上野竜生です。図形に関する性質を証明するときどうしてもひらめかなければ座標でゴリ押しもできます。その方法とテクニックを紹介します。
座標で証明することの長所・短所
長所: アイデアがほぼ不要。
短所: 計算量が多い。
なのでひらめけるなら他の方法で解きたいですが最終手段として座標でもできるようにしておけば入試やテスト本番で武器になります。
例題
座標を使わずアイデアがひらめけば次の証明になります。
(右辺)-(左辺)=AC2BC2+AC2+BC2+1-AB2
>AC2BC2+AC2+BC2+1-(AC+BC)2>0 (∵三角形の成立条件よりAB<AC+BC)
=AC2BC2-2AC・BC+1=(AC・BC-1)2≧0 (Q.E.D)
試験中にこれが思いつかなかったとしてオールマイティな証明方法「座標による証明」で証明してみたいと思います。
まずは三角形ABCの座標を適当に文字でおきましょう
単純に考えるとA(a,b) , B(c,d) ,C(e,f)とおけばいいですね。一応それで解いてみます。
このとき(左辺)=(a-c)2+(b-d)2
(右辺)={(a-e)2+(b-f)2+1}{(c-e)2+(d-f)2+1}より
(右辺)-(左辺)=(a2+b2+e2+f2-2ae-2bf+1)(c2+d2+e2+f2-2ce-2df+1)-(a2+b2+c2+d2-2ac-2bd)
=・・・>0
となればいいのですが・・・計算があまりにも膨大です。座標でやると計算量がデメリットになるのでなるべく計算量を減らす工夫をしましょう。
一般性を失わずにできるだけ0を多くとれ!
実は三角形の座標を表現するのに6変数も必要ありません。辺の長さの証明ですから回転させたり平行移動させても一般性を失いません。
(一般性を失わないとは問題文のすべての場合を網羅しているという感じです)
まず回転させて辺ABをx軸に平行にし,さらに平行移動してABをx軸に重ねてもまだ一般性を失っていません。そうすればA(a,0) ,B(b,0) , C(c,d)とおけます。これで2変数消去できました。
実はもっとできます。さらにx方向に適当な量動かせばCのx座標を0にできます。これでもまだ一般性は失っていません。よってA(a,0),B(b,0),C(0,c)とかけます。ここからスタートすれば計算量の問題も少し解決できます。少し長くなったので問題文の示すべき式をもう1度書いておきます。
【示す式】AB2<(AC2+1)(BC2+1)
(左辺)=(a-b)2
(右辺)=(a2+c2+1)(b2+c2+1)より
(右辺)-(左辺)
=(c2+1)2+(a2+b2)(c2+1)+a2b2-a2+2ab-b2
=c4+2c2+1+a2c2+b2c2+a2+b2+a2b2-a2+2ab-b2
=c4+2c2+a2c2+b2c2+(ab+1)2
>0 (∵c≠0よりc2>0)
これでも最初のアイデアを使った証明より計算量が多くなりますが現実的に解けるレベルにまでなりました。最初の設定さえできればあとは計算するだけです。
最後に今回のパターン以外のよくある座標の置き方を紹介します。
・任意の△ABC→A(a,0),B(b,0),C(0,c)とおける。
・辺AB上に中点Mがある→Mを原点としA(a,0),B(-a,0),C(b,c)とおける。
このように計算量が多くなるのは短所ですが頑張れば必ず解けます。最終手段として知っておきましょう。
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