上野竜生です。今回は多項式が(x-a)2で割り切れる条件を考えます。ただし,これの説明には数IIIで習う積の微分を使います。
積の微分
f(x)g(x)をxで微分するとf'(x)g(x)+f(x)g'(x)
これは厳密には数IIIの範囲ですがこれを認めて説明します。
(x-a)2で割った余り
整式f(x)を(x-a)2で割った商をQ(x),余りをpx+qとおく。
f(x)=(x-a)2 Q(x)+px+q・・・①
①にx=aを代入するとf(a)=pa+q
①をxで微分する。積の微分を使うと
\( f'(x)=2(x-a)Q(x)+(x-a)^2Q'(x)+p \)・・・②
②にx=aを代入すると
f'(a)=p
これを解くと
p=f'(a) , q=f(a)-af'(a)
よって余りは
f'(a)x + f(a)-af'(a)
特にf'(a)=0かつf(a)-af'(a)=0,つまりf(a)=f'(a)=0のとき余りは0となるから(x-a)2で割り切れる
例題
(1)f(x)が(x-1)(x-2)で割り切れるような定数a,bの値を求めよ。
(2)f(x)が(x-1)2で割り切れるような定数a,bの値を求めよ。
答え
(1)f(x)が(x-1)で割り切れるからf(1)=0
f(x)が(x-2)で割り切れるからf(2)=0
よって
a+b=-1
2a+b=-16
よってa=-15,b=14
(2)
【積の微分なしの記述式の場合の正攻法】
(x-1)で割り切れるから因数定理よりf(1)=0
∴b=-a-1
よって\( f(x)=x^4+ax-a-1=(x-1)(x^3+x^2+x+a+1)\)
ここで\(g(x)=x^3+x^2+x+a+1 \)とおくと因数定理よりg(1)=0
∴a+4=0 となるからa=-4
これをb=-a-1に代入するとb=3
【答えだけで良い場合の裏技】
f(1)=0かつf'(1)=0
f'(x)=4x3+aなので
a+b+1=0かつ4+a=0
∴a=-4, b=3
もちろんx2-2x+1で実際に割り算のひっ算をして余りを求めてそれが0になる条件にしてもOKです。
まとめ
f(x)が(x-a)2で割り切れる条件はf(a)=0かつf'(a)=0
結果だけならかなり使える裏技ですね。ちなみに一般の余り「f'(a)x + f(a)-af'(a)」は覚えなくてもいいです。もしf(x)が(x-a)2で割り切れる条件ではなく余りを求めよと言われた場合は
余りをpx+qとおくとf(x)-px-qが(x-a)2で割り切れることになるので割り切れる条件に帰着されます。
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