべて満たす(x,y,z)を求める。これを停留点という。以下その値を(a,b,c)とする。
step2 (a,b,c)に対するヘッセ行列H(a,b,c)を求める。ヘッセ行列は以下の行列である。

\[ H(x,y,z)=\begin{pmatrix} \frac{\partial^2 f}{\partial x^2}(x,y,z) & \frac{\partial^2 f}{\partial x \partial y}(x,y,z) & \frac{\partial^2 f}{\partial x \partial z}(x,y,z) \\ \frac{\partial^2 f}{\partial y \partial x}(x,y,z) & \frac{\partial^2 f}{\partial y^2}(x,y,z) & \frac{\partial^2 f}{\partial y \partial z}(x,y,z) \\ \frac{\partial^2 f}{\partial z \partial x}(x,y,z) & \frac{\partial^2 f}{\partial z \partial y}(x,y,z) & \frac{\partial^2 f}{\partial z^2}(x,y,z) \end{pmatrix} \]

この行列の固有値がすべて正なら極小値,すべて負なら極大値,正と負があれば極値ではない。0を含むときはこの判定方法ではわからない。

ただ,固有値を計算する部分がまだ習っていないもしくは同時進行の線形代数で習っていたりして,1年生のテストではあまり出題されません。2変数の時はもう少し簡略化できます。

2変数のときの極大・極小の求め方

step1 \( f_x(x,y)=0 , f_y(x,y)=0 \)を同時に満たす停留点(x,y)を求める。これを(a,b)とする。
step2 ヘッセ行列

\[ H(a,b)=\begin{pmatrix} \frac{\partial^2 f}{\partial x^2}(a,b) & \frac{\partial^2 f}{\partial x \partial y}(a,b)  \\ \frac{\partial^2 f}{\partial y \partial x}(a,b) & \frac{\partial^2 f}{\partial y^2}(a,b)  \end{pmatrix} \]

行列式が正ならば極値をもつ,負ならば極値をもたない,0ならばこの判定方法ではわからない。極値を持つとき極大か極小かについては(1,1)成分が正ならば極小値,負ならば極大値である。

2変数のときも一般と同様固有値を求めてもいいのですが,2変数に関しては行列式だけで同値な判定法が得られるのでこちらを紹介していることも多いでしょう。行列式は線形代数ですでに学習済みなのでこれならテストに出題できますね。念のため2次の正方行列の行列式をおさらいしておくと
\( \det{\begin{pmatrix} A & B \\ C & D \end{pmatrix}} = AD-BC \)
です。

1変数の時の拡張みたいなものですが,微分の計算回数が増える・連立方程式を解くのがやや難しいなどの理由で計算ミスなく求めるのは難しくなります。何問か練習しないとなかなか身に付きません。例題を見てみましょう。

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例題1

\( f(x,y)=x^3-6xy+3y^2 \)について
(1)停留点(極値の候補)をすべて求めよ。
(2)ヘッセ行列を利用して(1)の点が極大か極小かを判定し,極大値・極小値を求めよ。
答え(1) \(f_x=3x^2-6y=0 \)・・・①
\(f_y=-6x+6y=0 \)・・・②
①+②より\( 3x^2-6x=0 \)
よってx=0,2
②よりy=xだから停留点は(0,0),(2,2)の2つ。
(2)\(f_{xx}=6x , f_{xy}=f_{yx}=-6 , f_{yy}=6 \)
よってヘッセ行列は
\( H(x,y)=\begin{pmatrix} 6x & -6 \\ -6 & 6 \end{pmatrix} \)
原点でのヘッセ行列は
\( H(0,0)=\begin{pmatrix} 0 & -6 \\ -6 & 6 \end{pmatrix} \)
であり,行列式は
\( 0 \cdot 6 - (-6)^2=-36<0\)なので(0,0)は極値ではない。
(2,2)でのヘッセ行列は
\( H(2,2)=\begin{pmatrix} 12 & -6 \\ -6 & 6 \end{pmatrix} \)
であり,行列式は
\(12 \cdot 6 - (-6)^2=36>0 \)なので極値である。
\( f_{xx}(2,2)=12 >0 \)なので極小値である。
以上より極大値はなし。極小値はf(2,2)=-4

