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上野竜生です。複素数平面について基本(四則演算・n乗)を解説します。

複素数平面(前半)

複素数zはz=x+yi(x,yは実数)の形で書くことができ,\( i^2=-1\)である。その点以外は多項式と同じように計算できる。

<四則演算>
\((a+bi)+(c+di)=(a+c)+(b+d)i\)
\((a+bi)-(c+di)=(a-c)+(b-d)i\)
\((a+bi)(c+di)=(ac-bd)+(ad+bc)i\)
\( \displaystyle \frac{a+bi}{c+di}= \frac{(a+bi)(c-di)}{(c+di)(c-di)}=\frac{(ac+bd)+(bc-ad)i}{c^2+d^2}\)
特に実数倍 \(k(a+bi)=ka+kbi\) が成り立つ。

複素数z=x+yiをxy平面上の(x,y)に対応させて図形的に考えることができる。すべての複素数はxy平面と1対1に対応する。

 

記号とその定義

z=x+yiとする。

\( Re(z)=x \)を実部という。
\( Im(z)=y \)を虚部という。
\( \overline{z}=x-yi \)を共役複素数という。
\( |z| =\sqrt{x^2+y^2} \)を絶対値と言う。

\(z=x+yi=r(\cos{\theta}+i\sin{\theta}) \)と書くことができる。この右辺の形を極形式という。このときのrが絶対値である。そして,
\( arg(z)=\theta \)を偏角という。

例:\( 1+\sqrt{3}i=2(\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i)=2(\cos{\frac{\pi}{3}}+i\sin{\frac{\pi}{3}}) \)と書けるので\( arg(1+\sqrt{3}i)=\frac{\pi}{3} \)

複素数は大小比較ができない。つまり,3i>2iや1+5i<3+8iなどは成り立たない

 

ここで書いた性質について次が成り立つ。証明はα=x+yi ,β=x'+y'iと置いて計算すれば良い。

\(\displaystyle Re(\alpha)=\frac{\alpha+\overline{\alpha}}{2} , \quad Im(\alpha)=\frac{\alpha-\overline{\alpha}}{2i} \)

\(\displaystyle \overline{\alpha \pm \beta}=\overline{\alpha} \pm \overline{\beta} ,\quad  \overline{\alpha \beta}=\overline{\alpha} \overline{\beta} , \quad \overline{\left(\frac{\alpha}{\beta}\right)}=\frac{\overline{\alpha}}{\overline{\beta}} \) (複号同順)

\(\displaystyle |\alpha \beta|=|\alpha||\beta| ,\quad \left|\frac{\alpha}{\beta} \right|=\frac{|\alpha|}{|\beta|}  ,\quad |\alpha|=\alpha \overline{\alpha}\)
\( |\alpha|=|-\alpha|=|\overline{\alpha}|  ,\quad  |\alpha|=0 ⇔\alpha=0\)
※\( |\alpha+\beta|=|\alpha|+|\beta|\)は成り立ちません

\( arg(\alpha\beta)=arg(\alpha)+arg(\beta) ,\quad arg(\frac{\alpha}{\beta})=arg(\alpha)-arg(\beta) \)

特に\( z_1=r_1(\cos{\theta_1}+i\sin{\theta_1}), z_2=r_2(\cos{\theta_2}+i\sin{\theta_2} ) \)のとき
\( z_1 z_2=r_1 r_2(\cos{(\theta_1+\theta_2)}+i\sin{(\theta_1+\theta_2)}) , \frac{z_1}{z_2}=\frac{r_1}{r_2}(\cos{(\theta_1-\theta_2)}+i\sin{(\theta_1-\theta_2)}) \)

基本的に複素数に関するすべての問題はz=x+yiとおけばベクトルなどの知識で解けます。ただし,複素数ならではの計算もできるのでそれを使うとより効率よく計算できます。

実数条件・純虚数条件

zが実数 ⇔ Im(z)=0 ⇔ \( z=\overline{z} \)

zが純虚数 ⇔ Re(z)=0かつz≠0 ⇔ \( z=-\overline{z} \)かつz≠0

証明はほぼ当たり前ですが両方向を自由に行き来できるようにしましょう。つまり「実数であることを示せ」といわれたら\( z=\overline{z} \)を示す。逆に\( z=\overline{z} \)が導ければzは実数と導ける。両方向重要です。

 

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n乗について

z=x+yiのn乗を計算するには1個1個計算する必要がありますが極形式で書かれた複素数の場合,n乗を簡単に計算することができます。

\( \left\{ r(\cos{\theta}+i\sin{\theta}) \right\}^n=r^n (\cos{(n\theta)}+i\sin{(n\theta)}) \)

証明は数学的帰納法で行います。

回転移動について

点αを中心にβをθ(rad)反時計回りに回転させて移動する点をγとすると,次が成り立つ。
\( (\gamma-\alpha)=(\cos{\theta}+i\sin{\theta})(\beta-\alpha)\)

特にα=0のときは原点を中心に回転させている。

α=0のとき\( |\cos{\theta}+i\sin{\theta}|=1\)であることに注意するとこの式においてγ-αとβ-αの絶対値は等しく,偏角(arg)はθ増えているのでこの式でOKである。

α≠0のときは原点が中心になるように平行移動していると考えれば良い。

さらに一般に
\( \displaystyle \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}=r(\cos{\theta}+i\sin{\theta})\)
とかけば点αを中心にβをθ(rad)反時計回りに回転させて移動し、さらにαを中心に距離をr倍した点がγであることを示している。

回転移動

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例題

1+2i, 3+4iを表す点をA,Bとする。点C,D,E,Fを,六角形ABCDEFが正六角形となるようにとる。点Cを表す複素数を求めよ。

複素数平面(回転)参考図

図を書いて考えましょう。つまり,Cは点Bを中心に点Aを±120°回転させて得られるのでCを表す複素数をγ,A,Bを表す複素数をそれぞれα,βとすると

\( \gamma-\beta=(\cos{(\pm 120°)}+i\sin{(\pm 120°)})(\alpha-\beta) \)

とかける。値を代入すると

\( \displaystyle \gamma - (3+4i)=\left( -\frac{1}{2} \pm \frac{\sqrt{3}i}{2} \right)(-2-2i) \)

プラスのとき

\( \gamma-(3+4i)=(1+\sqrt{3})+(1-\sqrt{3})i \)となり,\(\gamma= (4+\sqrt{3})+(5-\sqrt{3})i \)

マイナスのとき

\( \gamma-(3+4i)=(1-\sqrt{3})+(1+\sqrt{3})i \)となり,\( \gamma=(4-\sqrt{3})+(5+\sqrt{3})i \)

どちらも条件を満たすのでこの2つが答え

 

一見量が多そうに見えますがこの辺りまでは実はたいしたことをしていません。複素数平面の難しいところはこの先にある垂直条件や同一円周上などの条件などでしょう。それを理解するためにはここまでの事柄(特に回転)を理解する必要があります。曖昧なまま次には進まず,ここまでをしっかり理解して次に行きましょう。

 

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