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上野竜生です。今回は二次不等式が常に成り立つ条件を考えます。実数全体は比較的楽ですが,ある一部の区間で成り立つ場合や2変数の場合も紹介します。だんだん難しくなりますので少しずつ理解しましょう。

例題1

すべての実数xに対して常に\( ax^2+6x+a >0 \)が成り立つとき定数aの値の範囲を求めよ。

二次の係数に着目しましょう。上に凸の放物線ではいつかy<0になってしまいますね。なので2次関数が常に正であるためには少なくとも下に凸の放物線であることが必要です。

答えa=0のとき1次不等式6x>0は常には成り立たないので不適。
a<0のとき上に凸の放物線なので十分大きなxでは\( ax^2+6x+a \)が負になる。
(具体的に見つけるとより安心です。x=0のとき\( ax^2+6x+a=a<0 \)となりますね。)
a>0のとき\( y=ax^2+6x+a >0 \)が常に成り立つということはこの放物線とx軸が交わらないということ,つまりこの2次式の判別式が負であることである。よって判別式をDとすると
D/4\(=9-a^2<0\)
∴a<-3またはa>3
a>0よりa>3
ポイント 二次関数y=ax2+bx+c(a≠0)の右辺の判別式をDとする。実数全体で...
常にy>0⇔a>0かつD<0
常にy≧0⇔a>0かつD≦0
常にy<0⇔a<0かつD<0
常にy≦0⇔a<0かつD≦0

注1:これは丸暗記するのではなくグラフをイメージして理解しましょう。
注2:y≧0でもy≦0でもx軸と2回交わってしまう(D>0のとき)とその内側と外側でyの正負が変わります。ということはy>0にもy<0にもなるということですから「常にy≧0」も「常にy≦0」も成り立ちません。yの符号に関係なくDの符号は常にマイナス(または0)であることに注意しましょう。
注3:a=0のときは1次式(b≠0のとき)またはただの定数(b=0のとき)です。判別式が意味をなさないのでa=0は別に考えると良いでしょう。

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例題2

0≦x≦3を満たすすべてのxに対し,常に\( -x^2+4ax-3 <0 \)が成り立つとき定数aの値の範囲を求めよ。
ポイント y=f(x)がある区間Iで
常にy>0(y≧0)⇔I上でのf(x)の最小値>0(≧0)
常にy<0(y≦0)⇔I上でのf(x)の最大値<0(≦0)

常に成り立つ⇔一番厳しい点で成り立つということなので一番厳しい点(最大や最小になるときが一番厳しい点ですね)を調べればいいのです。二次関数の場合最大・最小の候補は境界か軸なのでそこを調べればよいことになります。もちろん軸がIの中に入っているかそうでないかなど考える必要はあります。ちなみにIが0<x<3などのような場合厳密には「最大値」「最小値」がなくなる場合もありますが要は区間Iでのf(x)の取り得る範囲を求めるという点は同じです。等号の有無だけ個別に考えてあげましょう。

答え\(f(x)=-x^2+4ax-3\)とおいて0≦x≦3でのf(x)の最大値<0となればよい
\( -x^2+4ax-3=-(x-2a)^2+(4a^2-3) \)なので
2a>3のとき最大値はf(3)=12a-12 ∴a<1となるが2a>3を満たさないので不適。
0≦2a≦3のとき最大値はf(2a)=4a2-3 ∴\( 0\leq a <\frac{\sqrt{3}}{2} \)
a<0のとき最大値はf(0)=-3 ∴a<0
以上をまとめると\( a<\frac{\sqrt{3}}{2}\)

例題3

すべての実数x,yに対しx2+2axy+y2+4x+4y+6≧0が成り立つような定数aの値の範囲を求めよ。
答え【解法1】判別式の意味をしっかり理解する
すべての実数xに対して
\( x^2+2(ay+2)x+(y^2+4y+6) \geq 0\)・・・①が成り立つから
xについての2次式(①の左辺)の判別式をD1とするとD1≦0
D1/4=\( (ay+2)^2 - (y^2+4y+6)\)
\( = (a^2-1)y^2 +2(2a-2)y -2 \leq 0 \)・・・②
②がすべてのyで成り立つ条件を求める。
a=±1のとき②は1次式であることに注意する。
a=1のとき-2≦0は成立するので適。
a=-1のとき-8y-2≦0は常には成立しないので不適。
a≠±1のとき\(a^2-1<0\)かつ②の左辺の判別式をD2とするとD2≦0
D2/4 \(= (2a-2)^2 +2(a^2-1)\)
\( = 6a^2-8a+2=2(3a-1)(a-1) \leq 0\)
よって\( \frac{1}{3} \leq a \leq 1 \)
\(a^2-1<0\)より\(\frac{1}{3}\leq a <1 \)
a=±1のときの結果とあわせると答えは\( \frac{1}{3} \leq a \leq 1 \)
【解法2】平方完成
問題の式の左辺は
\( x^2+2(ay+2)x+(y^2+4y+6) \\ = (x+ay+2)^2+(1-a^2)y^2 -2(2a-2)y +2 \\ = (x+ay+2)^2 + (1-a^2) \left(y+\frac{2}{(1+a)} \right)^2 +2-\frac{4(1-a)}{1+a}\)
ただし最後の変形はa≠±1のとき。
\( 1-a^2 <0 \)のときはyを十分大きくしてx+ay+2=0となるようなxをとれば0より小さくなるので不適。\(1-a^2>0\)つまり-1<a<1のときを考える。
このときはx+ay+2=0かつ\( y+\frac{2}{1+a}=0 \)のとき最小値\( 2-\frac{4(1-a)}{1+a} \)をとるからこれが0以上であればよい。
\( \displaystyle 2-\frac{4(1-a)}{1+a}=\frac{6a-2}{1+a} \geq 0 \)より
\( \frac{1}{3} \leq a <1 \)
a=1のとき問題の式の左辺は
\( (x+y+2)^2 +2 \geq 0 \)となり成立する。
a=-1のとき問題の式の左辺は
\( (x-y+2)^2 +8y +2 \)となるのでたとえばy=-1,x=-3のとき成立しなくなり不適
よって答えは\( \frac{1}{3} \leq a \leq 1 \)

 

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