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上野竜生です。今回は2次関数の応用で分母または分子が2次式の分数関数の値域を求める問題を紹介します。数IIIの微分ができれば(≒数IIIまで使う理系の人)その方が簡単なのでこのページは不要です。微分せずに解くのはかなり複雑です。

例題

(1) \(\displaystyle \frac{x^2+2x-3}{x^2+2x+3} \)(x:実数全体)の取り得る範囲を求めよ。
(2) \(\displaystyle \frac{x^2-2x-3}{x^2+2x+3} \)(x:実数全体)の取り得る範囲を求めよ。
(3) \(\displaystyle \frac{x^2-2x-3}{x^2+2x+3} \)(x≧0)の取り得る範囲を求めよ。

すごく似ていますが(1)→(2)→(3)の順に徐々に難しくなっていきます。※(2)(3)は一般の解き方をした場合。
最後の(3)ができれば2次関数をマスターしたといっていいでしょう。

答え(1) \(\displaystyle y=\frac{x^2+2x-3}{x^2+2x+3}=1-\frac{6}{x^2+2x+3}=1-\frac{6}{(x+1)^2+2}\)
\( (x+1)^2+2 \geq 2 \)なので\(\displaystyle -3 \leq \frac{-6}{(x+1)^2+2} <0 \)
\(\displaystyle -2 \leq 1-\frac{6}{(x+1)^2+2}<1 \)
\(\displaystyle -2 \leq \frac{x^2+2x-3}{x^2+2x+3}<1 \)
(2)\(\displaystyle \frac{x^2-2x-3}{x^2+2x+3}=k \)とおく。
\( x^2+2x+3=(x+1)^2+2 \neq 0 \)より両辺を\( x^2+2x+3 \)倍すると
\( x^2-2x-3=k(x^2+2x+3) \)
\( (k-1)x^2 +2(k+1)x +3(k+1)=0 \)・・・①
これが実数解をもつようなkの取り得る範囲が求めるものである。
k=1のとき4x+6=0 ∴\( x=-\frac{3}{2} \)
k≠1のとき①の判別式をDとすると
D/4 \(= (k+1)^2 -3(k+1)(k-1) \)
\( =(k+1)(4-2k) \geq 0 \)
∴-1≦k≦2
以上をあわせると\(\displaystyle -1 \leq \frac{x^2-2x-3}{x^2+2x+3} \leq 2 \)
(3)①がx≧0の範囲に実数解をもつようなkの範囲が求めるものである。
[残りは解の配置問題ですがまず厄介な境界部分「重解のとき」「x=0を解にもつとき」を調べて残りは基本のは・じ・きパターンに帰着します]
k=1のときx<0の解になるので不適。
k≠1のとき①は2次方程式である。
ア)①がx=0を解に持つとき
①に代入するとk=-1
k=-1のとき①は\( -2x^2=0\)よりx=0を解にもつから適。
イ)①が重解をもつとき
(2)と同様にするとk=-1,2である。
k=-1のときア)と同様にして適。
k=2のとき①は\( x^2+6x+9=0 \)はx=-3を解にもつから不適。
ウ)これ以外の時は実数解が0個または2個であり,x=0は解に持たないので
「異なる2つの正の実数解」「正の実数解と負の実数解」「異なる2つの負の実数解」「実数解なし」のどれかである。
「異なる2つの正の実数解」を持つ条件は
・判別式>0(つまり-1<k<2)
・軸(\(-\frac{k+1}{k-1}\))>0つまり-1<k<1
・境界 軸の条件からk<1なので上に凸となることに注意する
(①の左辺にx=0を代入した値)<0 つまりk<-1
まとめると共通部分なし
「正の実数解と負の実数解」を持つ条件は
下に凸(k>1のとき)境界(①の左辺にx=0を代入した値)<0つまりk<-1
上に凸(k<1のとき)境界(①の左辺にx=0を代入した値)>0つまりk>-1
まとめると-1<k<1
以上すべてをまとめると-1≦k<1

(1)は式の形が特殊なのでうまく変形できるけど(2)(3)はうまくいかないので一般の解き方を...と思って作成しましたが(2)(3)も次のように変形すればうまくいきます。上に書いた一般の解き方しかできない場合もあるので工夫できないパターンもしっかり目を通しておきましょう。

\(\displaystyle \frac{x^2-2x-3}{x^2+2x+3}=\frac{2x^2}{x^2+2x+3}-1 \\ \displaystyle = \frac{2}{1+\frac{2}{x}+\frac{3}{x^2}}-1 \)
ただし最後の等号はx≠0のとき。x=0のときは与えられた関数の値は-1なので-1も取り得ることに注意。
\( t=\frac{1}{x} \)とおくと(2)ではt≠0,(3)ではt>0の範囲で
\(\displaystyle \frac{2}{3t^2+2t+1}-1 = \frac{2}{3(t+\frac{1}{3})^2+\frac{2}{3}}-1 \)
の取り得る範囲を考えればよい。(以下(1)とほぼ同じなので略)

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