上野竜生です。置換積分とは次の公式です。
ただし,\( x=g(t) , a=g(\alpha) , b=g(\beta) \)
これを一生懸命覚えてもあまり点数は上がらないでしょう。それより,どのように置換するかが重要です。置換のパターンをいくつか紹介します。なお,実際にやってみてうまくいけば正解ですが,やるまでは確実かどうかわかりません。たくさん問題を解けば大体いけそう・・・とかわかるようになります。それしか言えないのがこの分野の難しいところであり楽しいところでもあります。
f(x)とf'(x)が両方見えるパターンはt=f(x)とおく!
展開してもいいですが\(f(x)=x^2+1\) とf'(x)=2xが見えるので\( t=x^2+1 \)と置換しましょう
すると\(\displaystyle \int_{1}^{10} t^4 dt\)となるので計算できます。
\( \displaystyle \left( \left[ \frac{1}{5}t^5 \right]_{1}^{10}=\frac{99999}{5} \right) \)
それ以外にも(sinθの式)×cosθの式の場合などはt=sinθと置くことが重要です。
√を含む関数は分母を有理化したあと√をまるごとtとおく!
√が分母にある場合は有理化して分子にもってきましょう。そのほうがわけて考えられるので便利です。また√の中身が1次式の場合は√の中身,もしくは√全体をtとおくのが基本です。
(それ以外の場合はf(x)f'(x)の形になっているか√の中が2次式の定積分なら平方完成してt=sinθやt=tanθなどと置く場合もある)
答え
第2項の積分は
\(\displaystyle \int x^{\frac{3}{2}} dx = \frac{2}{5} x^{\frac{5}{2}}+C \)
第1項の積分について\(t=\sqrt{4x+5} \)とおくと
\(\displaystyle \frac{dt}{dx}=\frac{4}{2\sqrt{4x+5}}=\frac{2}{t} \) ∴\(\displaystyle dx=\frac{t}{2}dt \)
よって求める積分は
指数関数の積分はt=exとおく!
おかないほうが速い場合もありますがt=exとおいておけばとりあえず間違いありません。
(1) \(\displaystyle \int \frac{e^x}{e^x+1}dx \)
(2) \(\displaystyle \int \frac{1}{e^x+1}dx \)
(1)
(2)
ちなみにこの例題では(1)が\(\frac{f'(x)}{f(x)}\)の形なのですぐにlog|f(x)|+Cと積分可能です。
また(1)の被積分関数と(2)の被積分関数を足すと1なので次のように解くこともできます。
一見答えの形は違いますが同値です。
このように置換しないほうが楽な場合もありますが置換してもできるのですぐにひらめかない指数関数の積分はt=exと置換する!と覚えておきましょう。
\( a^2-x^2\)が見えればx=asinθ,\(a^2+x^2\)が見えればx=atanθとおく
答えx=sinθとおくと,\(\displaystyle \frac{dx}{d\theta}=\cos{\theta} \)
よって
\(\displaystyle \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \sqrt{1-\sin^2{\theta}}\cos{\theta} d\theta \\
= \displaystyle \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \cos^2{\theta} d\theta \\
= \displaystyle \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \frac{1+\cos{2\theta}}{2}d\theta \\
= \displaystyle \left[ \frac{1}{2}\theta + \frac{1}{4}\sin{2\theta} \right]_0^{\frac{\pi}{2}} \\
=\displaystyle \frac{\pi}{4}\)
となるので計算できます。
なお,この積分は下の図の斜線部分の面積なので半径1の円の面積を4で割ったものと考えてもOKです。
分数関数の場合
分母を因数分解し,部分分数分解をします。
分母が1次式の場合
普通に積分できます。つまり,\(\displaystyle \int \frac{adx}{bx+c}=\frac{a}{b} \log{|bx+c|}\)を使いましょう。
分母が2次式の場合
分母の判別式をDとするとD>0なら1次式に部分分数分解ができてるはずなのでD=0またはD<0になっているはずです。D=0なら結局上の1次式と同様の考えでできます。D<0の場合分母を平方完成して\( (x-a)^2+b \)の形までもってきたとします。(最高時の係数は無視できるので無視します。)
このときは\( x=a+\sqrt{b}\tan{\theta} \)と置換しましょう。するとすごくきれいに計算できます。
分母が3次式以上の場合
一般にはこれは不可能です。3次式の場合は\(\displaystyle \frac{f'(x)}{f(x)}\)の形になっていないと絶望的です。4次式などなら他の方法で因数分解ができないかなどをかんがえましょう。複二次式だったり,他の置換(\(t=x^2\))で次数を下げたりできないか考えましょう。(例:\(\displaystyle \int_0^1 \frac{dx}{x^3+1} \))
とりあえずこのぐらいパターンを知っていれば広範囲をカバーできます。市販の問題集などでたくさん練習しましょう。
解説を読んで数学がわかった「つもり」になりましたか?数学は読んでいるうちはわかったつもりになりますが演習をこなさないと実力になりません。そのためには問題集で問題を解く練習も必要です。オススメの参考書を厳選しました
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上野竜生です。大学数学の参考書をまとめてみました。フーリエ解析以外は自分が使ったことある本から選びました。 大…
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