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上野竜生です。問141の答えを発表します。

問141

[千葉大学 改]
定義域を\( 0 \leq x \leq 1 \)とする関数\( f_n(x) \)と\( f(x) \)を以下で定める。
\(\displaystyle f_{1}(x)=0 , f_{n+1}(x)=\int_0^x (f_n(t)-1)^2 dt ~ (n=1,2,3,\cdots ) \)
\(\displaystyle f(x)=\frac{x}{x+1} \)
実数\( a ~ (0\leq a \leq 1) \)に対して,極限\(\displaystyle \lim_{n\to \infty} f_n(a) \)を求めよ。

【注】
元の問題では
(1)正の整数nに対して,不等式
\( 0 \leq f_n(x) \leq 1 ~ (0 \leq x \leq 1) \)
が成り立つことを証明せよ。
(2)正の整数nに対して,不等式
\( (-1)^n f_n(x) \geq (-1)^n f(x) ~ (0\leq x \leq 1) \)
が成り立つことを証明せよ。
とあり,そのあとの(3)が今回の問題です。(1)(2)の結果は証明なしで用いて良い。

答え

(1)(2)はともに数学的帰納法で示せます。(2)は偶奇で場合分けをするほうがわかりやすいです。解答量は長くなりますが発想は難しくないので省略します。それでは(3)を示します。

発想は(2)から答えはf(a)になると予想されるので数列の極限の時と同じく
\( |f_n(x)-f(x)| \to 0 \)を示す方針です。

\(\displaystyle |f_n(x)-f(x)| = | \int_0^x (f_{n-1}(t)-1 )^2 dt -\frac{x}{x+1} | \\ = \displaystyle |\int_0^x (f_{n-1}(t)-1)^2 - \frac{1}{(t+1)^2 } dt | \\ = \displaystyle | \int_0^x ( f_{n-1}(t) -1 - \frac{1}{t+1} ) (f_{n-1}(t)-1+\frac{1}{t+1} ) dt | \\ \displaystyle \leq \int_0^x | f_{n-1}(t)-\frac{t+2}{t+1}| | f_{n-1}(t)-\frac{t}{t+1} | dt \\ \displaystyle \leq 2 \int_0^x | f_{n-1}(t)-f(t)| dt \)
最後の部分については(1)より\( 0 \leq f_{n-1}(t) \leq 1 \)と,\(\displaystyle -2 \leq -\frac{t+2}{t+1} \leq -\frac{3}{2} ~ (0\leq t \leq 1)\)より\(\displaystyle |f_{n-1}(t)-\frac{t+2}{t+1}| \leq 2 \)となることからわかる。

次にn≧2のとき
\(\displaystyle 0 \leq |f_{n}(x) - f(x)| \leq \frac{2}{n} \cdot \frac{2}{n-1} \cdots \frac{2}{3} \cdot \frac{2}{2} x^n \)
が成り立つことを示す。
まず,n=1のときは
\( |f_{1}(x)-f(x)|=|f(x)|= \frac{x}{x+1} \leq x \)
n=2のときは
\(\displaystyle |f_2(x)-f(x)| \leq \int_0^x 2|f_1(t)-f(t)|dt \leq \int_0^x 2t dt = x^2 \)
n=kで成立すると仮定するとn=k+1のとき
\(\displaystyle |f_{k+1}(x)-f(x)| \leq \int_0^x 2|f_k(t)-f(t)|dt \\ \displaystyle \leq \int_0^x 2 \cdot \frac{2}{k} \cdot \frac{2}{k-1} \cdots \frac{2}{3} \cdot \frac{2}{2} t^k dt \\ \displaystyle = \frac{2}{k+1} \cdot \frac{2}{k} \cdot \frac{2}{k-1} \cdots \frac{2}{3} \cdot \frac{2}{2} x^{k+1} \)
となるから数学的帰納法より成立。

以上より
\(\displaystyle 0 \leq |f_{n}(x) - f(x)| \leq \frac{2}{n} \cdot \frac{2}{n-1} \cdots \frac{2}{3} \cdot \frac{2}{2} x^n \\ \displaystyle \leq \frac{2}{3} \cdot \frac{2}{3} \cdots \frac{2}{3} \cdot \frac{2}{2} x^n = (\frac{2}{3})^{n-2} x^n \)
0≦a≦1を満たすaに対して
\(\displaystyle \lim_{n\to \infty} (\frac{2}{3})^{n-2} a^n =0 \)
であるから
\(\displaystyle \lim_{n\to \infty} |f_n(a)-f(a)| =0 \)
つまり
\(\displaystyle \lim_{n\to \infty} f_n(a)=f(a)= \frac{a}{a+1} \)

 

 

正解者:0名

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