上野竜生です。問72の答えを発表します。
問72 ★
実数x,y,zは次を満たす。
\( x+y+z=5 \)
\( x^2+y^2+z^2=11 \)
xは整数だがy,z(y≦z)は整数ではない
このときx,y,zの値を求めよ。
答え
解1 なるべく数IAの範囲で解く。
y,zは実数だから\( y^2 \geq 0 , z^2\geq 0 \)
つまり\( x^2 \leq 11 \)
xは整数だからx=±3,±2,±1,0のいずれかである。
それぞれの場合について整理すると次の通り
x | y+z | y2+z2 | |
ア | 3 | 2 | 2 |
イ | 2 | 3 | 7 |
ウ | 1 | 4 | 10 |
エ | 0 | 5 | 11 |
オ | -1 | 6 | 10 |
カ | -2 | 7 | 7 |
キ | -3 | 8 | 2 |
y+z=k(一定)のとき\( y^2+z^2 \)の最大値を求める。
\( z=k-y \)を\( y^2+z^2 \)に代入すると
\( y^2+ (k-y)^2 \\ = y^2+k^2 -2ky+y^2 \\ =2y^2-2ky+k^2 \\ = 2(y-\frac{k}{2} )^2+ \frac{1}{2} k^2 \geq \frac{1}{2}k^2 \)
よって\( y^2+z^2 \geq \frac{1}{2}(y+z)^2 \)が成り立つ。(等号成立は\( y=\frac{k}{2}=\frac{y+z}{2} \)つまりy=zのとき)
ア~キの中でこの条件を満たさないものはy,zが実数にならないので不適。
条件を満たすものはア・イ・ウの3つである。
アのときは等号成立するのでy=z=1となりy,zが整数でないという条件に反する。
イのときz=3-yを\( y^2+z^2=7 \)に代入すると
\( y^2+y^2-6y+9=7 \)
\( y^2 -3y +1=0 \)
\( \displaystyle y=\frac{3 \pm \sqrt{5}}{2} \)
y≦zとy+z=3より3=y+z≧y+y=2y つまり\( y\leq \frac{3}{2} \)
ここから
\( \displaystyle y=\frac{3 - \sqrt{5}}{2},z=\frac{3 + \sqrt{5}}{2} \)
ウのときz=4-yを\( y^2+z^2=10 \)に代入すると
\( y^2+y^2-8y+16=10 \)
\( y^2 -4y +3=0 \)
y=1,3となりyが整数でないという条件に反する。
以上より\( \displaystyle x=2, y=\frac{3 - \sqrt{5}}{2},z=\frac{3 + \sqrt{5}}{2} \)
解2 数IIの微分を使う
\( x^2+y^2+z^2= (x+y+z)^2-2(xy+yx+zx)\\=25-2(xy+yz+zx)=11 \)
より
\( xy+yz+zx=7 \)
ここでxyz=aとするとx,y,zはtについての3次方程式
\( (t-x)(t-y)(t-z)=t^3-(x+y+z)t^2 + (xy+yz+zx)t- xyz \)
=\( t^3-5t^2+7t-a =0 \)
の解である。
ここで\( f(t)=t^3-5t^2+7t \)とおくとx,y,zは実数だからy=f(t)とy=aは3点で交わり,かつt座標は1つが整数で残りの2つは整数以外である。
\( f'(t)=3t^2-10t+7=(t-1)(3t-7) \)より増減表とグラフは下の通り。
\(\begin{array}{c|ccccc} t & \cdots & 1 & \cdots & \frac{7}{3} & \cdots \\ \hline f’(t) & + & 0 & – & 0 & + \\ \hline f(t) & \nearrow & 3 & \searrow & \frac{49}{27} & \nearrow \end{array} \)
このグラフy=f(t)とy=aが3点で交わり,かつt座標の1つが整数であるとき,その整数は1,2,3のどれかである。
1や3のときは3つの交点がt=1,1,3になりすべて整数になるので「残りの2つが整数以外」という条件に反する。よって整数解は2である。
【以下解1と同様でもよいし,そのまま3次関数を無理やり使うなら次のようにも解答できます】
y=f(t)とy=aがt=2とその他2点で交わるとき,a=f(2)=2
つまりx,y,zは3次方程式
\( t^3-5t^2+7t-2 = (t-2)(t^2-3t+1)=0 \)の解であるから解は
\( \displaystyle t=2, \frac{3 \pm \sqrt{5}}{2}\)
xは整数,y≦zだから
\( \displaystyle x=2, y=\frac{3 - \sqrt{5}}{2},z=\frac{3 + \sqrt{5}}{2} \)
正解者:2名(宮川大輔 さま・古春さま)
解説を読んで数学がわかった「つもり」になりましたか?数学は読んでいるうちはわかったつもりになりますが演習をこなさないと実力になりません。そのためには問題集で問題を解く練習も必要です。オススメの参考書を厳選しました
<高校数学>上野竜生です。数学のオススメ参考書などをよく聞かれますのでここにまとめておきます。基本的にはたくさん買うよりも…
上野竜生です。大学数学の参考書をまとめてみました。フーリエ解析以外は自分が使ったことある本から選びました。 大…
上野竜生です。当サイトでも少し前まで各ページで学習サイトをオススメしていましたが他にもオススメできるサイトはた…