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上野竜生です。今回は極限の定義のうちeや微分などの「定義」を使って求めるものを紹介します。
eの定義
eの定義とは次のものです。
\( \displaystyle e=\lim_{n \to \pm \infty} \left(1 + \frac{1}{n} \right)^n = \lim_{h \to 0} (1+h)^{\frac{1}{h}} \)
e≒2.718・・・となる実数です。
特にeを底とする対数を自然対数といい、底を省略して単にlogとだけ書くことがあります。
数IIIでは普通logとかけば自然対数です。(文系の数IIまでしか学習しない人や理科で使う対数は今後も底を省略してlogとかけば常用対数を意味することもあります)
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eの定義を用いた例題
次の極限を求めよ。
(1) \(\displaystyle \lim_{n \to \infty} \left( 1-\frac{2}{n} \right)^n \)
(2) \(\displaystyle \lim_{h \to 0} \log{(1+2h)^{\frac{3}{4h}}} \)
(1) \(\displaystyle \lim_{n \to \infty} \left( 1-\frac{2}{n} \right)^n \)
(2) \(\displaystyle \lim_{h \to 0} \log{(1+2h)^{\frac{3}{4h}}} \)
答え(1) n=-2mとおく。
\(\displaystyle \lim_{m \to -\infty} \left(1+\frac{1}{m} \right)^{-2m} =\lim_{m \to -\infty} \left( \left(1+\frac{1}{m} \right)^{m} \right)^{-2} = e^{-2}=\frac{1}{e^2} \)
(2) k=2hとおくと
\(\displaystyle \lim_{k \to 0} \log{(1+k)^{\frac{3}{2k}}} = \lim_{k \to 0} \log{(1+k)^{\frac{1}{k}\cdot \frac{3}{2}}} \\ \displaystyle = \lim_{k \to 0} \frac{3}{2}=\frac{3}{2} \)
\(\displaystyle \lim_{m \to -\infty} \left(1+\frac{1}{m} \right)^{-2m} =\lim_{m \to -\infty} \left( \left(1+\frac{1}{m} \right)^{m} \right)^{-2} = e^{-2}=\frac{1}{e^2} \)
(2) k=2hとおくと
\(\displaystyle \lim_{k \to 0} \log{(1+k)^{\frac{3}{2k}}} = \lim_{k \to 0} \log{(1+k)^{\frac{1}{k}\cdot \frac{3}{2}}} \\ \displaystyle = \lim_{k \to 0} \frac{3}{2}=\frac{3}{2} \)
loge=1であることに注意が必要です。
微分の定義
ここからは数IIIで習う微分を習っているか、もしくは微分の計算結果を認めることにして読んでみましょう。
微分係数の定義は次の通り。
\( \displaystyle \lim_{x \to a} \frac{f(x)-f(a)}{x-a}=f'(a) \)
\( \displaystyle \lim_{h \to 0} \frac{f(a+h)-f(a)}{h}=f'(a) \)
これを使えば極限が求まることもあります。
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微分の定義を用いた例題
次の極限を求めよ。
(1) \(\displaystyle \lim_{x \to \frac{\pi}{2}} \frac{\sin{x}-1}{x-\frac{\pi}{2}} \)
(2) \(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{e^{2x}-e^{-x}}{x} \)
(3) \(\displaystyle \lim_{x \to \frac{1}{2}} \frac{\log{(2x)}}{\sin{(x-\frac{1}{2})}} \)
(1) \(\displaystyle \lim_{x \to \frac{\pi}{2}} \frac{\sin{x}-1}{x-\frac{\pi}{2}} \)
(2) \(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{e^{2x}-e^{-x}}{x} \)
(3) \(\displaystyle \lim_{x \to \frac{1}{2}} \frac{\log{(2x)}}{\sin{(x-\frac{1}{2})}} \)
答え(1) \(f(x)=\sin{x} \)とおくと\(f'(x)=\cos{x} \)
微分の定義から求める値は
\(\displaystyle \lim_{x\to \frac{\pi}{2}} \frac{f(x)-f(\frac{\pi}{2})}{x-\frac{\pi}{2}}=f'(\frac{\pi}{2})=0 \)
微分の定義から求める値は
\(\displaystyle \lim_{x\to \frac{\pi}{2}} \frac{f(x)-f(\frac{\pi}{2})}{x-\frac{\pi}{2}}=f'(\frac{\pi}{2})=0 \)
別解
\(\displaystyle t=x-\frac{\pi}{2} \)とおくと求めるものは
