上野竜生です。2変数関数の最大最小問題の中でも難しいパターンを紹介します。難関大学受験生向けです。特に文系のほうが知っておくべき内容です。(理系は数IIIの知識でゴリ押せるため最悪知らなくても乗り切れます)
考え方
f(x,y)の最大・最小を求めたい
→ f(x,y)=kとおく。
→ kを動かしたときf(x,y)=kを満たすx,yが実数で存在するか調べる。
→ 実数x,yが存在するkの範囲がわかれば最大・最小がわかる
→ 等号成立するx,yの存在を証明する。
という流れになります。基本パターンではf(x,y)=kを満たす実数x,yが存在するかどうかを調べる際,図示して交点があるかどうかを調べたと思いますが図示できなくても実数が存在するかさえわかればいいのです。
例題1
(-3y+k)2+2(-3y+k)y+3y2=12
9y2-6ky+k2-6y2+2ky+3y2=12
6y2-4ky+(k2-12)=0・・・①
これが実数解をもつからyについての2次方程式の判別式D≧0であり
D/4=4k2-6(k2-12)≧0
2k2≦72
∴-6≦k≦6
よって最大値は6。k=6を①に代入すると
6y2-24y+24=6(y-2)2=0 ∴y=2
x+3y=kにy=2,k=6を代入するとx=0
よってx=0,y=2のとき最大値6
さらに応用パターンとして同次式を紹介します。これはx,yの次数がすべて同じ式のことで,こういうパターンはうまく割り算すれば\(\frac{x}{y} \)をzとおいて1変数になります。
例題2 [一部誤りがあったので修正しました]
\(\displaystyle \frac{\frac{x}{y}}{2(\frac{x}{y})^2+1} \)
ここで\(z=\frac{x}{y}\)とおくと\(\frac{1}{3}\leq z \leq 1\)
\(\displaystyle \frac{\frac{x}{y}}{2(\frac{x}{y})^2+1}=\frac{z}{2z^2+1}=\frac{1}{2z+\frac{1}{z}} \)
z>0より相加相乗平均の関係から
\( 2z+\frac{1}{z} \geq 2\sqrt{(2z)(\frac{1}{z})}=2\sqrt{2}\)
等号成立は\(2z=\frac{1}{z}\)のとき,つまり\(z=\frac{x}{y}=\frac{1}{\sqrt{2}} \)のとき。
たとえば\(x=2 , y=2\sqrt{2}\)とすれば等号が成立するx,yが存在する。
このとき最大値は\(\displaystyle \frac{1}{2\sqrt{2}}=\frac{\sqrt{2}}{4}\)
等号成立するx,yはこれだけではありませんがとりあえず存在は保証されているのでOKでしょう。
次の例題はさらに難しいです。
例題3
①と3x2+xy+y2=k・・・②が実数解をもつ条件を調べます。この問題ではxyとy2の係数が等しいので①と②からxy+y2を消去することでx2だけの範囲がわかります。この問題に限ればそれでいいですがもっと一般の場合はそうもいかないので今回は一般に通用するように右辺を0にする方針で解きます。
①×k-②×2より
(k-6)x2+(2k-2)xy+(2k-2)y2=0
y=0のとき①よりx2=2を②に代入するとk=6
y≠0のとき両辺をy2で割ると
\(z=\frac{x}{y} \)とおくと
x,yは実数だからzも実数であり,③は少なくとも1つの実数解をもつ。
k≠6のときzについての2次方程式③の判別式をDとおくと
D/4=(k-1)2-(k-6)(2k-2)≧0
(k-1)(11-k)≧0 ∴1≦k≦11
右側の等号成立は③にk=11を代入すると5z2+20z+20=5(z+2)2=0
∴z=-2 , x=-2y
これを①に代入すると(-2y)2+2(-2y)y+2y2=2y2=2 ∴y=±1
(x,y)=(2,-1),(-2,1)のとき最大値11
解説を読んで数学がわかった「つもり」になりましたか?数学は読んでいるうちはわかったつもりになりますが演習をこなさないと実力になりません。そのためには問題集で問題を解く練習も必要です。オススメの参考書を厳選しました
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