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上野竜生です。問177の答えを発表します。

※今月の問題は2025年3月を最終回にする予定です。

問177

問題

複素数zに対して,関数f(z)をf(z)= |z+1|-|z-1|と定める。

(1)z=-1+iのとき,|z+1|=[ ア ],|z-1|=[ イ ]だからf(z)=[ ア ] - [ イ ]である。

[ ア ]・[ イ ]の解答群

⓪ 0  ① 1  ② 2  ③ 3  ④ 5
⑤ \(\sqrt{3}\)  ⑥ \(\sqrt{5}\)  ⑦ i

(2) kを正の実数とする。f(z)=kとなる軌跡を考えよう
|z+1|-|z-1|=kについて,|z-1|を移項すると
|z+1|=|z-1|+k ・・・(★)
ここで,z=x+iy(x,yは実数)とおいて(★)の両辺が0以上であることに注意して両辺を2乗し,整理すると
\( 4x-k^2=2k\sqrt{ (x-1)^2+y^2 } \)

\(k=3\)のときf(z)=kの軌跡は[ ウ ]。
\( k=\sqrt{3}\)のとき,f(z)=kの軌跡は[ エ ]であり,漸近線の方程式は[ オ ]である。

[ ウ ]の解答群:

⓪円 ①楕円 ②双曲線 ③放物線 ④直線 ⑤点 ⑥図形を表さない

[ エ ]の解答群:
双曲線

[ オ ]の解答群

⓪\( y=\pm 3x \)  ①\( y=\pm \sqrt{3}x \)  ②\( y= \pm x \)
③\(\displaystyle y=\pm \frac{\sqrt{3}}{3} x \)  ④\(\displaystyle y=\pm \frac{1}{3}x \)

(3)複素数平面において\( f(z)=\sqrt{3}\)が表すzの軌跡をC1とする。
C1上の点zに対し,\(\displaystyle w=\frac{1}{z}\)とおいたときのwの軌跡をC2とする。
C1とC2の交点はすべて原点を中心とする半径[ カ ]の円周上にある。

[ カ ]の解答群

⓪ 0  ① 1  ② 2  ③ 3
④ \(\displaystyle \frac{1}{2}\)  ⑤ \(\displaystyle \frac{1}{3}\)  ⑥ \(\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{3} \)  ⑦ \(\sqrt{3} \)

 

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答え

ア ①
イ ⑥
ウ ⑥
エ ⓪
オ ③
カ ①

ア・イ

\(z=-1+i\)のとき,\(|z+1|=|i|=1 ,|z-1|=|-2+i|=\sqrt{5}\)

(問題文にある\( 4x-k^2=2k\sqrt{ (x-1)^2+y^2 } \)の導出 ⇐この問題では計算してくれているので導出する必要はないが,なぜこの式がでてきたのかわからない人向け)

\( |z+1|=|z-1|+k \)に\( z=x+iy \)(x,yは実数)を代入すると
\( |(x+1)+iy| = |(x-1)+iy| + k \)
複素数の絶対値の定義より
\( \sqrt{(x+1)^2 + y^2} = \sqrt{(x-1)^2 + y^2}+k \)
(√は0以上かつkは正の実数だから両辺は正。よって)両辺を2乗しても同値
\( (x+1)^2 + y^2 = (x-1)^2 +y^2 +k^2 +2k\sqrt{ (x-1)^2 + y^2} \)
\( x^2+ 2x+1+y^2 =x^2 -2x +1 +y^2+k^2 +2k\sqrt{(x-1)^2+y^2} \)
\( 4x-k^2 =2k\sqrt{(x-1)^2 +y^2} \)
(導出終わり)

k=3のとき
\( 4x-9=6\sqrt{(x-1)^2+y^2} \)
右辺は0以上だから左辺も0以上。よって\(\displaystyle x\geq \frac{9}{4} \)
この条件で両辺を2乗すると
\( 16x^2 - 72x +81 =36x^2 -72x +36+36y^2 \)
\( 20x^2 +36y^2 =45 \)
ところが\(\displaystyle x\geq \frac{9}{4} \)なので
(左辺)\( \geq 20 \cdot \frac{9}{4} \cdot \frac{9}{4}+0^2 >45 \)
となり(左辺)=(右辺)は成立しない。

\( k=\sqrt{3} \)のとき
\( 4x-3=2\sqrt{3}\sqrt{(x-1)^2+y^2 }\)
右辺は0以上だから\( \displaystyle x \geq \frac{3}{4} \)
この条件で両辺を2乗すると
\( 16x^2- 24x+9 = 12x^2 -24x+12+12y^2 \)
\( 4x^2-12y^2=3 \)
\( \displaystyle \frac{x^2}{\frac{3}{4}}-\frac{y^2}{\frac{1}{4}}=1 \)
よってこのグラフは選択肢④のようになるが\(\displaystyle x \geq \frac{3}{4} \)なので右側のみである。よって答えは⓪

双曲線の方程式は
\(\displaystyle \frac{x^2}{(\frac{\sqrt{3}}{2})^2} - \frac{y^2}{(\frac{1}{2})^2} =1 \)
とかけるので漸近線は
\(\displaystyle y=\pm \frac{\frac{1}{2}}{\frac{\sqrt{3}}{2}}x= \pm \frac{\sqrt{3}}{3} x \)

C1の式は
\( |z+1|-|z-1|=\sqrt{3} \)
\( \displaystyle w=\frac{1}{z} \)より\(\displaystyle z=\frac{1}{w} \)であるからC2の式はC1の式に\( \displaystyle z=\frac{1}{w} \)を代入して
\(\displaystyle \left| \frac{1}{w} +1 \right| - \left| \frac{1}{w} -1 \right| =\sqrt{3} \)
両辺に\( |w| \)をかけて
\( |1+w|-|1-w|=\sqrt{3}|w| \)
つまり
\( |w+1|-|w-1|=\sqrt{3}|w| \)
となる。

ここでC1とC2の左辺は等しいから右辺どうしも等しい。よって
\( \sqrt{3}|w|=\sqrt{3} \)
つまり
\( |w|=1 \)
となり,絶対値は1である。つまり,原点を中心とする半径1の円周上にある。

 

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