上野竜生です。対数の値(たとえばlog102がどのぐらいなのか)を計算する方法を紹介します。
基本は値を挟むだけ
たとえば9<10に常用対数をとると
log109<log1010となり,2log103<1からlog103<0.5がいえます。
このようにそこそこ近い2つの数の不等式の両辺に対数をとって評価します。
例題
α=log1026とするとき以下を示せ。
(1)[初級] 1.39<α<1.44
(2)[中級] 1.41<α
(3)[上級] 0.434<log10e<0.435を用いてα<1.42を示せ。
答え(1) log105=1-log102より0.698<log105<0.699
25<26<27より両辺に常用対数をとると
2log105<α<3log103
よって1.396<α<1.434となり1.39<α<1.44
と思うかもしれません。確かにそうですが次のステップでlog1026.1が計算できないのでこのアイデアはボツになります。
一方で25<26ではなく25.6<26にするとlog1025.6は計算できるのでこちらのほうが精度はよくなります。log1025.6=(8log102)-1に注意すると
α>1.408がいえます。
y=log10xのグラフに注目
\(\displaystyle \log_{10}{\frac{25+27}{2}} > \frac{\log_{10}{25}+\log_{10}{27}}{2}\)
\(\displaystyle \alpha>\frac{2\cdot 0.698+3\cdot 0.477}{2}=\frac{2.827}{2}=1.4135>1.41\)
262>25・27に対数をとっても示せます。
答え(3) f(x)=log10xとおく。
\(\displaystyle f'(x)=\frac{1}{x\log{10}}=\frac{\log_{10}{e}}{x} \)
よってy=f(x)上の点(27,f(27))から引いた接線の式は
\(\displaystyle y-\log_{10}{27}=\frac{\log_{10}{e}}{27}(x-27)\)
y=f(x)は上に凸だからこの式にx=26を代入したときのyの値はαより大きい。よって
\( \displaystyle \alpha<\log_{10}{27}-\frac{\log_{10}{e}}{27}<1.434-\frac{0.434}{27}=1.4179\cdots <1.42 \)
\( \displaystyle y-\log_{10}{25}=\frac{\log_{10}{e}}{25}(x-25) \)より
\(\displaystyle \alpha<\log_{10}{25}+\frac{\log_{10}{e}}{25}<1.398+\frac{0.435}{25}=1.4154<1.42 \)
となりこちらのほうが精度はいいです。
1.4135<α<1.4154
という風にかなり良い精度でlog1026を評価することができます。
電卓でlog1026を計算すると1.4149・・・なので確かにこの範囲に入っていますね!
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