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上野竜生です。基本パターン「は・じ・き」で解けるタイプをマスターした人はこれで満足しがちですがなんとも厄介なことに類似のラスボスが待っています。しかも「は・じ・き」パターンと勘違いしてしまうぐらい良く似ています。今回はラスボスを倒しましょう。

2次方程式の解の範囲から定数の範囲を定める難問

例題(式はは・じ・きのときと同じです)

2次方程式x2-2(a+1)x-2(a-3)=0が次の解をもつとき定数aの値の範囲を求めよ。
(1) 異なる2つの実数解のうちただ1つが0<x<4の範囲にある。
(2) 0<x<4に少なくとも1つの実数解を持つ。

以下ではf(x)=x2-2(a+1)x-2(a-3)とします。

f(x)=0の判別式をDとするとD/4=(a+1)2+2(a-3)=a2+4a-5=(a+5)(a-1)
f(x)={x-(a+1)}2-a2-4a+5より軸のx座標はa+1
f(0)=6-2a , f(4)=16-8(a+1)-2a+6=14-10a

の計算は本質ではないので計算途中の式は端折ります。

(1) f(0)f(4)<0で解けそう・・・と思うかもしれませんが落とし穴があります。確かにそのときはOKです。でもf(0)f(4)≧0のときはNGでしょうか?実はf(0)f(4)>0のときは問題ありません。(x軸を横切る回数は0回か2回になるため)。f(0)f(4)=0のときはもしかしたら条件を満たしてしまうかもしれません。そこでf(0)f(4)=0のとき,つまりf(0)=0のときとf(4)=0のときは別に考えましょう。

答えア) f(0)f(4)<0のとき条件を満たす。よって
(6-2a)(14-10a)<0より\( \frac{7}{5}<a<3 \)
イ) f(0)f(4)=0のとき
イ-1) f(0)=0つまりa=3のとき
f(x)=x2-8x=0の解はx=0,8なので条件を満たさない。
イ-2) f(4)=0つまり\( a=\frac{7}{5} \)のとき
\( f(x)=x^2-\frac{24}{5}x+\frac{16}{5}=\frac{1}{5}(x-4)(5x-4)=0 \)の解は\( x=4,\frac{4}{5} \)なので条件を満たす。
よって解は\( \frac{7}{5}\leq a<3 \)

(2) 0<x<4の範囲に2つの実数解をもつ条件はは・じ・きパターンなのでそれを求めて(1)も求めてその2つを合わせたものが答えとなります。その際2つの実数解とは「重解も含めて2つ」と考えるのが良いです。

答え0<x<4の範囲に1つだけ実数解を持つとき(1)より\( \frac{7}{5} \leq a <3 \)

0<x<4の範囲に重解含めて2つ実数解を持つとき

・判別式D≧0よりa≦-5またはa≧1
・0<軸のx座標<4より-1<a<3
・境界f(0)>0かつf(4)>0よりa<3かつa<\( \frac{7}{5} \)

まとめると\( 1\leq a<\frac{7}{5} \)
以上より0<x<4の範囲に少なくとも1つの解を持つ条件は
\( 1\leq a<3 \)

 

重解を含めずに考えると
D≧0のところはD>0になりますが
重解をもつとき(1つだけ実数解をもつとき のところに入ります)をさらに場合分けする必要があります。
D=0かつ軸の条件と境界の条件を満たせば重解は求める区間内にあることがわかりますね。

 

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別解(定数分離)

こういうタイプは定数分離でもとけます。

まず定数分離すると\( \displaystyle f(x)=\frac{x^2-2x+6}{2x+2}=a\)

\( \displaystyle f(x)=\frac{x^2-2x+6}{2x+2} \)とy=aの交点が(1)では「実数全体で2つかつ0<x<4の範囲に1つ」,(2)では0<x<4に少なくとも1つあればよい。

\( \displaystyle f'(x)=\frac{(2x-2)(x+1)-x^2+2x-6}{2(x+1)^2}\)

(分子)=2x2-2-x2+2x-6=x2+2x-8=(x+4)(x-2)より

\(\displaystyle f'(x)=\frac{(x+4)(x-2)}{2(x+1)^2}\)

よって0≦x≦4におけるf(x)の増減表とグラフは次の通り

\( \begin{array}{c|ccccccccccc} x & \cdots & -4 & \cdots & (-1) & \cdots & 0 & \cdots & 2 & \cdots & 4 & \cdots \\ \hline f’(x) & + & 0 & - & & - & - & - & 0 & + & + & +  \\ \hline f(x) & \nearrow & -5 & \searrow & & \searrow & 3 & \searrow & 1 & \nearrow & \frac{7}{5} & \nearrow \end{array}\)

定数分離で解く

よってこれとy=aの交点の数を調べると

(1) \( \displaystyle \frac{7}{5}\leq a<3\)

(2) \( 1 \leq a <3 \)

となる。

 

数IIIの微分まで習えばラスボスをこんなやり方で回避できたりします。

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