上野竜生です。2変数のテイラー展開を紹介します。1変数の時よりある意味では難しいけどある意味では簡単です。
テイラー展開
関数f(x,y)は(a,b)の近傍でC2級とする。このとき,その近傍内の任意の点(x,y)に対して(a,b)と(x,y)を結ぶ線分上の点(ε,η)が存在して次のように表すことができる。
ここでR(x,y)は次の式で表せて剰余項と呼ばれる。
証明するときは剰余項のことも必要ですが2変数になるとあまり剰余項を気にして展開することは少ないです。それより2次の項や3次の項の係数が少し複雑でそれを求めさせる問題のほうがどちらかというとよく出題されます。そこで剰余項は省略して2次以上に展開する場合を紹介します。
(a,b)における2次のテイラー展開は下の通り。剰余項は省略。
POINT
3次以上にするときの注意としては{ }の前にある分数は3次のときは3!分の1(=6分の1),4次のときは4!分の1となります。また\(f_{xx}\)の前の係数については二項係数になっています。これは本来すべての偏微分の和を計算するのですがC2級,C3級ならfxy=fyxなどが成り立つので
\( f_{xx}+f_{xy}+f_{yx}+f_{yy}=f_{xx}+2f_{xy}+f_{yy} \)
\( f_{xxx}+f_{xxy}+\cdots +f_{yyy}=f_{xxx}+3f_{xxy}+3f_{xyy}+f_{yyy} \)(左辺は8通りすべての和)
などになることからそうなるのです。
例題
\( f_x=(1+x+2y)^{-1} , f_y=2(1+x+2y)^{-1} \)
これらにx=y=0を代入した値を公式
\[ f(0,0)+(f_x(0,0)x+f_y(0,0)y)\\ +\frac{1}{2!}(f_{xx}x^2 + 2f_{xy}xy+ f_{yy}y^2 )\\ + \frac{1}{3!} (f_{xxx}x^3+3f_{xxy}x^2 y + 3f_{xyy}xy^2 + f_{yyy}y^3) \]
に代入すると
別解
\( \log{(1+t)}=t-\frac{1}{2}t^2+\frac{1}{3}t^3 \)というマクローリン展開にt=x+2yを代入してもよい。こうすれば
1変数の時より本当はややこしいのですが,あまりにもややこしすぎて剰余項はテストに出にくくなった結果,テスト対策的には1変数より簡単になったかもしれません。
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