\(\displaystyle \lim_{t \to 0} \frac{\sin{(t+\frac{\pi}{2})}-1}{t}=\lim_{t \to 0} \frac{\cos{t}-1}{t} \\ =\displaystyle \lim_{t \to 0} \frac{(\cos{t}-1)(\cos{t}+1)}{t(\cos{t}+1)}\\ \displaystyle =\lim_{t \to 0} - \left( \frac{\sin{t}}{t} \right)^2 \cdot \frac{t}{1+\cos{t}} =-1^2\cdot \frac{0}{2}=0 \)
\(\displaystyle t=x-\frac{\pi}{2} \)とおくと求めるものは
\(\displaystyle \lim_{t \to 0} \frac{\sin{(t+\frac{\pi}{2})}-1}{t}=\lim_{t \to 0} \frac{\cos{t}-1}{t} \\ =\displaystyle \lim_{t \to 0} \frac{(\cos{t}-1)(\cos{t}+1)}{t(\cos{t}+1)}\\ \displaystyle =\lim_{t \to 0} - \left( \frac{\sin{t}}{t} \right)^2 \cdot \frac{t}{1+\cos{t}} =-1^2\cdot \frac{0}{2}=0 \)
答え(2) \( f(x)=e^{2x}-e^{-x} \)とおくと\( f(0)=1-1=0 \)
\( f'(x)=2e^{2x}+e^{-x} , f'(0)=2+1=3\)
微分の定義より求めるものは
\(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{f(x)-f(0)}{x-0}=f'(0)=3 \)
(3) \( f(x)=\log{(2x)} \)とおくと\( f'(x)=\frac{1}{x} \)
微分の定義より
\(\displaystyle \lim_{x \to \frac{1}{2}} \frac{f(x)-f(\frac{1}{2})}{x-\frac{1}{2}}=f'(\frac{1}{2})=2 \)・・・①
よって求めるものは
\(\displaystyle \lim_{x \to \frac{1}{2} } \frac{f(x)-f(\frac{1}{2})}{x-\frac{1}{2}} \cdot \frac{x-\frac{1}{2}}{\sin{(x-\frac{1}{2})}} = 2 \cdot 1=2 \)
\( f'(x)=2e^{2x}+e^{-x} , f'(0)=2+1=3\)
微分の定義より求めるものは
\(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{f(x)-f(0)}{x-0}=f'(0)=3 \)
(3) \( f(x)=\log{(2x)} \)とおくと\( f'(x)=\frac{1}{x} \)
微分の定義より
\(\displaystyle \lim_{x \to \frac{1}{2}} \frac{f(x)-f(\frac{1}{2})}{x-\frac{1}{2}}=f'(\frac{1}{2})=2 \)・・・①
よって求めるものは
\(\displaystyle \lim_{x \to \frac{1}{2} } \frac{f(x)-f(\frac{1}{2})}{x-\frac{1}{2}} \cdot \frac{x-\frac{1}{2}}{\sin{(x-\frac{1}{2})}} = 2 \cdot 1=2 \)
別解 ①までは同じ
\( g(x)=\sin{(x-\frac{1}{2})} \)とおくと\( g'(x)=\cos{(x-\frac{1}{2})} \)
\(\displaystyle \lim_{x \to \frac{1}{2}}\frac{g(x)-g(\frac{1}{2})}{x-\frac{1}{2}} =g'(\frac{1}{2})=1 \)
\(\displaystyle \lim_{x\to \frac{1}{2}} \frac{f(x)-f(\frac{1}{2})}{x-\frac{1}{2}} \cdot \frac{x-\frac{1}{2}}{g(x)-g(\frac{1}{2})}=f'(\frac{1}{2})\cdot \frac{1}{g'(\frac{1}{2})}=2 \)
厳密にはsinxの微分がcosxになることを証明するときにこの極限に近いことを使ってるので循環論法な気はしますが分母分子にそれぞれ微分の定義を使えばかなり強力にいろいろな極限が示せそうですね。
\( g(x)=\sin{(x-\frac{1}{2})} \)とおくと\( g'(x)=\cos{(x-\frac{1}{2})} \)
\(\displaystyle \lim_{x \to \frac{1}{2}}\frac{g(x)-g(\frac{1}{2})}{x-\frac{1}{2}} =g'(\frac{1}{2})=1 \)
\(\displaystyle \lim_{x\to \frac{1}{2}} \frac{f(x)-f(\frac{1}{2})}{x-\frac{1}{2}} \cdot \frac{x-\frac{1}{2}}{g(x)-g(\frac{1}{2})}=f'(\frac{1}{2})\cdot \frac{1}{g'(\frac{1}{2})}=2 \)
厳密にはsinxの微分がcosxになることを証明するときにこの極限に近いことを使ってるので循環論法な気はしますが分母分子にそれぞれ微分の定義を使えばかなり強力にいろいろな極限が示せそうですね。
定義を使う問題はこれ以外の解法で解くのが難しいことも多いので特殊パターンとなります。
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