例題2

\( f(x,y)=x^4+y^4-4(x-y)^2 \)について
(1)停留点をすべて求めよ。
(2)極大値・極小値があればそれを求めよ。
答え(1)\( f_x=4x^3-8(x-y)=0 \)・・・①
\( f_y=4y^3+8(x-y)=0 \)・・・②
①+②より\( 4x^3+4y^3 =0 \)
\( 4(x+y)(x^2-xy+y^2)=0 \)より
\( x+y=0 \)または\( x^2-xy+y^2=0 \)
\( x^2-xy+y^2=(x-\frac{1}{2}y)^2+\frac{3}{4}y^2 \geq 0 \)で等号成立はx=y=0のときに限るが,これはx+y=0のときに含まれるのでx+y=0のときだけ考えればよい。
y=-xを①に代入すると\( 4x^3-16x =4x(x^2-4) \)
よってx=0,±2
これをy=-xに代入すると停留点は
(0,0),(2,-2),(-2,2)
(2)ヘッセ行列は
\( H(x,y)=\begin{pmatrix} 12x^2-8 & 8 \\ 8 & 12y^2-8 \end{pmatrix} \)
まず,(2,-2),(-2,2)のときを調べる。このときヘッセ行列は
\( \begin{pmatrix} 40 & 8 \\ 8 & 40 \end{pmatrix} \)
であるから行列式は正。さらに\( f_{xx}=40>0 \)だから極小値である。
次に(0,0)のときを調べる。このときヘッセ行列は
\( \begin{pmatrix} -8 & 8 \\ 8 & -8 \end{pmatrix} \)
であるから行列式は0。よってヘッセ行列からは極大値か極小値かわからない。
もし極値ならばその値はf(0,0)=0になるはず。たとえばy=0で固定すると
\( f(x,0)=x^4-4x^2=x^2(x^2-4) \)はx=0の前後でマイナスの値をとる。
次にy=xを保ちながら(0,0)に近づけると
\( f(x,x)=2x^4 \)はx=0の前後でプラスの値をとる。よって(0,0)は極値ではない。
以上より極大値はなし。
極小値は\( f(2,-2)=f(-2,2)=-32 \)

「ヘッセ行列から判定できない」ときは本当は極値をとるかはわからないのですが,練習問題で出てくるような関数の場合,だいたいはいろんな角度から近づけると増え方が違うので極値ではないというパターンになります。

例題3

\( f(x,y,z)=(x^2+2y^2+3z^2)e^{-x^2-y^2-z^2} \)の極大値・極小値を求めよ。
答え\( f_x=2x(1-x^2-2y^2-3z^2)e^{-x^2-y^2-z^2}=0 \)
\( f_y=2y(2-x^2-2y^2-3z^2)e^{-x^2-y^2-z^2}=0 \)
\( f_z=2z(3-x^2-2y^2-3z^2)e^{-x^2-y^2-z^2}=0 \)
\( e^{-x^2-y^2-z^2}>0 \)だから
\( x(1-x^2-2y^2-3z^2)=0 \)・・・①
\( y(2-x^2-2y^2-3z^2)=0 \)・・・②
\( z(3-x^2-2y^2-3z^2)=0 \)・・・③
x=y=z=0のときは①②③すべてを満たす。
x,y,zの中に2つ以上0でないものは存在しない(たとえばx≠0,y≠0なら①②より\( x^2+2y^2+3z^2=1=2 \)となるから矛盾)
よってx,y,zのうち0でないものは1つ以下。
x=y=0のとき③よりz=±1
x=z=0のとき②よりy=±1
y=z=0のとき①よりx=±1
以上より停留点は
(0,0,0),(±1,0,0),(0,±1,0),(0,0,±1)
\( f_{xx}=(2-6x^2-4y^2-6z^2)e^{-x^2-y^2-z^2} - 2xf_x \)
\( f_{yy}=(4-2x^2-12y^2-6z^2)e^{-x^2-y^2-z^2} -2yf_{y}\)
\( f_{zz}=(6-2x^2-4y^2-18z^2)e^{-x^2-y^2-z^2} - 2zf_{z} \)
\( f_{xy}= -8xye^{-x^2-y^2-z^2} -2yf_x \)
\( f_{yz} = -12yze^{-x^2-y^2-z^2} - 2zf_y \)
\( f_{zx}= -4xze^{-x^2-y^x-z^2} - 2xf_z \)
ここで停留点では\( f_x=f_y=f_z=0\)であり,x,y,zのうち少なくとも2つは0だから\( f_{xy}=f_{yz}=f_{zx}=0 \)(0,0,0)でのヘッセ行列は
\( \begin{pmatrix} 2 & 0 & 0 \\ 0 & 4 & 0 \\ 0 & 0 & 6 \end{pmatrix} \)
となり,固有値はすべて正だから極小である。
(±1,0,0)でのヘッセ行列は
\( \begin{pmatrix} -4e^{-1} & 0 & 0 \\ 0 & 2e^{-1} & 0 \\ 0 & 0 & 4e^{-1} \end{pmatrix} \)
となり,固有値に正も負もあるから極値ではない。
(0,±1,0)でのヘッセ行列は
\( \begin{pmatrix} -2e^{-1} & 0 & 0 \\ 0 & -8e^{-1} & 0 \\ 0 & 0 & 2e^{-1} \end{pmatrix} \)
となり,固有値に正も負もあるから極値ではない。
(0,0,±1)でのヘッセ行列は
\( \begin{pmatrix} -4e^{-1} & 0 & 0 \\ 0 & -2e^{-1} & 0 \\ 0 & 0 & -12e^{-1} \end{pmatrix} \)
となり,固有値がすべて負だから極大値である。
以上より極大値は
\( f(0,0,\pm 1)=\frac{3}{e} \)
極小値は
\( f(0,0,0)=0 \)
固有値の求め方は線形代数学で学びます。おそらく2変数の微分も固有値も同じ時期に習うので微分積分のテストで固有値を絡める問題は出題されにくいと思います。
行列の対角化を学べばわかると思いますが今回のように対角成分以外がすべて0ならば,固有値は対角成分になります。

特に難しいことをしているわけではないのですが計算量はかなり膨大です。問題が数行でも一般に10分以上かかると考えていいでしょう。

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