上野竜生です。今回は関数の連続性とその性質,あとは中間値の定理まで学習します。単純なことばかりですがなかなか奥が深いです。
連続の定義
関数f(x)がx=aで連続であるとは
\(\displaystyle \lim_{x\to a-0} f(x)=\lim_{x\to a+0} f(x)=f(a) \)
が成り立つこと。
また関数f(x)が定義域I内で連続であるとは定義域内のすべての点で連続であること。
性質
四則演算
f(x)とg(x)が連続ならば四則演算によって得られる関数も連続である。ただし0で割る場合を除く。具体的に書き下すとf(x),g(x)が連続ならば
① f(x)+g(x)も連続。
② f(x)-g(x)も連続。
③ f(x)g(x)も連続。
④ g(x)≠0の範囲で\(\displaystyle \frac{f(x)}{g(x)} \)も連続
g(x)=0の点では不連続になる可能性があります。
合成関数
f(x),g(x)が連続ならば合成関数f(g(x))も連続です。
つまり、高校範囲で登場するような関数は意図的に場合分けをしたり分母が0になる点以外はほぼすべて明らかに連続です。
極限と関数の順序交換
fが連続関数のとき関数と極限が順序交換できる。
つまり次のような計算や記述方法ができます。
「cosxの連続性より
\(\displaystyle \lim_{x \to \infty} \cos{(\frac{x}{x^2+1})}=\cos{(\lim_{x\to \infty} \frac{x}{x^2+1})}=\cos{0}=1 \)」
本来はcos全体の極限をcosの中身だけの極限の話に勝手に変えることは許されないのですが連続関数なら許されます。
\(\displaystyle \lim_{x \to \infty} [\cos{(\frac{x}{x^2+1})}]=[\cos{(\lim_{x\to \infty} \frac{x}{x^2+1})}]=[\cos{0}]=1 \)
これは[cosx]が連続関数ではありませんので勝手に順序交換はできません。実際
\(\displaystyle t=\frac{x}{x^2+1} \)とおくとx→∞のときt→+0なので
\(\displaystyle \lim_{x\to \infty} [\cos{(\frac{x}{x^2+1})}]=\lim_{t \to +0} [\cos{t}]=0 \)です。
例題1
(1) \( \begin{eqnarray} f(x)= \begin{cases} ax^2+x & ( x > 1 ) \\ 3 & ( x = 1 ) \\ \sqrt{bx+c} & (0 <x<1) \\ 2b-ac & (x\leq 0) \end{cases} \end{eqnarray}\)
(2) \( \begin{eqnarray} f(x)= \begin{cases} \frac{x^2+ax+b}{|x-1|} & ( x \neq 1 ) \\ c & ( x=1 ) \end{cases} \end{eqnarray}\)
つまり
\(\displaystyle \lim_{x \to -0} f(x)=f(0)=\lim_{x \to +0} f(x) \)と
\(\displaystyle \lim_{x\to 1-0} f(x)=f(1)=\lim_{x\to 1+0} f(x) \)が成り立てばよい。
\(\displaystyle \lim_{x\to -0} f(x)=f(0)=2b-ac \)
\(\displaystyle \lim_{x \to +0} f(x)=\sqrt{c} \)より
\(2b-ac=\sqrt{c} \)・・・①
\(\displaystyle \lim_{x\to 1-0} f(x)=\sqrt{b+c} , f(1)=3, \lim_{x\to 1+0} f(x)=a+1\)より
\(\sqrt{b+c}=3=a+1\)・・・②
②よりa=2,b+c=9を①に代入すると
\(2(9-c)-2c=\sqrt{c} \)
\(18-4c=\sqrt{c} \)・・・③
両辺2乗して
\( 16c^2-144c+324=c\)
\( (c-4)(16c-81)=0 \)
\( c=\frac{81}{16} \)を代入しても③は成り立たないので不適。よってc=4
以上よりa=2,b=5,c=4
(2) 明らかにx≠1では連続であるからx=1での連続性が成り立てばいい。
\(\displaystyle \lim_{x \to 1} f(x)=f(1)=c \)が成り立てばよい。
cは定数だから,分母→0(x→1)なので 分子→0(x→1)も必要。
よってa+b+1=0
これを代入すると
\(\displaystyle \lim_{x\to 1} \frac{x^2+ax-a-1}{|x-1|}=\lim_{x \to 1}\frac{(x-1)(x+a+1)}{|x-1|} \)
ここで
\(\displaystyle \lim_{x \to 1+0} \frac{(x-1)(x+a+1)}{|x-1|}=\lim_{x\to 1+0} x+a+1=a+2 \)
\(\displaystyle \lim_{x\to 1-0} \frac{(x-1)(x+a+1)}{|x-1|}=\lim_{x\to 1-0} -(x+a+1)=-a-2 \)なので
a+2=-a-2=cとなりa=-2,c=0
これをa+b+1=0に代入するとb=1
中間値の定理
中間値の定理とは次の定理です。
関数f(x)が閉区間a≦x≦bで連続でf(a)≠f(b)ならばf(a)とf(b)の間にある任意の実数kに対してf(x)=kとなるxがa<x<bの範囲に存在する。
言い換えれば次のようにも言えます。
POINTf(x)が閉区間a≦x≦bで連続でf(a)とf(b)が異符号ならばf(x)=0となるx(a<x<b)が存在する。
グラフで考えれば明らかですね。なお例題2(2)で見ますがf(x)=0となるxをx>aの範囲で見つけたいときb=∞と考えて極限をとって考えてもいいです。
例題2
(1) -1<x<2の範囲に少なくとも2つの実数解をもつ
(2) x>4の範囲に少なくとも1つの実数解をもつ。
\( f(-1)=\frac{1}{a}-1<0 \)
\( f(0)=1>0 \)
\( f(1)=a-1 >0 \)
\( f(2)=a^2-4 <0 \)
なので中間値の定理より-1<x<0の範囲に少なくとも1つの実数解をもつ。
また1<x<2の範囲に少なくとも1つの実数解をもつ。
よって-1<x<2の範囲に少なくとも1つの実数解をもつ。
(2) \( f(4)=a^4-16<0 \)
\(\displaystyle \lim_{x\to \infty} f(x)=\infty>0 \)
よってx>4の範囲に少なくとも1つの実数解をもつ。
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