上野竜生です。等差数列の応用問題として「既約分数」の和に関する問題を扱います。少し応用ですが頑張りましょう!既約分数とはこれ以上約分できない分数のことです。
例題1
答え解1 全体ー既約じゃない分数で求める。
分母が11である分数のうち10より大きく20より小さい分数は
\(\displaystyle \frac{111}{11},\frac{112}{11},\cdots \frac{219}{11} \)
これらの和は
\(\displaystyle \frac{111+112+\cdots +219}{11}\)
111+112+・・・+219
は初項111,末項219,項数109の等差数列の和だから
(111+219)×109÷2=165・109
よってすべての分数の和は
\(\displaystyle \frac{165 \cdot 109}{11}=15\cdot 109=1635\)
既約ではない分数は分子が11のものでこれらは整数だから
11+12+13+・・・+19=135
よって既約分数の和は1635-135=1500
解2 nとn+1の間にある既約分数は
\(\displaystyle n+\frac{1}{11} , n+\frac{2}{11} , \cdots , n+\frac{10}{11}\)
の10個なのでこれらの和は
\(\displaystyle 10n+\frac{1+2+3+\cdots 10}{11}=10n+5 \)
n=10,11,12,・・・,19についての和が求めるものだから
例題2
分母がpqである正の既約分数のうち,2より小さいものの総和をSとする。
(1)p=qのときSを求めよ。(pの式で表せ)
(2)p≠qのときSを求めよ。
\(\displaystyle \frac{1+2+3+\cdots +(2p^2-1)}{p^2} \\= \displaystyle \frac{\frac{1}{2}(1+2p^2-1)(2p^2-1)}{p^2}=2p^2-1 \)
この中で既約分数にならないのは分子がpの倍数のものだから和は
\(\displaystyle \frac{p(1+2+\cdots + (2p-1))}{p^2}\\ = \displaystyle \frac{\frac{1}{2}(1+2p-1)(2p-1)}{p}=2p-1 \)
よって既約分数の和は
\((2p^2-1)-(2p-1)=2p^2-2p \)
(2)分母がpqの分数で2より小さいものの和は
\(\displaystyle \frac{1+2+\cdots + (2pq-1)}{pq}\\ \displaystyle=\frac{\frac{1}{2}(1+2pq-1)(2pq-1)}{pq}=2pq-1 \)
約分できるものは分子がpまたはqの倍数のものである。pの倍数のものの和は
\(\displaystyle \frac{p(1+2+\cdots + 2q-1)}{pq}\\ \displaystyle=\frac{\frac{1}{2}(1+2q-1)(2q-1)}{q}=2q-1 \)
同様にすると分子がqの倍数の和は\(2p-1\)
分子がpqの分数は\(\frac{pq}{pq}=1\)のみである。
よって求める和は
(すべての分数の和)-(分子がpの倍数の和)-(分子がqの倍数の和)+(分子がpqの倍数の和)
分母が素数のときは単純ですがこのように2つの素因数になると少し複雑になります。3つの場合(分母がpqr)になっても同様で,ベン図をかけばできますね。「全体-pの倍数-qの倍数-rの倍数+pqの倍数+qrの倍数+rpの倍数-pqrの倍数」で計算できます。
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