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上野竜生です。今回は2変数の不等式の証明方法を紹介します。
2変数不等式の証明方法5パターン
aとbに関する不等式を示す問題では以下の5パターンを考えると良い。
できそうに見えてできない解き方や、複数の解き方でできるものもあるので問題によってどれが有効かは異なる。
できそうに見えてできない解き方や、複数の解き方でできるものもあるので問題によってどれが有効かは異なる。
1 1つの文字を変数とみる。 <計算はやや面倒だがかなり強い>
2 \(\displaystyle t=\frac{b}{a} \)とおく。<この形にできるときはかなり強い>
3 平均値の定理 <平均値っぽいけど違うパターンもあるのでできたら強いけどできないと沼にはまる>
4 f(a)>f(b)にして単調性を示す。<一見きれいけど結局パターン1に近い>
5 相加相乗平均の関係 <できる場合が非常に限られている>
2 \(\displaystyle t=\frac{b}{a} \)とおく。<この形にできるときはかなり強い>
3 平均値の定理 <平均値っぽいけど違うパターンもあるのでできたら強いけどできないと沼にはまる>
4 f(a)>f(b)にして単調性を示す。<一見きれいけど結局パターン1に近い>
5 相加相乗平均の関係 <できる場合が非常に限られている>
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例題1
e≦a<bのとき次の不等式が成り立つことを証明せよ。
\(\displaystyle \log{(\log{b})} - \log{(\log{a})} < \frac{b-a}{e} \)
\(\displaystyle \log{(\log{b})} - \log{(\log{a})} < \frac{b-a}{e} \)
解法1 平均値の定理
平均値の定理より
\(\displaystyle \frac{\log{(\log{b})}-\log{(\log{a})}}{b-a}=\frac{1}{c\log{c}} \)
となるcがa<c<bに存在する。
e<cより\(\displaystyle \frac{1}{c\log{c}}<\frac{1}{e\log{e}}=\frac{1}{e} \)
よって\(\displaystyle \log{(\log{b})} - \log{(\log{a})} < \frac{b-a}{e} \)
\(\displaystyle \frac{\log{(\log{b})}-\log{(\log{a})}}{b-a}=\frac{1}{c\log{c}} \)
となるcがa<c<bに存在する。
e<cより\(\displaystyle \frac{1}{c\log{c}}<\frac{1}{e\log{e}}=\frac{1}{e} \)
よって\(\displaystyle \log{(\log{b})} - \log{(\log{a})} < \frac{b-a}{e} \)
解法2 式変形
\(\displaystyle \log{(\log{b})}-\frac{b}{e}< \log{(\log{a})}-\frac{a}{e} \)を示す。
\(\displaystyle f(x)=\log{(\log{x})}-\frac{x}{e} \)とおく。
\(\displaystyle f'(x)=\frac{1}{x\log{x}}-\frac{1}{e} < 0 \)
単調減少だからf(b)<f(a)
f'(x)<0の部分はx>eなので
\(\displaystyle \frac{1}{x\log{x}}< \frac{1}{e} \)つまり
\( x\log{x} > e \)を示せばよい。
x>eより\(x\log{x} > x\log{e}=x>e \)より成立
\(\displaystyle \frac{1}{x\log{x}}< \frac{1}{e} \)つまり
\( x\log{x} > e \)を示せばよい。
x>eより\(x\log{x} > x\log{e}=x>e \)より成立
解法3 bの関数とみる。
\( f(x)=\log{(\log{x})}-\log{(\log{a})}-\frac{x}{e}+\frac{a}{e} \)とおく。
x>a≧eならばf(x)>0を示す。
[以下、解法2とほぼ同じです。]
x>a≧eならばf(x)>0を示す。
[以下、解法2とほぼ同じです。]
例題2
0<a≦bのとき次の不等式が成り立つことを証明せよ。
\(\displaystyle \log{b}-\log{a} \geq \frac{2(b-a)}{b+a} \)
\(\displaystyle \log{b}-\log{a} \geq \frac{2(b-a)}{b+a} \)
解法1 \(\displaystyle t=\frac{b}{a} \)とおく。
a≠0より式変形すると
\(\displaystyle \log{\frac{b}{a}} \geq \frac{2(\frac{b}{a}-1)}{\frac{b}{a}+1} \)
\(\displaystyle t=\frac{b}{a} \)とおくと0<a≦bよりt≧1
\(\displaystyle \log{t} \geq \frac{2(t-1)}{t+1}=2-\frac{4}{t+1} \)を示せばよい。
\(\displaystyle f(t)=\log{t}-\frac{2(t-1)}{t+1} \geq 0 \)(t≧1)を示す。
\(\displaystyle f'(t)=\frac{1}{t}-\frac{4}{(t+1)^2}=\frac{t^2+2t+1-4t}{t(t+1)^2}=\frac{(t-1)^2}{t(t+1)^2} \geq 0 \)
よってf(t)は単調増加。
f(1)=0よりt≧1でf(t)≧0となり題意は成立。
\(\displaystyle \log{\frac{b}{a}} \geq \frac{2(\frac{b}{a}-1)}{\frac{b}{a}+1} \)
\(\displaystyle t=\frac{b}{a} \)とおくと0<a≦bよりt≧1
\(\displaystyle \log{t} \geq \frac{2(t-1)}{t+1}=2-\frac{4}{t+1} \)を示せばよい。
\(\displaystyle f(t)=\log{t}-\frac{2(t-1)}{t+1} \geq 0 \)(t≧1)を示す。
\(\displaystyle f'(t)=\frac{1}{t}-\frac{4}{(t+1)^2}=\frac{t^2+2t+1-4t}{t(t+1)^2}=\frac{(t-1)^2}{t(t+1)^2} \geq 0 \)
よってf(t)は単調増加。
f(1)=0よりt≧1でf(t)≧0となり題意は成立。
解法2 bの関数とみる。
\(\displaystyle f(x)=\log{x}-\log{a}-\frac{2(x-a)}{x+a} \)とおき
x≧a>0でf(x)≧0を示す。
\(\displaystyle f'(x)=\frac{1}{x}-\frac{2(x+a)-2(x-a)}{(x+a)^2}=\frac{x^2+2ax+a^2-4ax}{x(x+a)^2}=\frac{(x-a)^2}{x(x+a)^2} \geq 0 \)
よってf(x)は単調増加
f(a)=0よりx≧aでf(x)≧0
x≧a>0でf(x)≧0を示す。
\(\displaystyle f'(x)=\frac{1}{x}-\frac{2(x+a)-2(x-a)}{(x+a)^2}=\frac{x^2+2ax+a^2-4ax}{x(x+a)^2}=\frac{(x-a)^2}{x(x+a)^2} \geq 0 \)
よってf(x)は単調増加
f(a)=0よりx≧aでf(x)≧0
解説を読んで数学がわかった「つもり」になりましたか?数学は読んでいるうちはわかったつもりになりますが演習をこなさないと実力になりません。そのためには問題集で問題を解く練習も必要です。オススメの参考書を厳選しました
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