上野竜生です。余弦定理は三角形に関する定理でかなり重要です。露骨に余弦定理を使う問題として出題するつもりじゃなくてもあらゆるところにでてきます。ここの知識があいまいだと図形問題で大きく失点することになります。
余弦定理
$$ \cos{A}=\frac{b^2+c^2-a^2}{2bc}$$
余弦定理を使うパターンはたくさんあります。
<パターン1>cosの値を求めるとき
これは誰でも余弦定理だときづくでしょう。すべての辺がわかっていれば(変数などでも可)この方針が使えます。
<パターン2>sinの値を求めるとき
外接円の半径が与えられていないときは余弦定理でcosを求め,それをsinに変換する方法が使えます。三角比は基本的にどれか1つわかれば残りはすべて出ます(±の違いはありますので問題文に「鋭角」とか「90°未満」などの表現がないかチェックしましょう)
<パターン3>長さを求めるとき
sinでもcosでもなんでもいいので角度がわかっていてかつ辺の長さを求める場合も余弦定理が使えます。共通テスト頻出なので覚えましょう。
ところで余弦定理も正弦定理と同様,比較的間違えやすいです。例題を見ていきます。
例題1
基本中の基本問題ですがこれでもあらゆる間違いが起きます。皆さんも1度考えてみてくださいね。
・・・
・・・・・・
できましたか?
正解は
よって\( BC=\sqrt{46} \)
これが求められないようでは不合格です。間違いパターンをいくつか挙げておきます
・\( BC^2=5^2\cdot 6^2-2\cdot 5 \cdot 6 \cdot \frac{1}{4} \)(最初の+が×)
・\( BC^2=5^2+6^2+2\cdot 5 \cdot 6 \cdot \frac{1}{4}\)(-2cosAが+2cosA)
・\( BC^2=5^2+6^2- 5 \cdot 6 \cdot \frac{1}{4} \)(係数ミス)
・\( BC=5^2+6^2-2\cdot 5 \cdot 6 \cdot \frac{1}{4} \)(BC2ではなくBC)
などなど・・・意外とa,b,cが混同するミスは少な目ですが係数の間違いが多いです。余弦定理は序盤で使うことも少なくはなく,そこで間違うとそのあと頑張っても意味がありません。図形問題が出ればかなりの確率で登場しますのでミスのないようにしましょう。正弦定理より頻度は高いです。
では少し応用問題を見て行きましょう
例題2
(2)△ABCにおいてAB=7,BC=13,CA=15のとき,∠Aの大きさを求めよ。
(1)
余弦定理より
\(BC^2 = AB^2+AC^2 - 2AB\cdot AC \cos{A} \)
\(49=64 + AC^2 - 8AC \)
\( AC^2 - 8AC+15 = 0 \)
\( (AC-3)(AC-5)=0 \)
AC=3,5
これはどちらも満たすのでAC=3またはAC=5
(2)
余弦定理より
\(\displaystyle \cos{A}=\frac{AB^2 + AC^2 -BC^2}{2 AB \cdot AC}=\frac{49+225-169}{2\cdot 7 \cdot 15}=\frac{105}{210}=\frac{1}{2} \)
よってA=60°
ところで,正弦定理・余弦定理とくれば「正接定理」ってないのでしょうか?
答えはYES(存在する)です。ですがほとんど使い物になりませんので覚える必要はありません。
三角形の最強の定理は「三平方の定理」だと思う方がいると思いますが余弦定理は三平方の定理を含んでいます。(∠A=90°ならcosのところが0になるため,三平方の定理ができる)なので三平方の定理よりも強いでしょう。(余弦定理の証明には三平方の定理を使うので三平方が全く意味ないわけではありませんが・・・)
三角形の最強の定理「余弦定理」をマスターしましょう。
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