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上野竜生です。平均値の定理の応用として解けない漸化式の極限の問題を扱います。東大とかでも出題されたりするレベルなので難関大学向けです。中堅大学でも誘導付きで出るかもしれませんが今回は誘導なしの一発勝負の問題を出題します。

 

基本(といってもなかなかの応用ですが・・・)

解けない漸化式の極限の問題ではまず答えの値αを予想します。具体的な方法は\( a_n,a_{n+1} \)をαにして得られる式の解を求めます。

そのあと\( |a_n-\alpha| \leq r|a_{n-1}-\alpha| \)・・・(★)となる1より小さい定数rを見つけます。

そこまでできれば(★)を繰り返し用いるとハサミウチの形になるのでハサミウチの原理でとけますね。

この(★)の導出に平均値の定理が使えます。

\(\displaystyle \frac{f(a)-f(b)}{a-b}=f'(c) \)となるc(a<c<b)が存在するので|f'(c)|≦r<1を示せれば\(\displaystyle |f(a)-f(b)|≦r|a-b| \)が示せます。これと\( a_{n+1}=f(a_n) , f(\alpha)=\alpha \)などを用いれば(★)が導出できるというわけです。

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例題

\(\displaystyle a_1=2 , a_{n+1}=\sin{(\frac{\pi}{3} a_n)} \)とするとき\(\displaystyle \lim_{n\to \infty} a_n \)を求めよ。

まずは答えを予測しましょう。\( a_n,a_{n+1} \)をαにして得られる式
\( \alpha = \sin{\frac{\pi}{3}\alpha} \)を解くと\( \alpha=0 , \pm \frac{1}{2} \)
このどれかに収束すると予想されます。どれになるか見極めましょう。
図より\(\alpha=\frac{1}{2} \)に収束すると予想できる。
1/2に収束すると予想できる
そのためにはすべての自然数nに対し\( \frac{1}{2}<a_n<\frac{5}{2} \)を示します。

答え\(\displaystyle f(x)=\sin{(\frac{\pi}{3}x)} \)とおく。
すべての自然数nに対し\(\frac{1}{2}<a_n<\frac{5}{2} \)を示す。
n=1のとき\( a_1=2\)より成立。
\(\frac{1}{2}<x<\frac{5}{2} \)のとき\( \frac{1}{2}<f(x)\leq 1 \)より
\(\frac{1}{2}<a_k<\frac{5}{2} \)ならば\( \frac{1}{2}<f(a_k)=a_{k+1} < \frac{5}{2} \)も成立。
よって数学的帰納法により\( \frac{1}{2}<a_n<\frac{5}{2} \)
平均値の定理より
\(\displaystyle \frac{f(a)-f(b)}{a-b}=f’(c) \)となるc(\(\frac{1}{2}<a<c<b<\frac{5}{2}\))が存在する。
\(\displaystyle f’(c)=\frac{\pi}{3}\cos{(\frac{\pi}{3} c)} \)なので\(\displaystyle |f'(c)|\leq \frac{\pi}{3}\cdot \frac{\sqrt{3}}{2} = \frac{\pi \sqrt{3}}{6} \)
\( |f(a)-f(b)|=|f’(c)||a-b|\leq \frac{\pi \sqrt{3}}{6}|a-b| \)
ここで\( a_{n+1}=f(a_n) , f(\frac{1}{2})=\frac{1}{2} \)に注意すると
\( |a_{n+1}-\frac{1}{2}| \leq \frac{\pi \sqrt{3}}{6}|a_n-\frac{1}{2}| \)
この関係を繰り返し使うと
\(\displaystyle |a_n-\frac{1}{2}| \leq \left( \frac{\pi \sqrt{3}}{6} \right) |a_{n-1}-\frac{1}{2}| \leq \left( \frac{\pi \sqrt{3}}{6} \right)^2 |a_{n-2}-\frac{1}{2}| \\ \displaystyle \leq \cdots \leq \left(\frac{\pi \sqrt{3}}{6} \right)^{n-1} |a_{1}-\frac{1}{2}| \)
よって\(a_1=2\)より
\(\displaystyle -\frac{3}{2} \left( \frac{\pi \sqrt{3}}{6} \right)^{n-1} \leq a_n-\frac{1}{2} \leq \frac{3}{2}\left( \frac{\pi \sqrt{3}}{6} \right)^{n-1} \)
\(\displaystyle \lim_{n\to \infty} \frac{3}{2}\left( \frac{\pi \sqrt{3}}{6} \right)^{n-1}= \lim_{n\to \infty} -\frac{3}{2}\left( \frac{\pi \sqrt{3}}{6} \right)^{n-1}=0 \)だから
ハサミウチの原理より\(\displaystyle \lim_{n\to \infty} \left( a_n-\frac{1}{2} \right) =0 \)
よって\(\displaystyle \lim_{n\to \infty} a_n=\frac{1}{2} \)

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